【対談】ガラ(メリー)×ナオ(首振りDolls)、転がり続ける“バケモノ”達の想い
──ガラは自らの人間としての成長が、メリーのガラの歌詞を変化させていると感じることはある?
ガラ:そうね……。今までは、“こうで、こうで、こうだから、腐ってんだよ!”って投げっぱなしだったけど、最近は“こうで、こうで、こうだから、こうだろ? な、みんなもそう思うだろ?”って投げかけるようになったかな。主張だけじゃなく、“こういう人もいるはず”って思うようになった。そこも一つの余裕なのかな? 言いたいことを言い放って、ただただ叫んできたけど、きっと“こんな風に思う人もいるのかもしれないな”って思えるようになったというのか。言い切ることが少なくなってきた。
──問いかけは同意を求めているの? どういう変化なんだろうね?
ガラ:俺が弱くなったのかな? 何だろうね? どういう変化なんだろう?
ナオ:俺がそこから感じるのは、同意を求めているのではない気がします。
ガラ:そうね。共感を求めているわけじゃなくて。“ほら、これ美味いだろ、ナオ!”ではなくて。“これ、俺はすごく美味いと思うんだけどな”ってこと。未来は明るい。だからみんなで頑張ろうぜ! じゃなくて、未来は明るいだろう。なんだよね。分かりにくいかな? 未来は明るいだろう。だから、ここからの自分の生き方次第で自分たちの未来も変わるんだと思うよ。って感じかな。そこに含ませてるというかね。希望なのかなぁ。
ナオ:人生というものをいろいろと経験する上で、言い切れることばかりじゃないというところの気づきだったり。“自分次第なんだよ”っていうところの教えなのかもしれないですね。
ガラ:言い切れる人って強いなって思う。聴き手は、引っ張ってもらえる安心感ってのも求めているところはあると思うからね。俺は自分の歌詞を見返して、決して強くはないなって思うから。俺がこうだったから、お前らも頑張れよ! じゃないんだよね。俺はこうだったけど、お前らにはお前らの生き方があるし、それぞれのゴールと、そこに辿り着くまでの生き方があるんだから、それぞれの進み方で頑張ればいいんだよ、なんだよね、俺の歌詞は。もしかしたら、ゴールは同じところにあるのかもしれないけど、それぞれの人生があって、それぞれの生き方があるから、それぞれなんだよって、聴く側を尊重できるようになったのかな? って思う。言い切れる人を批判している訳ではなくね。
ナオ:表現の違いはあるけど、ゴールは同じなのかもしれませんもんね。導き方の違いなのかな。聴いてくれる人をどうやって奮い立たせるか、ってとこなんじゃないかな。私も暗い曲は暗いまま終わっていた方がいいって思う人間だったんですけど、最近はやっぱりどこかに救いを入れたくなってますからね。
ガラ:分かるよ。どれだけ暗い表現でも、どこかに救いは入れたいよね。一言でいいんだよ。
ナオ:分かります。その救いの一言を入れられるのって、音楽だからこそだと思うんです。
ガラ:そうだね。音楽だからこそ素直に言えるというか。本当に一言でいいんだよ。余計なことは要らない。“頑張れ”よりも、頑張れって言葉が必要そうだなって思ったら“呑みに行こうか”って言ってあげたい。それがみんなにできたら最高なんだけどね。
ナオ:そうですね。でも、本当に歌詞では余計なことは言わない方がいい。それに、自分が聴き手の立場になったとき、“頑張って”って言われたいときもあれば、“頑張って”を言われたくないときもある。だから聴く人がそこは選んでくれたらいいと思う。
ガラ:たしかに。昔は、全ての人を幸せにしたいと思って叫んでたけど、今は、全ての人を幸せにするなんて無理だなって思うようになった。
──2人の言ってることはすごく納得できるな。じゃあ、オーバーグラウンドの世界で、すごく多くの人たちが共感する“売れる”という現象は、どういうことだったりするんだと思う?
