【速レポ】<SATANIC CARNIVAL>BRAHMAN -暗影演舞-、「ライブを取り戻せ!音楽を取り戻せ!バンドを取り戻せ!」
BRAHMAN -暗影演舞- 名義での出演が発表された時から、特別な演出が期待されたが、ステージを覆い隠した紗幕にさまざまな映像を映し出し、ステージで演奏する4人の姿に重ね合わせるという演出は、まさしく“暗影演舞”の名にふさわしいものだった。
◆BRAHMAN ライブ写真
モッシュ、ダイブはもちろん、観客が声も出せない状態がいまだ続いている中でトリを任された以上、観客をとことん楽しませるなら、これまで通りのライブをするだけではダメだろうとバンドは考えたのかどうか。ともあれ、映像を駆使した演出だ。光が重要になることは言うまでもない。沈みかけた太陽が演奏中、すっかり沈む時間帯とは言え、それを野外フェスでやったところに大きな挑戦があったと思う。
紗幕に映し出した雨と雷の映像を、ステージの4人に重ね合わせ、まるで嵐の中で演奏しているような錯覚を観客に起こさせた1曲目の「霹靂」からスペクタクルな演出が観客を圧倒したことは言うまでもない。今後、再演する可能性もあるかもしれないから、1曲ごとに趣向を凝らした映像の詳細についてはここでは言及しないが、その演出は前述した「霹靂」はもちろん、「Slow Dance」「賽の河原」といったフォークロアの要素を取り入れた楽曲の世界観を際立たせつつ、ダイナミックなスケールで見せるという意味でBRAHMANにふさわしいものだったと思う。
もちろん、見どころはそんな演出だけに止まらない。演出の大きな鍵だった紗幕を、「Speculation」の演奏中、「さあ、ライブを取り戻せ! 音楽を取り戻せ! バンドを取り戻せ!」というTOSHI-LOW(Vo)の雄叫びを合図に開けてからの中盤はハードコア色濃い「SEE OFF」「BEYOND THE MOUNTAIN」やキュートでポップな魅力もある「CHERRIES WERE MADE FOR EATING」といったストレートなロックナンバーを、ほとんどメドレーと言えるくらい一気呵成にたたみかけ、抜身のライブバンドの底力もとことん見せ付け、観客を狂喜させたのだが、前述したTOSHI-LOWの言葉から連想するに紗幕は演出に必要不可欠な道具であると同時にバンドと観客の関係を遮るものの象徴だったんじゃないかと思ったりも。
その直後には「90年代を愛する人達に捧げます」とTOSHI-LOWが言い、「いっちゃん!」とLOW IQ 01を呼び込んで、LOW IQ 01のかつてのバンド、SUPER STUPIDの「WHAT’S BORDERLESS?」を一緒に歌うという誰も想像していなかったサプライズが観客を震わせた。コンセプチュアルに作りこんだライブと思わせ、そんなサプライズもセットリストに加えるちゃめっけに思わずニヤリだ。
そして、サイケデリックな響きとハードコアの熱量を併せ持つ「ANSWER FOR…」で観客をダメ押しで狂喜させると、再び閉じた紗幕に多くの人の人生を狂わせた天変地異を連想させる映像を映し出しながら、「鼎の問」「ARRIVAL TIME」をじっくり聴かせ、観客の気持ちを“暗影演舞”の世界にひきずり戻す。
“さあ幕が開くとは終わりが来ることだ”と歌いながら紗幕を開き、50分におよぶステージの最後を飾ったのはバンドが持つワイルドな魅力を見せ付ける「真善美」。
「俺達とお前らの間に幕なんてないほうがいいことはわかっている」
そう語りかけたTOSHI-LOWは最後の最後に「やれって言われるまで、いいよって言われるまで、(ライブ、音楽、バンドを取り戻すのを)待つつもりか!?」と観客に迫ると、“一度きりの意味をお前が問う番だ”とドスのきいた声で歌いあげ、観客の胸にメッセージを突き刺したのだった。そして、その瞬間、1日目の成功を謳いあげるように花火が上がった。
取材・文◎山口智男
撮影◎中河原理英/岸田哲平
【BRAHMAN セットリスト】
2.Slow Dance
3.賽の河原
4.BASIS
5.Speculation
6.SEE OFF
7.BEYOND THE MOUNTAIN
8.CHERRIES WERE MADE FOR EATING
9.WHAT'S BORDERLESS?
10.ANSWER FOR…
11.鼎の問
12.ARRIVAL TIME
13.真善美
■<SATANIC CARNIVAL 2022>
6月5日(日) 富士急ハイランド・コニファーフォレスト
・物販 / FOOD AREA:start09:30
・ライブ観覧エリア:open10:30 / start11:30 ※19:25終演予定
▼6月4日(土)出演ラインナップ
BRAHMAN
coldrain
HEY-SMITH
Ken Yokoyama
KUZIRA
マキシマム ザ ホルモン
NOISEMAKER
SHADOWS
SiM
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
Suspended 4th
w.o.d.
THE FOREVER YOUNG
[OA] FUNNY THINK
▼6月5日(日)出演ラインナップ
04 Limited Sazabys
10-FEET
Crossfaith
CVLTE
dustbox
ENTH
ハルカミライ
MAN WITH A MISSION
Paledusk
SHANK
SHIMA
WANIMA
山嵐
[OA]SABLE HILLS
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