【インタビュー】音楽プロデューサー・ヒロイズム(her0ism)「ここからが本当の勝負」

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photo by Yosuke Torii

世界を舞台に躍進を続ける音楽プロデューサーがいる。現在LAを拠点に活動をするヒロイズム(her0ism)だ。

高校生の頃に自由に曲を奏でることの面白さを知り、20歳でレコード会社にデモテープを送り始めたヒロイズムだったが、当時はコンペに参加することもできず悩み苦しみつつも、自分でカッコいいと思えるもの、その上でより良いものを作ることだけに徹し、楽曲制作を続けていたという。現在ではその繊細でありながらキャッチーなメロディーが高く評価され、日本はもちろん、アジア、アメリカ、ヨーロッパなどでも数多くヒット曲を手がける音楽プロデューサーとなった。

彼がLAを目指すきっかけとなったのは、同じく音楽プロデューサーで親交の深いRyo Itoの勧めで参加した海外でのライティングキャンプだった。そこでの海外クリエイターとのセッションに大きな感銘を受け、これまで以上の高みを目指しLAでチャレンジすることを決めたという。渡米して3年目となる2019年には、世界から大注目されるなか公開された映画ライオン・キングで幼少期のナラ役を演じ、その歌唱力が高く評価された女優シャハディ・ライト・ジョセフを手掛け、彼女を歌手としてゼロからプロデュースし、シングル「Skin I’m In」をリリースすることとなった。そして2020年6月19日にユニバーサル ミュージックからリリースされるシャハディ・ライト・ジョセフの新曲「Wallpaper」も、ヒロイズムによるプロデュース作品となっている。



photo by Yosuke Torii

──シャハディ・ライト・ジョセフをプロデュースするきっかけは、どういうものだったのですか?

ヒロイズム:以前、アメリカの音楽配信番組『Pensado’s Place』に出演したことをきっかけに、IMMPAACというプロデューサーと仲良くなったんです。彼は昔からシャハディの才能に注目していて、本格的にシンガーとしてデビューさせるにあたって、一緒にプロデュースしてくれないかと僕を誘ってくれたんです。

──実際にプロデュースをしてみて、どうですか?

ヒロイズム:まだまだ成長段階なので、これからどんな風に変わっていくんだろうなと思っています。実際に楽曲を作っていくなかで、彼女の成長や変化を日々目の当たりにしているんです。声が変化する年齢なので、レコーディングのときに以前はなかった低音のいい声が出るようになっていて、その場で彼女の声に合わせてキーを下げることもありました。シャハディは1970~1980年代のR&Bを好んで聴いていて、その経緯もあってシングル「Skin I’m In」はR&Bにしましたが、いろんな可能性を感じていますので、現時点で楽曲路線を絞ってしまう必要はないなとも思っています。


▲シャハディ・ライト・ジョセフ

──新曲「Wallpaper」は、どのような曲ですか?

ヒロイズム:「Wallpaper」は多くの人が経験する感情をコンセプトにしているんです。恋に落ちて、思いを伝えたいと思うのに、まるでWallpaper(壁紙)に飲み込まれたように言葉が出てこなくなってしまう。ただ密かに、自分が好きになったように、相手にも好きになってほしいと願う、そういった思春期の恋心を歌っています。

──「Skin I’m In」からガラリと印象が変わりましたね。

ヒロイズム:「Skin I’m In」は社会的メッセージ性が強いですが、「Wallpaper」は彼女の等身大の可愛らしさが出せたと思います。メロディーは日本でも馴染みやすいものになっていますね、歌詞はメキシコ人アーティストのPau Cerrillaに加わってもらってノリ良く仕上がっています。


photo by Yosuke Torii

──今作のプロデュースに続き、次に目指すものはどのようなものですか?

ヒロイズム:グラミー賞の「Song Of The Year」を受賞することです。今年ついに、シャハディが参加したアルバム『THE LION KING :THE GIFT』と『THE LION KING SOUNDTRACK』がグラミー賞にノミネートされました。また6月26日には、楽曲提供した「Señorita」(Gian Varela & Matluck)がSpininn’ Recordsからリリースされますが、こちらは友人のMatluckとの繋がりからリリースに至ったものです。彼は24歳でエミー賞を受賞し、Armin、Nicky Romeroともコラボしている才能あふれるシンガーソングライターなんですが、良い楽曲を書くことはもはや当たり前で、それだけでは結果に繋がらないことをこの3年間で幾度も痛感してきました。ようやくLAの音楽業界で信頼関係ができてきたここからが本当の勝負だと思っています。今まで積み上げてきたものを、確実に結果に繋げていけるように頑張ります。

シャハディ・ライト・ジョセフ「Skin I’m In」


2019年7月13日リリース
Produced by: her0ism, Noble Jolley & IMMPAAC
Writers:Ali Shields, her0ism, Mariah Maxwell, IMMPAAC, Noble Jolley, O/B/A/ Bonner, Rosa Veleno
シャハディのデビューシングル。BillboardでエクスクルーシブリリースされSpotify月間リスナー200万人、10万回再生を超え話題になる。


シャハディ・ライト・ジョセフ「Wallpaper」


2020年6月19日リリース
Produced by: her0ism & IMMPAAC
Writers: her0ism, IMMPAAC, PAU
https://umj.lnk.to/Shahadi_Wallpaper
Universal International

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◆【インタビュー】安室奈美恵「In Two」の作者が示した、世界基準の作品作り
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