【インタビュー】旅するシンガーソングライター大柴広己は、旅が許されないこの時代に何を語り掛ける?
■こんな状況でも“人生は美しい”と思える
■それが俺の中でひとつの光だったんです
──「“問いかけ”の曲は古びない」と前回のインタビューの時に言ってくれましたよね。今回もそうで、すべて問いかけの歌だと思います。
大柴:“これがいい”ではなく、“これでいいのか?”と、ずっと問いかけていますね。15年前の大柴広己から15年後の大柴広己に問いかけるようなものは、ずっと聴けるし、それってたぶん俺以外にも問いかけてくると思うんですね。でも、アルバムの最後の「LIFE GOES ON」という曲は、自分が言ってほしかったことだったりします。
──というと?
大柴:<SSW>というフェスを毎年開催していて、去年は配信でやったんですよ。実は2ヵ月前までキャストが全然決まってなくて、今年は無理だなと思っていたんですけど、マネージャーが大阪野音を押さえていて、「どうしますか?」という話になった。やる以上はちゃんと世の中にメッセージを出さないと意味がないと思ったんですけど、そこで「LIFE GOES ON」という曲ができたことによって“フェスやろう”と決めたんです。僕は誰かに“人生は続く”と言ってほしいし、“大丈夫だよ”と言ってほしかったんです。これは、もう一人の俺が俺に“こういうことを歌ってくれよ”と言ってできた曲なんです。だって、こんなに訳の分からない世の中なのに、俺は未だに“人生は素晴らしい”と思いたいから。俺って馬鹿なのかな?と思うけど、それなら馬鹿で良かったと思うのは、こんな状況でも“人生は美しい”と思えるから。それが俺の中で、ひとつの光だったんですね。
──答えはここにはないかもしれない。でも問いかけとヒントは山のようにあります。
大柴:答えがあったらね、“俺のアルバム”になるんですよ。曲って、自分の作品になると人に届かなくなるという感覚があって、曲は自分のものにしちゃダメなんですよ。誰かのものだから。そこで自分の答えは出さないようにしていて、このアルバムの中には、たくさんの選択肢があって、たくさんの幸せがあって、その中から何を見つけてくれるのかな?という感じでいます。
──この先、大柴広己がどんな旅を続けて、どんな言葉を届けてくれるのか。楽しみです。
大柴:実はね、この先には“愛”に戻るんです。『光失えどその先へ』と言って、その先へ向かう時に、何をやっても最終的に報われるのは“愛”しかないなと俺は思っていて。そう考えると、2014年に出した『それを愛と呼べる日が来るとは思わなかったよ。』の、“愛”に戻るんです。つまり“LOST” “LIGHT”の先には“LOVE”がある。“LOVE”に戻って、繰り返すんです。次のアルバムはそういうものになります。
──おおー。もう次のアルバムの計画が。
大柴:あります。そのヒントが、今回のアルバムのどこかに隠されてます。前回のインタビューで、「次のアルバムのテーマはもう決まっている」ということを言いそびれたので、今回は先に言っておきます(笑)。
──ありがとうございます(笑)。さらに楽しみ。
大柴:今は同じ日々の繰り返しで、どこにも行けず、誰もがその中で何を見つけるのか?ということを考えてると思うんですけど、俺はこの生活がずっと続くと思っているんですよ。そこでいろんな選択肢を得た人間が増えたことで、ものすごく多様化して、そういう人たちがまたひとつのカタマリに戻るか?というと、俺は戻らないと思う。そうやって旧世界から新世界に向かっていく時に、たくさんの選択肢の中で、どういう“愛”をもって人は生活して、どんな幸せを描いて、誰と生きるか、それが大事になってくる。その中で人生は続いていくんだなと思う。「LIFE GOES ON」です。
取材・文◎宮本英夫
■2ndフルアルバム『光失えどその先へ』
ZLCT-1006 ¥3,300(税込)
01. エビデンスステイホームレガシー2020〜2021
02. 光失えどその先へ
03. 世界に終わりが近づいて
04. 男の⼦⇄⼥の⼦
05. テレパシー
06. 東京
07. なんでもないようなことが
なんでもないような⽇々が
なんでもないような君が僕は好きなんだ
08. あい
09. 学年で⼀番ヘンテコな先⽣の歌
10. 歳をとること
11. LIFE GOES ON
All songs Wri+en by ⼤柴広⼰
Arranged by ⼤柴広⼰TRIO
Produced by ⼤柴広⼰
⼤柴広⼰[Vo,Gt,Cho,RAP,]/荻野⽬諒[B]/沖⽥優輔[Dr]
▼RECORDING GUITARS
・FENDER TELECASTER “DON SNOW” 1966
・GIBSON HC LES PAUL STANDARD “ALL GOLD” 2010
・YOUSAY SOUNDS TELECASTER MOD
・FERNANDES STRATCASTER BLACK CAT
・OVATION SUPER ADAMAS 2087GT-2
・TAYLOR 310
・HANDMADE SG “CREAM”
▼RECORDING AMP
・FENDER HOTROD DEVILLE
・FENDER ULTIMATE CHORUS 90s
Recorded at : STUDIO OKITA
Mixed at : ZOOLOGICAL BASE
Mixed Mastered by 倉本淳⼆
Art direction & Design : tog works
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