【インタビュー】10-FEET、新曲「シエラのように」をNAOKIが語る「人間味や人間臭さが、今回は特に強い」
■切ないけど力強さもあって凄くロック
■人によって捉え方や印象も違うんかな
──7月にインタビューさせていただいたときには、秘かに制作に着手していたわけですよね?
NAOKI:そうですね。ベースのレコーディングをちょうどしている時期でした。でもあの時点では「シエラのように」をリード曲にするとは、まだ決まってなかったんです。他にも何曲か候補があって。
──「6〜7曲のデモがTAKUMAから送られてきた」と言ってました。
NAOKI:そう。いろいろ着手していった中で、特に「シエラのように」はアレンジしていくうち、曲の膨らみがすごくあったんですよね。聴き方によってはすごくストレートなロックの曲やと思うんですけど、僕ら的には“今までやってこなかったな”と思える楽曲で。すごく切ないメロディではあるんやけど、力強さもあって、すごくロックしている。人によって捉え方や印象も違うんかなって感じた曲だったんで。
▲NAOKI (B, Vo) |
NAOKI:Aメロがちょっと変わったり、後からCメロが付いたってところはあるんですけど、基本形は原曲からほぼ変わってないんですよ。基本形の肉付けというか、それぞれの楽器のアレンジによって曲の持っている“味”がすごく大きくなっていった感じ。楽器も歌っているというイメージやったんですね。一緒に歌っているんやけど、ボーカルのメロディを活かすことに徹して、歌のコーラス的なプレイというか。一歩引いて曲を聴いたとき、すごくおもしろいなと思いましたね。
──そうなんですよ。ベースを歌わせるんじゃなくて、ベースで歌っている。この微妙な違いがあると思うんです、この曲には。意識したメロディアスさではなく、ナチュラルに曲に入り込んで歌っているフレーズ。
NAOKI:うん、そうですね。最初、アレンジの時点で僕も時間が掛かったんですよ。フレーズを考えながら、“なんか違うな”ってことの繰り返しで。そのときはずっとヘッドフォンしながら、パソコンから曲を流しながら考えていたんですけど、一度ヘッドフォンを抜いて、ずっとループ再生しながら、“フレーズがなんも出てこうへんな”ってボケーっとしてたら、リラックスしていたときに頭の中で鳴り出したフレーズが良くて。今までいろんなやり方してきたんですけど、ヘッドフォンしたままでは出てこうへんかったのが、スピーカーで鳴らしていたら、フレーズがメチャクチャ出てきたんです。
──ヘッドフォンすると曲に集中するじゃないですか。でもヘッドフォンを外すと、曲の聴き方がお客さんっぽくなるというか。ちょっと客観視できるような。
NAOKI:ああ、それかもしれない。
──おまけに、手元に例の1.8リットルの紙パックでしょ。
NAOKI:ああ、いいちこでしょ。はい。
──“はい”って、飲みながらかい(笑)。
NAOKI:そうではないですけど(笑)。でも「ハローフィクサー」のときは、普通にこもって集中した状態で考えて、自分の中で“できた”って感じだったし、今までもずっとそうやってきてたから。スピーカーから音を鳴らしながらでは集中力も散ってしまって、できないと思ってたんですよ。でも今回、全体像を簡単に録った音を聴いていたとき、無意識に人の曲を聴いている感覚もあったから、“俺ならこうする”みたいにフレーズが出てきたんかな。今までとはちょっと発想の仕方が違いましたね。
▲「シエラのように」完全生産限定盤ジャケット |
NAOKI:はい。そこが一番大きいかもしれないですね、客観的に捉えながら作った感というのが。突破口が開いた感覚が、そのときはすごくありましたから、今度からこのやり方でいこうと。ところが、その方法で次の曲をやってみたら全然ダメやった(笑)。「シエラのように」に関しては、そのやり方が良かっただけで、ひとつのやり方に固執したらあかん、と思ったんです。多分、曲の持っているパワーや空気感に、自分が持っていかれたんでしょうね。それでフレーズがメチャクチャ湧き上がってきた。ベーシストとして曲を支えることが一番大事なことだけど、「シエラのように」は一緒に気持ち良く歌っている感覚で。だからライブはすごく難しいと思う、一緒に歌うベースプレイが肝やと思うし。キッチリ弾くというんじゃなくて、曲の中に入り込んで一緒に歌っている感覚を表現できなかったら、良くならないんじゃないかなって。プレイに人間臭さや土臭さが出やすい楽曲だなって、完成して聴いたときに思いました。
──音やプレイには気持ちや感情も入る、とよく言います。しばらくライブから離れていたことも、少し関係していますか?
NAOKI:そういうのは考えて弾いてなかったですけど、もしかしたら影響があったかもしれないですね。無意識に身体で感じていたからか、他に手を付けていた楽曲もそういうアプローチに自然になっていたのかも。今、振り返るとそう思いますね。「彗星」や「あなたは今どこで誰ですか?」は、そのときの素直な感情をストレートに出した曲なんですよ。前作「ハローフィクサー」は、しっかりとベースで攻めの姿勢に入るってイメージで、どれだけ刻みで重さを出せるかってアプローチだったんで。
──「彗星」と「あなたは今どこで誰ですか?」は、「シエラのように」の後から録ったんですか?
NAOKI:そう、後です。その2曲はレコーディングの合間を縫いながら、ハイスピードで作った感じがある。「彗星」は、アプローチの入り口として初期衝動に近いというか、“ちょっと昔のメロディックパンクみたいな始まり方しようぜ”っていう感じ。「あなたは今どこで誰ですか?」は、合わせながらその場で鳴ったフレーズや感じたことを、そのままストレートに弾いてます。そういう意味では、衝動と、そのときのフィーリングですね。そういう感覚でいきやすい曲だったというのもありますし。ホントに、「シエラのように」はライブが楽しみで、気持ち良くなれへんかったら終わりやなというプレッシャーもあるけど(笑)。
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