【Pearl75周年特集】真矢 [LUNA SEA]が語る濃厚な22年間、「僕も知らない僕のことをパールが教えてくれる」
3月27日および28日の2日間、さいたまスーパーアリーナで開催された<LUNA SEA –RELOAD->では、Pearlのe/MERGEを中心とした新たなドラムセットを初披露。ツーバスを軸にキャノンタムとチャイナが上方へ左右対称に伸びるシルエットは広がるウイングをイメージさせ、さいたまスーパーアリーナという大会場を羽ばたくように美しい。サウンドは実に豊か。電子ドラムの可能性を追求したe/MERGEがアコースティックドラムの深みを共存させて繊細でパワフルだ。
◆真矢 [LUNA SEA] 画像 / 動画
Pearlの飯石社長対談との後に実施したパーソナルインタビューでは、初めて買ったPearl Drumsの思い出から最新ドラムセットまで、じっくりと話を訊いた。1999年、Pearlとエンドースメント契約締結当時は、それまでのイメージを一新するシンプルなセットを披露。以降、スリーバスドラム、アクリルシェル、電子ドラム導入など、次々とセットを進化させ、ドラムの楽しさを我々に実証してくれている真矢が、改めてPearlの魅力と深い信頼関係を語る。
◆ ◆ ◆
■だから迷いはなかったよね
■一番長いお付き合いがPearl
──まず、飯石社長との対談でもお話されてましたが、ドラムを始めた頃のPearlの思い出から教えてもらえますか?
真矢:自分で買ったドラムセットの第1号がPearlのプレジデントエクスポートだったんですね。もともと親に買ってもらった中古のドラムセットを持っていたんですけど、それじゃもの足りなくなって、すぐに自分で買ったわけですよ。親に保証人になってもらってローンを組んで。
──未成年者が分割ローンで買う場合はそうですよね(笑)。
真矢:実際は親がローンを組むという仕組みですね(笑)。そのときに買ったのがPearlのプレジデントエクスポートだったわけ。
▲真矢[LUNA SEA] with President Series Phenolic |
真矢:2バス、6タム、2スネアでシンバルがいっぱいあるような。まぁ、今とあまり変わらない感じですね(笑)。
──当時から要塞セットが欲しかったんですね。
真矢:要塞好きでした(笑)。要塞好きのルーツは樋口 (宗孝 / LOUDNESSのドラマー)さんで。樋口さんはワンバスだったんだけど、僕はツーバスを踏みたかったので、ツーバスの上にブワーッとタムが並ぶという。
──楽器屋さんで“あれ欲しいな”って見ていたんですか。昔はドラムとシンセはお金持ちじゃないとできないイメージがありましたから、そんなセット、当時はすごく高価だったんじゃないですか?
真矢:高い高い高い! 何百万の世界ですよ。当時は今より楽器の値段が高かったというか、あの頃は廉価版とかなかったですからね。たとえあったとしても買うつもりもなかったし。プロになるって決めていたので、“絶対欲しいから”って親を説得したんですよ。
──じゃあ、夢のセットで初めて叩いたときの感動といったら?
真矢:ドラムセットと一緒に寝ましたからね(笑)。
──ははははは! “ギターと添い寝”はよく聞きますけど、“ドラムと添い寝”(笑)。初めて叩いたのはLOUDNESSの曲ですか?
真矢:もう忘れちゃったけど、その頃から常にライヴを想定して叩いていたので、何かの曲というよりもずーっと演奏していた感じでしたね。学園祭のときはコピー曲も演奏しましたけど。
──当時、同級生にそんな要塞ドラム持っている人いなかったでしょうね。LUNA SEAの活動が勢いを増していくにしたがって数多くのドラムメーカーとの出会いがあったと思いますが、Pearlさんとエンドース契約を結んだ決め手というのは?
真矢:Pearlはシリーズが豊富で、ドラムセットもパーツもカッコよかったんですよ、見た目もイケてたの。で、ちょうど僕がドラムを始めた頃に樋口さんがPearlに移ったばかりで、ミラーボール仕様の派手なセットを叩いていたり、そういう影響もありましたよね。あと当時、REACTIONのドラマーだった梅ちゃん(梅沢康博)とか、みんなPearlを使用していたのね。だから、迷いはなかったよね。1999年から22年間、ずっとですから。実はデビュー前のことなんですけど、最初にお話をさせていただいたのもPearlなんですよ。それからいろいろなメーカーのドラムを叩いたり、時を経た結果、いちばん長いお付き合いがPearlさんですから。
▲真矢[LUNA SEA] with President Series Phenolic |
真矢:やっぱり痒いところに手が届くことですね。パーツも含めてドラムセットって、「この部分があと何センチ縮まったらな」とか、「これがこういう音だったらな」って思うことがよくあるんです。そういうリクエストをすると全部作ってくれるんですよ。
──無理難題を言ったのに実現した最たる例を挙げるとすれば何ですか?
真矢:コパー材のフルセットですね。コパーって本当に音がいいから、「これでドラムセットを作ってくれない?」って言ったら、スタッフのみんなが「えーっ!?」って(笑)。「コパーで統一するのは現実的じゃない」って最初は言われたんですけど、結局、苦労して作ってくれましたからね。一緒に夢を見てくれるんです、Pearlさんは。作るだけで数百万かかったらしいので、売りに出したら1千万円以上するかもしれないですからね。僕は、メーカーさんというか、人として付き合ってるんだよね。アーティスト担当のスタッフだったり、開発のスタッフだったり、対人間として大好きな人たちがいる集団って感じですね。だから長く付き合うことができるんです。会社なので担当者の部署異動はあるんですけど、異動しても前任者とか前々任者がライヴに来てくれたり。
──真矢さんを知り尽くしている方々との強力タッグだからこそ、生まれる化学反応もあるでしょうし。
真矢:ペダルの開発スタッフは僕の踏み方を見ただけで、僕以上に理解して「こうしたらどうですか? 絶対、真矢さんはこうです」ってセッティングしてくれるんですよ。で、踏んでみたら、めっちゃよかったりとかね。ペダルもスティックも身体の一部なので、こだわりたいところではあるんですけど、自分のことだからこそ知り得ない部分があって。それを見出してくれたり、僕も知らない僕のことを教えてくれるのがPearlスタイルですね。
──なるほど。近年はアクリルシェルのシースルーピンク(2014年初披露)とグリーン(2017年初披露)のドラムセットの派手さに驚きましたが、あのアイディアはどこから?
真矢:Pearlが1970年代にアクリルシェルの“クリスタルビート”を製品化していたんですけど、それを再製造するタイミングと合致して、「じゃあ、違う色で」とお願いしたら、シースルーピンクを探してきてくれたんですね。グリーンのセットは、実はイエローとグリーンの中間色なの。照明によって色の見え方が変わる相乗効果がまたいいですよね、派手だし。あとPearlモニターって、耐久性テストを兼ねていたりもするんですよ。アクリルセットはまずシースルーピンクで作ってもらってLUNA SEAでワンツアー廻ったんだけど、全然壊れなかったのね。“これなら大丈夫だな”と思って電飾を施したりして(2015年の<LUNATIC FEST.>で初披露)、その後、グリーンのセットを作ってもらったんですね。
──見た目の存在感ほかこだわったところは?
真矢:音色が好きなんですよ、アクリルの。1970年代、ラディックのヴィスタライトやPearlのクリスタルビートが流行った時期があったんですけど、その頃はけっこう扱いづらい音だったんです。でも、今のアクリルシェルは本当にいい音が鳴る。叩かせてもらったら、音に惚れたという感じで。
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