ガラ:決して批判する意味で言う訳ではないけど、歌詞の面で言うなら、多くの人に当てはまる言葉が多いのかもね。光とか、希望とか、そういう感じの広い表現を使っているからなのかも。
ナオ:たしかにそうかも。もしかしてこの先、私が光とか、希望とかを歌うことがあったとしたら、きっと間違いなく“変わった”って言われちゃうんでしょうね。でも、それが変化なんだと思う。きっと歌えないと思うけど(笑)。
ガラ:自分の中に無いものは歌えないもんね。さっき、ナオも言ってたけど、説得力がそこには無い。それって伝わってしまうからね。
ナオ:そうですね。みんな自分の気持ちに寄り添ってくれる歌や曲を探してるんだと思うんです。
ガラ:でも、ぴったり当てはまる歌詞なんてないからね、きっと。そこに共感はあっても、ぴったり同じってのは本当に稀だと思うから。
ナオ:ですね。それもあって私、普段は歌詞とか分からない聖歌とか聴いちゃってるんです!
ガラ:マジ!? 深いな。それは深すぎる!
ナオ:あははは。でも、そんな私達の変化も込みでバンドを愛してもらえたら嬉しいなって思いますね。
ガラ:そうだね。それも全てバンドの残した足跡だし、人生そのものだからね。
──生きた証だからね。
ガラ:そう。バンドも変化してるからね。もちろん、さっきナオが言ったように、バンドとして一つのバケモノになっていなくちゃいけないって思うけど、音としては、だいぶ意識が変化してきてるところはあって。メリーは、昔の方が、バンドで一つの音を作らなくちゃいけないという意識が強かった。今はもっと歌を中心に据えることを第一に考えていて。シングルのカップリングもアコースティックにして、歌を全面に出す様にしていたりもするから。そう思うと、昔の音作りの方がバンドしてたなって思うよ。とにかく、バンドにおいてボーカリストは、中心にいなくちゃいけないし、音の中でも中心にいなくちゃいけないと思うからね。ナオはその点ドラムボーカルだから大変なところはあるか。
ナオ:動けないですからね。その分、そこを意識したセッティングにしているし、後ろまで届く様に極力目線を後ろに置いてライブしてますからね。でも、ドラム叩いてて基本座ってるから、後ろのお客さんから見えずらいから、もうちょっとドラム台が高くできるといいなとは思うけど。でも、首振りDollsはジョニーとショーンっていうキャラクターの濃いギタリストとベーシストが居てくれて、ガンガンに動きまくるから、ステージでの並びとしては横一列のバランスがすごくしっくりくるんです。
──唐突だけど、バンドって何だと思う?
ガラ:何、その『プロフェッショナル 仕事の流儀』みたいな質問は。
──突っ込んでいこうと思って(笑)。ナオはさっき、バンドは一匹のバケモノだって言ってたけど、バケモノって何?
ナオ:こうしてガラさんと普通にご飯食べさせてもらってるときとかって、すごく自然体なんですけど、バンドとしてステージに立つと一匹のバケモノに変わるんです。
──メリーも健一脱退の発表をしたし、首振りDollsも前のベーシストが脱退して、2019年から現メンバーで始動し始めたでしょ。バンドを1匹のバケモノ、つまり1匹の生き物として例えるなら、それは、体の一部を失うことに繋がることでしょ?
ナオ:うん。でもね、失ったことに変わりはないけど、羽をもがれた気はしない。ウチだったら、そこに加わってくれたショーンは、首振りDollsというバンドの1匹になろうと思って入ってきてくれたわけだから、そこが新しい翼になるし、形を変えながらも、俺たちは1匹なんですよ。私がメリーのことを言うのはおこがましいですけど、メリーもそうだと思うんです。形を変えながらもメリーであることは変わりないし、変わらず1匹のバケモノだと思うんです。メリーが続く限り、首振りDollsが続く限り、それが1匹のバケモノに変わりはないんです。ファンの方の中には、昔のメンバーが良かったとか、5人の方が良かったって言う人もいるかもしれないけど、俺たちは、今の形で1匹なんですよ。そうやって形を変え続けながら、世界一のロックンロールバンドになったのが、ローリングストーンズだと思うんですよ。
ガラ:なるほど。ナオ、いいこと言うね。
ナオ:ジョニーがメンバー変わった頃に言ってたんです。本当にそうだと思うんですよ。もちろん、メリーとは長さも格も違うから、本当に一緒にするのはおこがましいんですけど、俺もショーンが入る前にメンバー脱退を経験してるから、本当にメンバー脱退の際の気持ちって分かるつもりなんです。でも、俺たちは本当にショーンという宝を迎え入れれたことで、バンドとして転がり続けることができた。だからこそ、そのときに思ったんです。とにかく、歪でもなんでも転がり続けてなくちゃいけないんだって。さっきも話したけど、バンドとしたら1匹のバケモノだけど、そのバケモノを作っているのは1人1人の違った個性と人生を持った人間だから、歪な丸になるのは当たり前なんですよ! 『スイミー』みたいなもんで、いろんな事情を抱えてて、いろんな人生がある1人1人が集まって1匹を作ってるんだから、歪なのは当たり前で。だから、一緒に進んでいけなくなることだってあると思うんです。それは仕方ないと思う。でも、ステージに立ったら1匹なんです。それでいいんです。そのまま転がり続けることが大事なんです。私はそう思うんです。
ガラ:転がり続けなくちゃいけないってことだね。
ナオ:どんな形になろうともです。ロックンロールって岩だから、歪でいいんです! 丸くなっちゃダメなんです! 歪なのが一緒になって転がり続けてるからカッコいいんですよ、ロックンロールバンドって!
