【インタビュー】BAND-MAID、新しい武器を手に入れ“心の世界征服”

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■「生きるために」っていうところが伝わればいいな

──ひとつシンプルな質問です。この曲のタイトルは何故「Sense」なんでしょうか?

小鳩:いろいろと考えてみた結果ですっぽ。BAND-MAIDの場合、たいがい最後にタイトルを決めるんですけど、この曲に関しては、天使とか希望とかそういったキーワードをいろんな言葉にしてみたりしながら考えていたんですっぽ。フランス語にしてみたりとか。そうやっていろいろ考えた結果、なんで「Sense」に落ち着いたのかっていう経緯は私自身もよく憶えてないんですけどっぽ(笑)、何個も案を当て嵌めてみた時にこの言葉がすごくしっくりきたというか。

SAIKI:「Sense」の意味で、何か好きなのがあったんじゃない?

小鳩:あったっぽ、あったっぽ。希望だったりそういう意味も感じさせるような、光がある感じの。「Sense」という言葉にも意味合いがたくさんあって。

──英語の辞書を引いてみた時、5番目とか6番目に載っている意味に「へーっ!」とか思わされること、ありますもんね。

小鳩:そういうのもありますし、日本ではそれこそハイセンスとか、そっち方面での意味でしか普段は使われないようなところがありますけど、逆に海外だとそういう意味ではそんなに使われないというか。そういうのも含めてこの言葉を選びましたっぽ。

──歌詞に出てくる言葉で意味的に近いものを探そうとすると、‟感じる予感”とかもそこに重なってくるのかもしれないですね。予知する感覚というか。

小鳩:そうですっぽね。実は‟予感”っていうのが、アニメ側から指定されていた言葉だったんですっぽね。‟予感”と‟天使”は使ってくださいというのがあったので、タイトルにもそういう雰囲気を感じさせるものにしたんですっぽ。

──原作の物語に沿った歌詞とはいえ、やっぱり「この曲を通じてこんなことが伝わったらいいな」というのもあったはずだと思うんです。諦めずに、気を緩めずにガンガン挑んでいくことの大事さだとか。

小鳩:そうですっぽね。前向きなのか後ろ向きなのかは置いておいて、進んでいこうっていう気持ちの大切さだったり、「生きるために」っていうところが伝わればいいなって思ってますっぽ。

SAIKI:「もういっそ」っていう歌詞のところとか、歌っていて気持ちいいですよね。メロ自体が伸びやかで、歌詞もそれにすごく呼応している部分が多くて、歌っていて楽しいんですよ、この曲。


──歌いながらどんどん気持ちが上がっていく感じになりそうですよね。

SAIKI:そうですね。ロングトーンで出せるようなメロが多いので、気持ちいい部分が多いです。普段のBAND-MAIDの曲の場合、細かすぎてブレスすることすらも大変、みたいなところがあって。とはいえこの曲もそういう意味では結構大変なんですけど、いつもほどは詰まってないかな、みたいな(笑)。

──確かにロングトーンを使う場がない曲が多いですもんね。歌にも伸びやかさ以上に切れ味を求められることが多いというか。

SAIKI:そうなんですよ、まさに。でもこの曲はホントに気持ちいいし、当然ですけどオープニングテーマっぽいなっていう印象があります。華々しいというか。

SAIKI:そうなんですよ、まさに。でもこの曲はホントに気持ちいいし、当然ですけどオープニングテーマっぽいなっていう印象があります。華々しいというか。

──この曲の勢いに乗ったまま2曲目の「火花」でも闘いが続いていく感じですよね。

小鳩:そうですっぽね。続きますっぽね。

SAIKI:これはもうホント、泥くさい感じというか、泥くさい闘い。

小鳩:「Sense」のほうが、同じ闘いではあってもお洒落感があるっぽ。

SAIKI:それもあるし、葛藤して苦しみながらの闘いという感じがありますけど、こっちはもう「やってやるぞ!」みたいな。グイグイな、ドロドロな闘いだなって。

小鳩:「火花」には、闇はあんまりないっぽね。

SAIKI:うん。自分たちの正義のために、みたいな。

──「Sense」の場合は物語のテーマとして死生観とかもあるわけじゃないですか。苦悩とか。

小鳩:そうですっぽね。悩みながら闘わなければならない苦痛感とか。だけど「火花」には、そういうのはないですっぽね。勝利しか考えてない曲ですっぽ。

SAIKI:相手をやっつけることだけ。それが大事、みたいな。

──こちらの曲は全日本大学eスポーツ対抗戦バトルテーマでもあるそうですけど、先方側から曲調に関する要望とかも出ていたんですか?

