【インタビュー】YURAサマ、多芸多才な4バンド兼任と2年ぶりソロ始動「自分のこと疑ってないんです」
■ただ求められることをやってる人ではなく
■自分で発信できる人なんですよっていう
──たとえばPsycho le CémuはYURAサマにとってどういった存在ですか?
YURAサマ:自分の活動の大本ですから、歌って、踊って、叩いてというすべてが凝縮されています。メンバーとの関係性も家族のようで、良くも悪くも緊張感がないというか。他のメンバーも個性が強いから、そこに甘えちゃうところがあるかもしれません(笑)。Daccoは僕が感じる“面白い”が一番詰まったユニットですね。相方のLidaと“面白い”の感覚が近いということもあって。自分で言うのもなんですけど、Daccoはヴィジュアル界のひとつの雛形として残ってほしいと思ってるくらいなんですよ。こんなにコスパのいいユニット無いですよ。まず楽器を使わないですから、イベントでの転換が早いし、トラブルに強い。生バンドの演奏ではないのでレコーディング費用が安い(笑)。
──早い安い旨いみたいなユニットですね(笑)。
YURAサマ:ははは。Brotherは僕がメインで詩曲を書いているバンドなので、僕の好きな世界観が如実に表れているかもしれません。THE BEETHOVENというバンドはそれぞれがキャリアを持ってるメンバーが集まってヴィジュアル系の様式美を追求するスタイルですよね。というふうに、どのバンドもユニットも本当に楽しくやっています。誰でもそうだと思うんですけど、家族、学校の友達、塾の友達、部活の友達、ネットで繋がってる友達……それぞれのコミュニティがある、そういう感覚なんですよ。そういう形で様々なイベントとかに出演するにつれ、ご一緒するアーティストの方々に対して、“今日一日、こんなに楽しく過ごさせてくれてありがとう!”っていう感謝の気持ちが、自分の中で一番大事になっていったんです。
──「他のミュージシャンの方は眼中になかった」というYURAサマにとって、それも大きな変化ですね。
YURAサマ:はい。ただ、どのバンドにも共通しているのは、「楽しくない、お金にならない。その2つが揃ったらすぐ辞めます」と言ってることで。僕、正直者なんです(笑)。裏を返せば、そのどちらかがあればいい。楽しいだけでもいいし、お金になるだけでもいい。どっちもないっていうのは、“僕、そんな無駄な時間は使いたくないので、やりません”と。だから、よくミュージシャンから「バンドのこと、どうしたらいいんかな?」っていう悩み相談を受けることがあるんですけど、“そんなの、楽しくないしお金にもならないんだったら、秒で辞めたらええのに”って思ってます(笑)。
──ははは。 それらコミュニティが音楽制作の範囲を超えて、さらなる広がりをみせたのが、2013年に取得したAFAA(現JWI)認定エアロビクスインストラクターライセンスだったり、2017年に設立した合同会社アットワークスプロジェクトだったりすると思うのですが?
YURAサマ:きっかけはいろいろあるんですけど、アットワークスプロジェクトに関しては、まず、いわゆるイベントスペース的なスタジオを作りたいと思ったんですよ。
──2017年にクラウドファンディング調達率300%で開設した多目的スタジオNakano Space Qですね。
YURAサマ:Space Qは、お知り合い達がちゃんとお金を稼げる場所としてだったり、僕自身としてはエアロビクスが踊れたり教えられる場所がほしいということで作ったんです。あと、将来的に子供たちのドラム教室を開いて音楽発表会をやりたいと思って作った防音スタジオでして。発表会のほうはまだ形になってないので夢の話なんですけどね。で、スタジオを開設するために、アットワークスプロジェクトという合同会社も立ち上げて。
──アットワークスプロジェクトとしては、六本木でカフェThree Point Cafe -Roppongi-の運営も手掛けてます。
YURAサマ:ゆくゆくはSpace Qの近くにカフェを作りたいんです。発表会とかレッスンが終わった後にくつろげるような。ですから、今は勉強がてら、六本木でやっているという感じで。アットワークスプロジェクトには現在、ヴィジュアル系バンドのハイダンシークドロシーが所属してくれてるんですけど、音楽方面の夢としては、いつかレーベルツアーをやりたいなと思ってます。
──会社経営のほうでも手腕をふるわれているという。
YURAサマ:代表は別の人にやってもらってるんですけど、会社としては僕がやりたいことをやるっていうスタンスで。“これ、やったら面白そうじゃない?”っていうものを形にしてくような。深い計算もなく。ひょっとしたら僕、楽しむことの天才かもしれないですね(笑)。
──そう思います。ここまででも十分に濃い経歴なんですが(笑)、今回のインタビューのメインテーマはソロについてです。ソロアーティストとして2019年に初のフルアルバム『Colorful Life♪』をリリースしました。
YURAサマ:それまで培ってきたアーティストとのつながりを形にしたかったというのもありますね。でも、一番重要だったのは、いろんな音楽活動をしてきた中で、より自分の純度を高めた作品を作りたいと思うようになったことで。他人の混じり気のない、“これが僕です!”っていう濃い1枚を世に残したいなと。40歳という節目でもありましたし、その記念として作ったソロ初作品が『Colorful Life♪』というアルバムです。
──リリースから2年ほど経った今、改めてYURAサマにとってどんな作品になってますか?
YURAサマ:今でもよく聴くんですよ、いい作品なので。“がんばったな、もっといろんな人が聴いてくれたらいいのにな”と思いながら聴いてます。というのも僕、あまりアーティストっぽく見られないんですよね。そういうキャラクターなんでしょうね。軽い感じでしゃべりますし、どこに行ってもニヤニヤしてますし。いろいろやってるせいでアーティスト性が失われて見えてしまう……っていうのは不思議だと思ってるんですけどね。
──いろいろ出来てしまう器用さとか、的を絞らせないエンターテイメント性の高さのほうが目立ってしまうんでしょうね。
YURAサマ:だから、“僕もちゃんとモノを作れるんです”っていうことをソロ名義で示しておきたかったということでもあります。ただただ求められることをいろんなところでやってる人ではなく、自分で発信できる人なんですよっていう。
──そして2年ぶりのソロ作となる1stデジタルシングル「I need」にはタイプの異なる3曲が収録されました。構想はいつ頃からあったんですか?
YURA:2回目の緊急事態宣言が発出した今年1月かな? コロナの影響で、Twitterのタイムライン上にライブ中止や延期のニュースがまた溢れるぞと思った時、“だったら、ここで僕が「ライブ開催決定!」って発表したら面白い”と。ネガティヴなニュースが世の中を染めてしまうときこそ、みんなで明るい未来を想像することが必要なんじゃない?って思ったことがきっかけですね。
──それが1月10日にTwitter上でも告知された“9月12日の赤坂ReNY alphaライブ開催”ですね?
YURAサマ:そのライブやリリースに向けての制作過程をツイキャスメンバーシップで全て配信しようと。サポートメンバーにオファするところから、衣装制作や楽曲制作、写真撮影やレコーディングなど全部。「まず●●さんに連絡してスケジュール聞いてみます!」っていうところから(笑)。
──SNSやYouTubeをフル活用しているのもYURAサマのソロ活動の特徴です。
YURAサマ:シングル表題曲「I need」も制作過程をみなさんにツイキャスで見てもらいながら出来上がった曲です。僕が作曲してるところから配信しているんですけど、ずっと肘つきながら考えてたり、「ちょっと気分転換する〜」って漫画読み始めたり。面白なさすぎて面白かったと思いますよ(笑)。
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