ガラ:なるほどね。
ナオ:俺たちは岩だから歪なんです。
ガラ:ナオ、ありがと。それだね。本当にそうだと思うよ。昔はさ、“1人でもメンバーが欠けたらメリーじゃない”って言ってたんだよ。1人でもオリジナルメンバーが欠けたら、そのときは解散だって思ってた。今回も19年も一緒にやってきたメンバーだよ。そのメンバーが抜けるなんて、悲しくないわけがない。ファンの人たちが悲しいのもすごく分かるよ。でも、ごめん、俺の方が悲しいと思う。それに、“1人でもメンバーが欠けたらメリーじゃない”って言ってたじゃないですか、っていう人たちも実際に居るのね。けど、俺たち走り続けてきちゃったからさ。止められないと思ったんだよね。続けていくしかない。諦めきれないんだよね。この先に何かあるかもしれないって。もしかしたら、その先に離れたメンバーとまた一緒にできる日がくるかもしれない。“もう一回やりたい”って思ったら、またやればいい。そのためにも、俺たちはずっと動いて居なくちゃいけないんだなって。ナオの言葉を借りるなら、転がり続けて居なくちゃいけないのかもね。俺がメリー作るって言って作ったからさ。守らないとね。なくしちゃいけないんだよね。転がり続けないと。
ナオ:本当にそうだと思います。俺たちもそうですからね。前のベースが辞めるって言ったとき、そこで辞めてしまっていたら、ショーンが入ってきて一緒に見た景色や、新しく出逢えたファンの人たちや、新たに首振りDollsを知って好きになってくれた人達と作ったライブは経験できなかったってことですからね。本当にやり続けることに意味があるんだと思います。
ガラ:そうだね。転がり続けないとね。なんだろな、俺、先輩なのに教えてもらってる気がするよ(笑)。
ナオ:そんなことないですよ! 俺はいつもガラさんに助けられてます! 東京来て、1番会ってる先輩ですもん。本当にいつも気にかけてもらって感謝してるんです。
ガラ:いやぁ、俺、正直羨ましかったんだよね。俺がちゃんと首振りのライブ観せてもらったのは、2019年の11月に下北沢251でやった土屋アンナさんとの対バン<WHO KILLS BAMBI〜土屋アンナ×首振りDolls>だったんだけど、すごい熱量でビックリして。近くで観てた知り合いに、“首振りっていつもワンマンのときも、この熱量でライブしてんの!?”って聞いちゃったからね。そしたら、毎回そうだっていうから。200%くらいの熱量でライブやってる首振り観たらなんか圧倒されちゃって。俺らにはこういう熱量が欠けてるのかもしれないって思ったんだよね。バンド始めたての頃の熱量みたいな、音楽が好きで好きでたまらない熱量というか、衝動みたいな熱が溢れかえってて。すごいなって思った。そこからいろいろと呑みに行ったりご飯に行ったりして、今年の2月21日にナオがアコースティックのライブに呼んでくれて。ボーカリストとしてもすごく魅力のある声の歌い手だなって再確認して。ナオとか俺は唄で殺していかなくちゃいけないボーカリストだと思うんだよ。ボーカリストにもいろいろとタイプがあって、バンドの一部で居るべきボーカリストの形もあるからね。
ナオ:そんな風に言ってもらえて光栄です! 本当に嬉しい。
