【インタビュー】ZIGZO、髙野哲×櫻澤泰徳が語るコロナ禍と12ヵ月連続リリース「生涯バンドマンでいたい」
ZIGZOが6月20日、セレクトリテイクシリーズ第一弾となる楽曲「FOREVER YOUNG (2020ver.)」を配信リリースした。同シリーズは2021年5月20日までの1年間、過去曲のリテイク2020ver.を毎月20日に1曲ずつ連続配信リリースしていくというものだ。
◆ZIGZO 画像 / 動画
「今、できる事、やるべき事」をテーマに協議を重ねた結果、実施することになった同リテイクシリーズは、2021年6月20日の発売が既にアナウンスされている7年ぶりの5thオリジナルアルバムをひとつの到達点として、この状況下でも発信することを止めないというZIGZOからのメッセージでもある。
髙野哲 (Vo / G)と櫻澤泰徳 (Dr)の2人は個々のSNSやオフィシャルYouTubeチャンネルを利用したアクションも活発。手段を尽くして、ファンに希望を与え続けてくれている。両氏を迎えたインタビューでは、ZIGZOの現在、12ヵ月連続配信リリース、その第1弾楽曲「FOREVER YOUNG 2020 ver.」、そして今後についてじっくりと話を訊いた。驚くべきことに彼らは7月、<ジグゾ、そのかわり!>と題した代替イベントを開催することも明らかにしてくれた。なお後日改めて、岡本竜治(G)と大西啓之(B)のインタビューも公開する予定だ。こちらもお楽しみに。
◆ ◆ ◆
■がんばりようがないと思ったりもしたけど
■アクションを起こさずにはいられなかった
──新型コロナウィルス感染拡大の影響で、2月下旬からミュージシャンは通常活動を行うことができなくなってしまいました。その時は、どんなことを感じましたか?
櫻澤:ZIGZOは2020年1月19日まで、皆さんでZIGZOの20周年を祝ってくださいツアー<ZIGZO 20TH ANNIVERSARY TOUR>を開催していたので、2月はロングツアーを終えて、少しお休みする時期だったんだ。とはいえ、その段階で今後のことが白紙の状態だったわけじゃなくて。2020年夏に、メンバー個々がお世話になっている会場だったり、関係性がある場所をツアーしようという話をしていたし、秋には東名阪ツアーも計画していた。実際、スケジュールを皆さんに告知していたしね。「夏秋も動こう」という話をしていたときにコロナ感染が広がってしまった。
▲ZIGZO
──そういう世の中となったこの春、ZIGZOとしてはどうしようと?
櫻澤:メンバーの中では哲 (髙野哲)がすごく能動的に動いているんですよ。THE BLACK COMET CLUB BANDとか鉄人とか、ZIGZO以外の活動も精力的だし、髙野哲単体で動いていたりもする。だから、土地土地のいろんな人と会話をして、地域それぞれの状態とかも肌で感じていたはず。そのうえで今回のコロナは……比べることではないけど、語弊を恐れず言えば、「かつての3.11 東日本大震災とは質が異なる災害だし、規模も違う」という話を、俺、竜治(岡本竜治)、DEN(大西啓之)にしてくれたんだ。たしか、そこからバンドとしての対応を話し合うことになったんだよね?
髙野:そう。ZIGZOのメンバーはみんな50代になって……まぁ俺だけ40代なんで、俺だけヤングですけど(笑)。
櫻澤:大して変わらねぇよ(笑)。
髙野:はははは。50歳くらいまで生きてきたから、すごくいろんなことを経験してきたつもりではあったんですね。自分自身は大きな病気やケガをしたことがないけど、周りの友人や仲間に不幸があったり、天災や災害とか、大体のことは経験してきた。そんなときでもバンドマンとしてがんばれることがあったんだけど、今回のコロナに関して、バンド界隈を含めたエンターテイメント系の人達が言っていたのは、「もうがんばりようがない状態だ」ということで。“じっとしていることが、がんばること”という状況になってしまった。
──そうなんですよね。
髙野:それに、さっきSAKURA (櫻澤泰徳)さんも“3.11”という言葉を出したけど、“3.11”は我々の国だけで起こったことじゃないですか。今回は地球全体を覆うパンデミックが発生した……そういう視点で物事を考えないといけないと思ったんです。1人1人が地球に生かされている細胞だとすれば、細胞レベルで考えないといけない。それに、もし自分が今20歳くらいだったら、「うるせぇよ、なにがコロナだよ。普通にライブハウスでバンドやらせろよ」と言っていた気もするんだけど、そんな身勝手な主張が許される状況ではない。だから、本当にがんばりようがないと思ったりもしたんだけど、やっぱり俺はアクションを起こさずにいられなかったんですよ。だから今、この状況下で自分がやれることを実行しながら、様子を見る日々を過ごしています。
──“やれること”というのは、SNSやYouTubeなどを使ったオンライン発信ですね?
髙野:ライブができない状況だけど、インターネットが使えるのはデカい。個人的にはYouTuberのように毎日動画をアップしています。それは緊急事態宣言が解除されるまで続けようと思って始めたもので、くだらない歌をうたってみたり、BLACK COMET CLUB BANDの照井仁(Dr)とやっているユニット鉄人でふざけた動画を毎晩アップしたり。結果、今も続けているんだけどね。自粛期間中は皆さんが家でじっと我慢することが、がんばることだったじゃないですか。そういう生活の中で、心の一服というか、暇つぶしの瞬間として楽しんでもらえたらいいなと思って。やることを見つけられたので、ストレスを感じずに日々を送ることができて、俺自身が助かったというのもあるんですよ。
櫻澤:俺は、ZIGZOの20周年と同じように、Rayflowerが2020年に10周年を迎えるので、ファン投票によるリテイクベストを作ることになっていたんだ。となると、ドラムが先頭を切ってレコーディングを終わらせないといけない。だから約20曲をひたすらこのスタジオで録っていたんだよ。あと、BARKSの連載コラムでも書いたけど、自分のオフィシャルYouTubeチャンネルを開設しているから、普段は見れないドラムの足元や天井から撮った演奏映像をアップしたり。動画でしかできないことをやりたかったし、観てくれるドラマーにとって、なにかしら参考になるんじゃないかなと思ったんだ。ドラムに関してもっと言えば、会議アプリを使ってリモートレッスン講座も始めたし、10年間ほったらかしだったデータの整理とか、普段は忙しくてできなかったことにチャレンジした日々だった。
髙野:俺も動画作りだけの毎日だったけど、筋トレは欠かさずやっているんですよ。たとえば、アップしてる動画は3分間とか5分間だけど、着想から演奏収録して編集までとなると、作業時間は半日以上かかってしまう。その公開終わりにトレーニングして汗をかいて、ビール飲んで、寝るみたいな(笑)。すごく規則正しい生活をしていました。
──ダラダラと過ごしていたわけではなく、自分を律する部分があったわけですね。
髙野:そう。今は行動制限も緩和されているから、緊急事態宣言下とは暮らしがまた変わってきているけど、トレーニングはやらないと気持ち悪い。だから、宣言が解除されても、自分にとってプラスになることが継続できるようになったのはよかったですね。そういえば、日本人が自然と身に付けている咳エチケットとしてのマスクや、うがいとか手洗いの習慣があるじゃないですか。これは100年くらい前、スペイン風邪が日本で流行ったときの熱心な啓蒙活動によって根づいたものらしいんです。その結果、今回のコロナ禍でも日本は他国と比較して被害が少ない。それと同じように、今回のコロナを経て残る良いものが、きっとあるんだろうなと思います。
◆インタビュー【2】へ
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