小鳩:なかったですっぽ。こちらも「BAND-MAIDらしい感じで」というところからいただいたお話でしたっぽ。

SAIKI:そこでのKANAMIの対応がすごくて。要するに撃ちまくるゲームの曲で、こんなにも「Gun shot!!」というのを繰り返すことになるとは思ってなかったので。そこまでゲームの側には寄らないだろうな、と思っていたんですよ。KANAMIは結構おしとやかじゃないですか。あの彼女から、この曲が出てくるってすごくないですか?

小鳩:KANAMIが「Gun shot!!」って言ってるわけじゃないですけど、メロがね。


──確かにKANAMIさんが銃を構えていたらいちばん驚くかも。いや、もちろん誰が持っていても驚くでしょうけど。

SAIKI:あははは! でもやっぱりKANAMIがいちばん意外性があるじゃないですか。だから私としては、こんなにも闘いっぽい曲が出てきたこと自体がめちゃくちゃ面白かったんですけど(笑)。

小鳩:なんだろう? 多分、本人の中ではキャッチ―にしたい気持ちが強くあったんだと思いますっぽ。繰り返しのメロだったり、そういうところでキャッチーさを強く押し出したかったんじゃないかな。とはいえ私も最初は「ずっと同じメロで攻めてるなー」とは思いましたっぽ。一部分だけ同じメロとかは結構あるんですけど、こんなに何回も出てくるのはめずらしいですっぽ。

──さっきの話とは逆ですもんね。同じことを繰り返さないはずの彼女が。

SAIKI:そうなんですよ! 多分、このゲームの感じがKANAMIの中にはない世界観だったんだろうなと。だからイレギュラーな感じになったのかなって思います。いつもの感じのインスピレーションのあり方ではなかったんだろうな、とは思いますね。

小鳩:うん。今回はいつもと違う切り口で、シンプルさが出てると思いますっぽ。

──両方とも闘いの曲ではありますけど、性質が違いますよね。そしてこの曲にも、やっぱりいろんな音が入っています。

小鳩:曲としてはシンプルでも、音は多めですっぽね。それでも他の曲に比べたらちょっと少な目かもしれませんけど、これもまあまあ多いので。BAND-MAIDの曲で音が少ないってことは、多分起こらないと思いますっぽ。

──ギターのリフにホーンの音が重なっていたり、曲によってはそれがピアノだったり、電子音だったり。それもすべてKANAMIさんのアイデアで?

SAIKI:そうですね。BAND-MAIDは同期を使っているバンドで。それも私たちにとっての武器だと思うんですよね。これだけハードロックをやっていて、なおかつ同期の音がこんなにあるバンドってあんまりいないじゃないですか。この掛け合わせ方は、BAND-MAIDにできることのひとつだと思うんです。しかもKANAMIは勉強家なので、いろいろとプラグインを手に入れてきたりして、「これ、合うかなあ?」という実験をいつもやっていて。ただ、KANAMI自身も「こんなの入れたっけ?」って自分が入れた音にあとから気付かされたりすることがあるくらい(笑)。

小鳩:そうそう、「この音、何?」とか本人が言ってることもあるくらいなんですっぽ。

SAIKI:あなたにわからないなら私にわかるはずない、という感じなんですけどね(笑)。

小鳩:逆に「なんで私たちにわかると思ったっぽ?」みたいな(笑)。

──確かにいろいろな曲でさまざまな音を使ってきて、どれで何を使ったかわからなくなるのも無理はないですよね。面白いのは、リアルな演奏を重んじているバンドの場合、同期をむしろ排除しようという方向に向かうことが多いのに対して、BAND-MAIDにはそれを逆手に取っているようなところがあるところです。

SAIKI:ちょっと前に出たんですよ、「なくしていく?」という話も。だけどやっぱり「それは違うね」となって。

小鳩:うん。曲によってはなくしてもいいかもしれないけど、全部なくすっていうのは違うだろうって話になったっぽね。

SAIKI:そういう意味では同期も大事にしていますね。

──このバンドの音楽スタイルは一言で言うならハードロックがいちばん近いのかもしれないけども、由緒正しい教科書通りのハードロックとは違うからこそそうあれる、というところもあるように思います。

小鳩:それはありますっぽね。

SAIKI:なにより私たちがやっていることなので、私たちの色を前面に出したいな、というのはあります。そこも私たちの良さかなって思うので。

小鳩:それも自分たちらしさの一部だと思いますっぽ。

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