ガラ:ナオとなんか、一緒にいろいろとやれることを嬉しく思ったんだよね。自粛中にいろいろな人が立ち上げていた“繋ぎ”でも、ナオは俺に声かけてくれたでしょ。結局、自分が本職としている唄をそこでアップしてしまうのはどうなんだろう? っていう疑問があったりもしたから、ちょっと考えるわ〜ってやらなかったんだけど、そういう考え方をしちゃう自分に対して、つまんない奴だなって思ったりもしたしね。何をやるべきなのか、何を辞めるべきなのか、本当に正解が分からない。今、毎日やってるYouTubeも、喜んでくれる人が居るなら、少しでも求めてくれる人たちの力になれるなら、と思ってやり始めたんだけど、日々自問自答だよね。でもね、ナオが俺に繋ぎたいって思って、俺のことを思い浮かべてくれたんだなって思ったら、本当にすごく嬉しかったんだよね。
ナオ:そんな嬉しいこと言わないで下さい! 私は今、こうしてガラさんと一緒にお話しさせてもらえてることが嬉しいし、本当にこんな風に知り合えたことを感謝してるんですから!
──いい話。そんな良い関係性の話の途中に水を差すようですみませんが、ガラ、最近のナオに一言あるんじゃなかったの?
ナオ:え!? なぁに? なになに? 私、なんかしちゃった!?
ガラ:なんだっけ?
──さっきも撮影しながらそんな話してたよね?
ガラ:あ〜。そうそう。ナオはなに?
ナオ:何と言いますと!?
ガラ:なんなの?
ナオ:何なのと申しますのは!?
ガラ:可愛いキャラ狙いなの? 前髪パッツンにしてきました〜みたいな、可愛い狙いのTwitterアップしてたりしてたでしょ? 何それ。
ナオ:そこ〜!? あはははは(爆笑)。そこですか! ガラ先輩!
ガラ:もっとさ、荒くれ者っぽく気だるく、カッコイイ感じの方がいいと思うけど? 可愛いって言われたいの?
ナオ:あははは。言われたい(笑)。心が乙女なところがありますからね、私(笑)。aikoさんとか大好きだし。
ガラ:ナオ、aiko好きなの? 乙女だわぁ。
ナオ:aikoさんはアーティストとしても、女性としても大好き! ああいうタイプ大好きだし、ピアノを弾く人だから、驚くようなコーラスの入れ方するんですよ! そこが本当に素晴らしいなと思って。曲ももちろん、歌詞も大好き。
ガラ:乙女だわぁ。大きな木に吸い付いてるカブトム的な?
ナオ:そういうの可愛いわよね〜。彼氏を大きな木に例えて、自分はそこに吸い付いてるカブトムシっていう。可愛い。私、そういうとこある。
ガラ:そっちの虫か! 俺はてっきりナオは「蛹化(むし)の女」の方の属性かと思ったのに。
ナオ:ガラさん! 当たり前じゃないですか! 戸川純さんだってもちろん大好きですよ! そっちの蛹化も大好きです!
ガラ:どっちなんだよ!
ナオ:どっちもです(笑)!
ガラ:今日だってなんなの? バッティングやるよって言ってんのに、何で厚底とか履いてくるわけ? 山登り行くよって言ってんのに、ヒール履いてくる女子みたいなめんど臭さだよね。
ナオ:あははは。何その例え(笑)! めちゃくちゃ面白いんですけど、ガラさん! でも、ちょっと弁解させてくださいよ! 違うんですって! 私、厚底しか持ってないんですよ、靴! あとは、ドクターマーチンのサンダルしかなくて。雨だったし、ガラさんと会うのにサンダルは失礼かなとも思って。
ガラ:まぁ、何でもいいけどさぁ〜。だから球投げる時とかも内股になるんじゃん! 本当に、女子じゃないんだから。何、あのフォーム。
ナオ:あははは。だって、野球経験者じゃないですもぉ〜ん。
ガラ:もぉ〜んじゃないわ。ブラジャーとかしてないだろうね?
