【インタビュー】YURAサマ、多芸多才な4バンド兼任と2年ぶりソロ始動「自分のこと疑ってないんです」
■“これで世界獲った!”と
■自分でもイカレてると思います
──表題曲「I need」は、1stアルバム『Colorful Life♪』のコンセプトを汲んだ、YURAサマの人生のスタンスが反映されている曲ですね。
YURAサマ:そうですね。僕は“楽しいことって、人生の中でひとつでも多いほうがよくない?”ってことをずっと言ってきているんですね。「I need」も“♪Let's add color to our life=人生に彩りを加えていきましょう“っていうことを歌ったものです。
──曲調も明るくポップです。打ち込みで構築されたナンバーですね。
YURAサマ:もともと僕が作ったデモはエアロビが踊れるような、4つ打ちのシンプルな曲だったんですよ。“ええ曲ができたな。でも、もっと良くなるはずや”と思って、アレンジを UCHUSENTAI:NOIZのMATATO氏にお願いしたんです、「これ、YOASOBIみたいな今風にして!」と。ところが、「これはYOASOBIにはならん!」と返事が(笑)。最初は雑な注文だったんですけど、結果、カッコよくしてくれましたね。「できるやんけ!」と(笑)。MATATO氏がプログラミングして、ギターも弾いてくれてます。
──「I need」のミュージックビデオはロケ中心のポップでカラフルな仕上がりです。
YURA:監督さんに事前注文したのは「夏っぽく爽やかにしてください」っていうことだけで。撮影は横浜みなとみらい、お台場、そして千葉のスタジオで行なったんです。当日、「海も撮りたいですね」となって、千葉の九十九里浜にも行きました。1日で湾岸から外房まで(笑)。撮影中に、“よく考えたらソロでMVを撮るのって初めてだな”と気づいて、ちょっと緊張したことも覚えてます。撮影自体は、スタッフ含めてみんなでテンション上がっちゃって、行程が変わったりもしたんですけど、楽しかったですね。
──現場現場でYURAサマからアイデアも出されたそうですが?
YURA:同じ場所でポーズがパッパッパッと切り替わる……写真をつなぎ合わせたような動画部分を作ってほしいとか。あとレインボーカラーの傘を持って行ったんですけど、よく見てもらうとレインボーカラーの中に黒が入ってるんですよ。これがこだわり。黒が入ってないと、面白おかしい感じになっちゃうんです。だけど、黒が入ってるレインボーカラーの傘ってホントになくて、探すのが大変でした(笑)。
──では2曲目の「セ/カイ」。あいだに昭和アニメ的なナレーションを挟んだ四部構成が独特で、各部にそれぞれの世界観があります。
YURAサマ:「I need」は誰にも間違いなく伝わる曲にしようと思ったので、その反面、“なんなの、この曲!?”っていうものを作りたいと思ったのが「セ/カイ」です。僕らしい曲だと思いますね。すべて自分ひとりで制作を完結させました。演奏はギターとベースをハイダンシークドロシーの情次2号さんとジンさんにお願いしたんですけど、「1曲って聞いてたのに、これ、4曲分あるじゃねぇか! フレーズ考えるの大変だったよ!」ってグチを言われました(笑)。
──それぞれの章のアレンジがまったく異なる四部構成ですからね(笑)。組曲的な発想はどのように?
