【インタビュー】WANDS、18thシングルに新たな表情と自信「まさに別れと強さです」

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■ライブで演ると自分の歌い方が
■ゴールにだんだん近づく

──柴崎さんらしいサビの開けるメロディと歌詞のマッチングも心地いいです。

上原:理想の形になりました。

柴崎:想像していたより、だいぶ上に行けましたね。

上原:嬉しいですね。

柴崎:歌詞を読んで感動するというよりも、歌として聴いたときに揺さぶられる感じがいいなって。

上原:本当のことを言うと、僕は歌詞を書くのが全然好きじゃないんです。苦手。でも普段、別の仕事などで自分も作曲するんですけど、すごく気に入った曲が産まれて、“この曲は絶対に大切にしたい”と思った時に、それを生かすも殺すも歌詞次第なんですよね。だから絶対、なんとしてもいい歌詞を書かなきゃいけない。好きとか嫌いとかじゃなく、書きたくなくても、面倒くさくても、いい曲をいい曲として世に出すためにはいい歌詞を書かなければならない!って、頑張るんです。

──なるほど。作曲者側の視点もお持ちなんですね。

上原:今回、デモを聴いた時に“本当にいい曲だな”と思って。だから歌詞で台無しにしちゃ絶対ダメだって。“何としてもいい歌詞を書かないと”という気持ちで作詞したので、柴崎さんにそう言っていただけると、ほんとに良かったーって思いますね。

▲柴崎浩(G)

──ミュージックビデオは柔らかな光が差し込み、緑があるナチュラルなシチュエーションで撮影されていますが、メンバーから監督へリクエストしたことはあったんですか?

上原:世界観は監督にお任せしました。

柴崎:ちゃんと曲のテイストを汲み取ってくれましたね。

上原:朝が似合う爽やかなミュージックビデオなので、僕もそのイメージに合わせて歌ってみたんですけど、撮った映像をモニターでチェックしたら最初、“夜の人”みたいな表情だったんですよ。顔に薔薇とワインが出ちゃったというか(笑)。

柴崎:はははは。

上原:“これは違うな。朝日が差すカフェにいるような雰囲気で、もっと優しい表情で爽やかに歌わないと”って。

柴崎:表情も大事だからね。

──上原さんから見たミュージックビデオ撮影中の柴崎さんの様子はいかがでした?

柴崎:ギタリストは表情っていうより、ねぇ。

上原:表情っていうか、今さらですけどやっぱり改めて、“柴崎さんは顔が小さいな”って思いましたよ。真横に並ぶと俺の顔がデカいと思われそうだなって(笑)。

──いえいえ。上原さんも十分顔が小さいですから。

上原:ははは。面白かったのはシールド事件です。

柴崎:あったね〜。

上原:アンプからシールドが伸びているんですけど、それがギターに繋がってなかったんですよ。それが、しっかり映像に映りこんでいて。

柴崎:何テイクも録った後に気づいたんです(笑)。「あー! ささってなかった」って(笑)。日差しが気持ちいいから、ボーッとしちゃいますよね。

上原:おかげで現場のみんなが笑って、だいぶ和やかな雰囲気になりました。


──そのミュージックビデオでの柴崎さんは、 Three Dots Guitarsの黒いセミアコを弾いていらっしゃいますが、レコーディングでも使用されたものですか?

柴崎:そうですね。レコーディングでも使ったので、ミュージックビデオでも弾いてみようかと。身体に対してギターのボディが大きいっていうコメントがありましたけど(笑)。

上原:はははは。顔が小さいから(笑)。

──これまでセミアコって弾かれてましたっけ?

柴崎:YAMAHAの SAは持っていましたけど、ほとんど使ったことがなかったんですよ。今回、弾いてみて、そもそもギターとしての構造が違うから、いろいろな発見がありました。

──ボディー内部に空洞を持つセミアコ/フルアコならではの音色?

柴崎:そうですね。あまり良さを知らなかったんですけど、弾いてみたら、けっこう気に入って。セッションライブにも持っていったりするんですよ。ただ、構造上の問題やボディの大きさにまだ慣れなくて、身体に馴染んでいるっていうところまではいってないんですけど、サウンド自体はけっこう好きですね。

──新曲では、セミアコのどんな音色を必要としていたのでしょう?

柴崎:セミアコの多少ふっくらした感じが曲に合うかなって。エッジが効いたパキーンとした音も出るんだけど。たとえば、ギターソロはリアピックアップのクリアな音色を活かしましたね。そのほか、バッキングにもアウトロのリードでも使ってます。

──「カナリア鳴いた頃に」は5月に開催された野外フェス<JAPAN JAM 2021>で披露されたんですよね。

上原:初披露しました。ライブでやると自分の歌い方がゴールにだんだん近づくというか、自分がより見える感じがしましたね。

柴崎:なるほどね。

上原:レコーディングのブースで歌っていると、“この箇所はこう歌おう”とか、あれこれ考えてしまうせいで、“どう歌うのが自分らしくて気持ちいいのか”がわかりづらい。だけど、あとで<JAPAN JAM 2021>のライブ映像を見たら、それがわかったんですよね。

柴崎:自然と放出されているみたいな?

上原:そうなんです。“これが俺の歌い方なんだ”っていう発見がありました。ステージで好きなように歌っているときって、自分の本質が出ると思うんですけど、それがうまくいったときが完成形に近いのかなって。勉強になりましたね。

──9月に実施される東名阪ツアーでさらに進化していくんでしょうね。

上原:そうですね。ライブを経て、その経験がまた次のレコーディングに活かされていくのかなって。

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