ナオ:ブラジャー(笑)!?
ガラ:最近妙に綺麗で可愛い感じにしてるし、新しいアー写とかもグラムロックだったし、まぁ、あれはいい感じだし、首振りDollsっぽいなって思ったけど、Twitterのぶりっ子具合はどうもね〜。
ナオ:ブラジャーしてないですよ。ノーブラです(笑)。
──お好み? ノーブラ。
ナオ:ノーブラですよ! ガラさん! ノーブラ!
ガラ:え? ノーブラ!?
ナオ:キラキラした目で見ないで下さい!
ガラ:見てないし。興味ないわ。ナオがノーブラでも。まぁ、首振り“DOLLS”だから、可愛いのもいいかもしれんけども……。俺はちょっと荒くれだったナオのが好きだな。てか、脱毛とか行ってないだろうね? そんなん行くくらいだったら、全部毟ってくれ!
ナオ:あははは。毟ってます毟ってます! もともと女子みたいなとこあるの。
ガラ:あるの。じゃないわ! ちょっと俺は、ナオのその“可愛い”に対して睨んでいこうと思ってる。
ナオ:いやぁ〜ん(笑)。でも、実際そうそう可愛くないですからね(笑)。
ガラ:ナオは逹瑯(MUCCのVo)顔だよね(笑)。
ナオ:めっちゃ光栄じゃないですか!
ガラ:そうなの(笑)?
──ガラと逹瑯の関係性もいいよね。ガラの方が先輩なのに、絶対的なジャイアン感で逆転してる(笑)。けど、そんな中にも逹瑯のガラに対する敬意を感じるところがすごくいい。
ガラ:敬意感じる!? 俺はそうは思わないけどね(笑)。
ナオ:前にラジオでガラさんと逹瑯さんがやり取りしてるのを目の前で見させて頂いたとき、本当にすごいテンポ感で驚いて。本当に仲いいんだなって思ったんですよね。すごく羨ましかった。そんな仲間がいることが、本当に羨ましくて。いいなぁ〜って。
ガラ:そうだね。仲間が居てくれるのは本当に力になるからね。ナオは上京してきてどうなの? 憧れていたものや、感動はあった? これが花の都大東京か! みたいな感覚はあったの?
ナオ:いや、正直音楽やる上でやっぱり東京に居ると身軽に動けるし、いいな! ってくらいですかね。本当にそれ以外ずっと家に居て曲作ったりしてるから。東京に来て良かったって思うのは、人にたくさん会えるのと、仕事しやすくなったっていうことくらいです! 今はそれ以外あんまり求めてないし、興味ないのもありますけど。
ガラ:あ、そう。珍しいな。みんなが憧れて、夢抱いて、夢が敗れて帰っていく。それが花の都大東京ですよ。
ナオ:そういうドラマティックな街なんだろうなって、特に新宿の街を見てると思いますけどね。でも、こうしてガラさんとかが誘ってくれてすぐ呑みに行けるのは、本当に嬉しいです!
ガラ:ナオから誘ってきたことないじゃん。
ナオ:いや、そんなことないですよ! 前に夜中に電話したじゃないですか、失礼だと思いましたけど、八十八ヶ所巡礼のかっちゃん(八十八ヶ所巡礼のGのKatzuya Shimizu)と呑んでたとき!
ガラ:あ〜、酔っ払って電話してきたやつね。
ナオ:自分から先輩を誘うのは悪いかなぁと思って……。遠慮しちゃうんです。いいんですか? 誘って!
ガラ:いいよ。まぁ、たしかに、俺も自分が後輩の立場で先輩のこと考えると遠慮して自分からは誘えないんだけど、自分が先輩の立場になると分かるね。ちょっと待ってる自分がいるわ。
ナオ:ガラさん! 可愛い!
ガラ:ちょっと待って。俺はナオみたいに可愛いの狙ってないから、それ要らない(笑)!
──待ってるんだ、ガラ(笑)。たしかに、可愛い(笑)。
ナオ:そういうとこなんでしょうね! ガラさんモテるの分かるわ〜!
