【インタビュー】BREAKERZのAKIHIDE、ループペダルがもたらした刺激「好きなスタイルを全部集約できる」

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■LOOP WORLDを抜け出してライブで
■お客さんと対面したときに歌いたかった

──曲の話に戻ると、「蛍火」は情緒的なメロディが印象的なインストで、「真夜中に咲く花」は重ねたギターも繊細で後半のドラマティックな展開も含めて、それをひとりでプレイしているのが素晴らしいなって。

AKIHIDE:ありがとうございます。「真夜中に咲く花」はコンセプトストーリーの中だとクライマックスになる真夜中の出来事を描いた楽曲で、シネマティックな雰囲気をイメージしました。もともと好きなスパニッシュテイストをループさせたいなと思った曲でもあり、この曲だけ後からシンセを入れているんです。繰り返された今日が新しい今日に変わる瞬間の曲なので、出口としてループ以外の音を入れたかったから。“LOOP WORLD”から明日への架け橋になる曲なので、始まり方にもドラマティックになる展開にもメジャーコードで終わるエンディングにも想いを込めています。インストだからこそ、ちょっとした音の響きやアレンジやコードの鳴りでメッセージを伝えられたらなって。


──続く「New“Today“」は光が射してくるような曲に仕上がっています。

AKIHIDE:この曲はストーリーのラストシーン的なポジションです。楽曲自体は前からあったんですが、試行錯誤していてループアレンジにしてみたら“これだな”って。歌詞はそれほど明るいわけではないんですが、今もまだコロナ禍で手放しに次の世界が開けるという心境ではないので、温度感を気にして書きましたね。

──昨日までの世界に別れを告げて“変わらないものは無いと知ったよ”と歌っています。

AKIHIDE:新しい今日という気持ちで生きられれば、明日に進めるのかなっていう。そうメッセージしたかったし、自分もそういうふうに言われたいという気持ちで作りました。

──後半のコード展開も不協和音的な意外性があって気になりました。

AKIHIDE:そこはちょっと変化が欲しかったんですよ。ループするフレーズが多いので複雑なコードを弾くとぶつかっちゃう。でも、シンプルなコードじゃないものも好きなので、今おっしゃったような不協和音ギリギリのところでプレイしています。

──なるほど。エンディングの「おかえり」はアルバムの中でいちばん温かくて優しいナンバーです。

AKIHIDE:“LOOP WORLD”を抜け出してライブでお客さんと対面したときに歌いたかった曲です。お互いに「おかえり」って言って再会したいなって。この曲はコンセプトストーリーの先の話なので、主人公の未来なのか、ずっと会いたかった彼女との未来なのか、違う人との未来なのかはわからないけれど、確実に未来はやってくるんだという希望を込めました。僕自身のファンの方への願いもあって、最後はこの曲で締めたかったんです。


──初回限定盤にパッケージされている特典CDについてもお聞きしたいのですが、こちらには初期の曲も含め、過去曲をループペダルでリアレンジした曲たちが収録されていますね。

AKIHIDE:特典CDに収録されているのは配信ライブでやっていた曲たちなので、形にしたいと思ったんです。過去の曲もループペダルでアレンジすると新たな刺激があって、どんどんアイディアが浮かんできたんですよね。2枚のCDがどちらも8曲入りなのは8枚目のアルバムにちなんで、なんです。

──ライブが中心のセレクトなんですね。

AKIHIDE:そうですね。ループペダルでのライブに適したセレクションです。それと過去、現在、未来という意味合いも込めていて、過去の楽曲を今、こういう形で聴いてもらうことでひとつのループになればいいなって。BREAKERZの前に僕がやっていたバンドNEVER LANDの「メモリーフィッシュ」という曲も収録されていて、過去を遡っていくような内容になっています。

──「星祭りの夜に」が途中でヒップホップなアプローチになる展開もカッコいいなと思いました。

AKIHIDE:ありがとうございます。

──もともとAKIHIDEさんのサウンドには踊れる要素がありますが、ループペダルによって、そのグルーヴがより強調された印象があります。

AKIHIDE:それはたぶん、ソロライブに参加してくれているパーカッショニスト豊田稔さんの音が、僕の頭の中で鳴っているからなんですよね。踊れるグルーヴィなリズムを奏でる方なので、僕が彼を追いかけているところがあるかもしれないです。

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