YURAサマ:僕、基本的に物語っぽい歌詞が好きなので、曲自体を小説みたいな構成で、脚本を書くように作りたいと思ったんですね。で、“起承転結をわかりやすくしたいな。じゃあ四番まで作ろう”と。ただ、四番までメロディは一緒なんやけど、バックのアレンジがどんどん変わっていく展開にしたいなと。
──ハイダンシークドロシーのお2人がおっしゃるように、音楽的にはプログレの類いですからライブも大変そう(笑)。
YURAサマ:確かにドラマーとしても嫌ですよ、四部構成が全く異なるリズムに分断されてますし。ただ、レコーディングでは僕が叩いてますけど、ライブでは叩かないので。僕より上手い人が叩いてくれますから大丈夫(笑)。
──場面転換となるナレーションは千葉繁さんが務められましたが、『北斗の拳』をはじめとするアニメでも知られる大御所声優ですね。
YURAサマ:場面が変わる時にアニメの次週予告みたいなものが入ったら面白いなと思って、千葉繁さんにお願いしました。作ってる時から僕の頭の中で「次回、『北斗の拳2』は!」みたいなナレーションのイメージがあって。“千葉さん……いや、無理やろうな……ワンチャンあるかもだから聞いてみよう!”とご連絡したんです。もともとは一度、舞台で共演したご縁があったんですけど、まさか引き受けていただけるとは。収録データをもらった時はテンション上がりましたね、ホンモノや!って(笑)。
──この「セ/カイ」を聴いた時、1stソロアルバム『Colorful Life♪』収録曲の「まさか逆さま」を思い出したんです。この曲のアレンジも秀逸で、逆再生しても同じメロディとアレンジで聴けるという回文的なものでしたよね。
YURA:「まさか逆さま」ができた時は、“これで世界獲った!”と思ったんですけど、そうはならなかったですね(笑)。“なんでこれ、バズらへんのやろ?”と。ただ、“なにかのタイミングで絶対に、アーティストYURAサマがハネる”と思ってるんですよ。なので、「まさか逆さま」も改めてここで宣伝しておきたいです(笑)。
──どちらの曲も天才的発想力です。
YURA:自分でもイカれてると思います。そういう意味で、「セ/カイ」は僕っぽいんです。さっき、プログレと言っていただきましたけど、「まさか逆さま」こそ計算されたプログレ的な遊び要素が強い。「セ/カイ」は音楽通ではない人が聴いても、“なんじゃこりゃ!”ってなるようなわかりやすい展開がいいなという感覚で作りました。
──YURAサマのキャラからは想像し難い、“♪叩き叩かれて割れたセ/カイ”という、闇から始まる歌詞も注目ポイントで。
YURA:僕自身のことを歌ってるんですけど、誰でもこう思ったことってあるんじゃないかなと。決して明るくはないですね。基本的には楽しいことだけを発信していこうと思ってますけど、当然僕にもいろいろありますよっていう。
──“♪だから人である事やめたくなる”という最後のひと言にドキッとしました。
YURA:ですよね。3曲トータルとして見た時に、“そういう時もあるけど、楽しくやっていこうよ!”っていうことが伝わるといいなっていう。なので、このシングルはこの3曲が必要だったんです。
──ラストの「春の歌」はとてもピースフルな曲です。
YURA:夏真っ盛りにリリースする「春の歌」です(笑)。1回目の緊急事態宣言の時って、今の状況とは全然違ったじゃないですか。世の中が一変して、僕のスケジュールも真っ白になった。“これはまいったなぁ”と思ったんですけど、“ならば、オンラインサロンのメンバーとなにか楽しいことをやろう”と。あまり外にも出られない状況ではあるけども、買い物とか散歩に出かけた時に街で見かけた“春”をみんなで共有しようよっていう企画をやったんです。そうしたらみんなが、出かけた時に見かけた花の写真をアップしてくれるようになって、楽しもうとしてくれてる空気がすごく嬉しかったんです。サロンでは「音楽のことはやらない」と言ってたんですけど、この感謝の気持ちを伝えたいと思った時に、音楽でお返しすることしかできないですし、みんなも喜んでくれるかなと思って。
──それでお花の名前が歌詞にたくさん散りばめられているんですね。
YURAサマ:みんながアップしてくれたお花は全部歌詞に入れようと、写真を見ながら書きました。やっぱりダントツで“桜”が多かったので、これは何回も入れようと “♪さくらさくらさくら”って連呼してます(笑)。
──“♪絶えない愛を誓います”という言葉や優しい歌声が温かい気持ちにしてくれます。
YURAサマ:そう受け取ってもらえたらよかったです。ちなみにメンバーシップ配信ではドラムは生で叩いて「レコーディング前に練習しまーす」って伝えてたんですね。でもその後、自分が叩いてる映像をアーカイブで観て“生音は違うな”って思ったので打ち込みにしました(笑)。
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