ガラ:うるさいわ。
ナオ:うるさいって言われた〜(笑)。でも、2回目に誘ってもらったとき、“すごく飲めるんでしょ? よし。今日はとことん飲もうぜ!”ってなって、2人でコンビニで『ヘパリーゼ』買って飲んで準備してから呑みに行ったんですよね(笑)。楽しかったなぁ〜。
ガラ:また一緒にステージに上がれたらいいね。
ナオ:そんなそんな! 本当に嬉しいです! こちらからお願いしたいところです!
ガラ:この先のことはまだ見えてないけど、とにかく踏ん張って、ナオが言うように転がり続けていかないとね。ウチらもメンバー脱退のタイミングと重なっちゃったし、首振りDollsも上京してきて、ここからエンジンフル回転で行くはずだったタイミングでコロナだったもんね。
ナオ:そうなんです。首振りDollsとしては、延期になった3月の20日21日22日の3daysが上京してきた首振りDollsが勝負をかけた、起爆剤となるライブでもあったし、ツアーファイナルでもあったので、正直、行く道を閉ざされちゃった感があって。いやぁ、人生甘くないなって思いましたね。いきなり試されてるみたいで。
ガラ:そうだね。試されてるんじゃないかって思うよね。でも、きっと本当に試されてるんだと思うよ、今、俺たちは。この時間を使って何をするか、それで大きく差ができると思うしね。
ナオ:本当にそうですね。
ガラ:何かしてる?
ナオ:バンドとしての動きはいろいろと考えてます。新曲も書きためてますし、個人的には絵本描いてみたり、ずっと形にしたかった映像の編集を改めて勉強してみたりしてます。九州に居た頃、ずっとテレビ局でバイトしてたこともあったんで、もともと映像には興味あって勉強してたんです。
ガラ:俺たちの経験や全ての生き方は全部歌詞に活きてきたりもするからね。絵本も映像も全部繋がっているのかもね。本当に節目だよね。いろいろと世の中が変わって行く。俺、こうなる前までは、ライブがカッコイイのがバンドだって思っていたけど、この先、SNSとかで火が付いたバンドとかアーティストは、この自粛的な流れが完全に開けたとき、いざ生でライブしますって言ったとき、ライブしたことないですっていうアーティストや、ツアー経験ないですっていうバンドが出てくるんじゃないかなと思っていて。
ナオ:そうかもしれないですね。今はみんなが小型のコンピューターを持っている時代ですからね。音楽の在り方も変わってきてますからね。今までサブスクとかやっていなかったアーティストやバンドもどんどんやり始めてたり解禁になってるし、本当に変わってきたなって実感してるんです。
ガラ:昔は探すしかなかったからね。
ナオ:分かります! その探すのも楽しかったんです! 昔小さい頃ラジオでかかった曲を必死で探しましたもん。ガレージのリバイバルが流行った頃だったんで、それを漁りに古いレコード屋さんに行って、そこでまた関連したアーティストを見つけて好きなアーティストを増やしていった時代も、本当にすごくいい時代だったと思うんです。
ガラ:そうだね。よくジャケット買いしてたもん。ジャケットが好きで買ってみたら、思ったのと違ってガッカリした失敗も懐かしい。1枚のレコードを擦り切れるまで聴くなんてことは、もう今の時代ないんだろうな。そう思うとちょっと悲しいよね。今の時代、アルバムのイメージが凝縮されている、ある意味すごく重要なポイントとなるジャケットですらも、必要とされていないんだって思ったら、本当に悲しい。そこも作品つくりのこだわりの部分だからね。
ナオ:本当に昨日まで普通の高校生だった子が、いきなり次の日に大スターになることだって、あり得ますからね。そこも否定しないですけどね。でも、俺はライブで戦えるバンドで居たいです。やっぱりバンドはライブだと思うから。たたき上げというか。俺たちは完全に叩き上げのバンドですからね。でも、そこに今は誇りを持ってます。
ガラ:そうだね。昔はやっぱ叩き上げで、ドラマをたくさん持ってる人がカッコ良かった時代でもあったからね。
ナオ:でも、やっぱりいい音楽って形を変えてもずっと残って行くんだと思うんです。最近、サブスクにあって、飛び上がって喜んだのが、CHAKRAっていうバンド。「めだか」って曲が死ぬほど好きで、それしか聴いたことなかったんだけど、70年代後半に3年くらいしか活動していなかったバンドだからなかなか昔の音源を探して買うことができなかったんだけど、サブスクにあったんですよ! その感動たるや半端なくて。アルバム全部聴けちゃうなんて、なんて幸せなの!? って。
ガラ:それは感動だね。それに、40年前の音楽をそうやって聴けるようになったら、またそこから新しくCHAKRAを知ってくれる人もいるってことだもんね。解散してしまってるバンドだからライブを観ることは叶わないけど、それはすごいよ。そういう意味ではサブスクって本当にすごいよね。海外でもどこからでも手に入れることができるんだもんね。
──そう思うと、メリーも5人で発した音は永遠に残っていくということだもんね。
ガラ:そうだね。そこは永遠だからね。便利な世の中と、忘れちゃいけないところを共存していけたらいいよね。
ナオ:本当にそうですね。
──メリーはこの先の予定としては、8月1日から始まる<5 Sheep Last Tour>全16公演と、追加として発表されていた、そのツアーファイナルとなる9月19日の日比谷野外大音楽堂公演?
ガラ:そう。5人での最後のツアー。安全面とか最善を尽くして、5人でのツアーをメリーを支えてくれている大切な人たちと一緒にやりたいなと思ってる。最後に5人でツアーまわりたい。本当にそれだけというかね。8月9月のコロナ感染の状況は、今の時点では全く見えないけど、最後に5人でツアーまわりたい。ただただそれだけを願ってる。本当に今はそれを1番願っているかな。
ナオ:素敵なライブになることを祈ってます。ガラさん、本当にありがとうございました!
ガラ:こちらこそ、ありがとうね、ナオ。久々に楽しかったよ。バッティングも。久しぶりに本気で笑えたよ。ありがとう。
ナオ:私もです! 私もガラさんのような素敵な先輩になれるように頑張ります! ありがとうございました!
取材・文◎武市尚子
写真・映像◎DOLL RECORDS Co., Ltd.
■首振りDolls リリース情報
6月25日発売
¥3,500(税込)
首振りDolls online storeにて6月15日より予約受付中
約60分のライブ映像に、スペシャルインタビューとオフショット映像が収録された大満足の1枚! 未発表新曲もあり!
■STUDIO LIVE アルバム3.22.202『THE ROCKY GLAM DOLL SHOW』
発売中
(新MV「リトルサマーベリーオレンジミルク」収録)
¥3,000(税込)
■首振りDolls ライヴ情報
2020年7月11日(土)吉祥寺PLANETK
START 19:00
TICKETS ¥2,800
【出演】
首振りDolls
アラウンドザ天竺
スッキツォイドマン
※スキッツォイドマンは事前収録動画配信です。
【チケットはこちらから】 https://twitcasting.tv/gacchimusafes/shopcart/11577
※お目当てのアーティスト1組記載お願いします。
■首振りDolls新企画『FRIDAY THE DOLLS 』
トークや様々なチャレンジ、スタジオ配信など、首振りDollsが体を張って楽しい時間を画面の前の皆さんにご提供します!
https://www.youtube.com/channel/UCeSAh5kaKKu3FIUJXYIAzwg
■メリー<5 Sheep Last Tour>再振替日程一覧
8月1日(土) 新横浜NEW SIDE BEACH!!(CORE限定)
8月8日(土) なかのZEROホール
8月9日(日) 仙台CLUB JUNK BOX
8月10日(月・祝) 名古屋BOTTOM LINE
8月14日(金) 千葉LOOK
8月16日(日) 京都FANJ 【会場変更】
8月22日(土) 岡山CRAZYMAMA KINGDOM
8月23日(日) 松山WstudioRED
8月28日(金) 金沢vanvanV4
8月29日(土) 大阪CLUB PARTITA 【会場変更】
8月30日(日) 福岡BEAT STATION
9月4日(金) 旭川CASINO DRIVE
9月6日(日) 札幌cube garden
9月12日(土) 高崎club FLEEZ
9月13日(日) HEAVEN’S ROCK 熊谷 VJ-1
9月18日(金) 赤羽ReNY alpha
追加公演<5 Sheep Last Tour【FINAL】そして、遠い夢のまた夢>
9月19日(土)日比谷野外大音楽堂
◆首振りDolls online store
◆首振りDolls オフィシャルサイト
◆メリー オフィシャルサイト
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