【コラム】ドラえもんが50周年だってのに 〜BARKS編集部の「おうち時間」Vol.015
春の楽しみはなんといっても『映画ドラえもん』だ。物心がついたかついてないかっていうくらい小さな頃から、毎年必ず映画館で鑑賞している。昔は入場者プレゼントのカラーバリエーションが豊富で、「何色のドラえもんかな〜?」と袋を開けるのも楽しみだった。ある年に金のドラえもんが出たときには本当に感動したものだ。近所にレンタルショップがあったので、何度も何度も『映画ドラえもん』のビデオを借りた。「返しに行く手間を考えたら買った方が良かった」と母が口にするくらいに通いつめた。そのくらいドラえもんが好きだ。
今年2020年は、まんが連載開始から50周年。特設サイトが立ち上がり、グッズやフード、キャンペーンなどがぞくぞく発表され、「さあ次は映画だ! 40作目だ! 今年は新作だ!」と胸を躍らせていたのだが、新型コロナウイルスの影響により延期となってしまった。
悲しみを供養するため、そして最新作『映画ドラえもん のび太の新恐竜』が8月7日に無事に公開されますようにという願いを込めて、ここでは『映画ドラえもん』について綴ってみたいと思う。
◆ ◆ ◆
過去39作のなかで、特に好きな作品は以下の9作だ。
『のび太の魔界大冒険』(1984年/5作目)
『のび太のパラレル西遊記』(1988年/9作目)
『のび太の日本誕生』(1989年/10作目)
『のび太とアニマル惑星(プラネット)』(1990年/11作目)
『のび太のドラビアンナイト』(1991年/12作目)
『のび太と雲の王国』(1992年/13作目)
『のび太とブリキの迷宮(ラビリンス)』(1993年/14作目)
『のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)』(2013年/33作目)
『のび太の宝島』(2018年/38作目)
「1番は?」と聞かれたら『魔界大冒険』と答える。2015年には『映画ドラえもん』の35周年を記念して<ドラえもん映画祭2015>が東京・神保町シアターにて行なわれた。35日間にわたり過去の作品が上映され、このときは『魔界大冒険』を観に行った。自分が生まれる前の作品を映画館で観ることができるって本当に貴重な経験だと思う。今年2020年2月から3月にかけて行なわれた<ドラえもん映画祭2020>には行くことができなかったのでとても残念だった。
▲<ドラえもん映画祭2015>チラシ
大山のぶ代さん時代の作品に多いのだが、敵のキャラクターが妙に怖い。ドラえもん達を襲うピンチのシチュエーションも怖い。大人になったいまでも「あのシーンは怖かった」とはっきり思い出せるほどに怖い。『魔界大冒険』のメジューサ、『日本誕生』のギガゾンビとツチダマ、『ブリキの迷宮』の大迷宮への入り口は、3大トラウマだ。
神奈川県に位置する川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアムには、『魔界大冒険』のワンシーンに登場する石化したドラえもんの像があるらしい(http://fujiko-museum.com/blog/?p=15637/)。いまだに出会えていないので、ミュージアムの営業が再開したら絶対に見つけたい。
▲川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアムで撮影
『ひみつ道具博物館』には、懐かしのひみつ道具がたくさん登場した。上映中に「この道具は、あの作品のあのシーンで使われていて……」と子どもの頃の思い出が一気に蘇ってきて泣きながら観た。Perfumeが歌う主題歌「未来のミュージアム」もかわいかった。
どの作品にも魅力的なひみつ道具が登場するが、『ドラビアンナイト』の「絵本入り込みぐつ」がいま使えたらどんなに楽しいだろうか。その名のとおり、履くと絵本の世界に入れるというひみつ道具なのだが、「#おうち時間」を楽しむためのアイテムにぴったりだ。
主題歌といえば、『宝島』の主題歌として書き下ろされ、2019年よりテレビシリーズのテーマ曲としても使用されている星野源の「ドラえもん」に触れないわけにはいかない。ミュージックビデオでは、青い服を着た女性がおなじみの空き地、のび太の部屋、しずかちゃんちのお風呂を舞台に不思議なダンスを見せる。ドラえもんファンを公言する星野自身も出演している。
初めてこの曲を聴いたとき、イントロの「てっててって てって〜♪」だけで涙腺が刺激され、2番の「拗ねた君も 静かなあの子も 彼の歌も 誰かを救うだろう」という歌詞でボロボロと泣いた。星野によるドラえもんへの愛を魂レベルで感じとったファンは、私だけではないだろう。とにかく良かった。いわゆる“オタク友達”がいないため、この気持ちをリアルで共有できないのが大変残念である。
最新作『新恐竜』の主題歌はMr.Childrenの「Birthday」と「君と重ねたモノローグ」。W主題歌は今回が初ということで、劇中でどのように使用されるかも楽しみだ。
2019年12月には世界初のドラえもんオフィシャルショップ「ドラえもん未来デパート」がお台場にオープンした。SNSで状況をチェックしていたが、あまりにも混雑しているようだったので「落ち着いたら行こう」と思っているうちに、いまに至ってしまった。人生には「いつか」も「今度」も無いと痛感している。
「ドラえも〜ん、なにかいい道具出してよ〜!!!」とお願いしたら、ドラえもんはどんなひみつ道具で、この世界的な危機から救ってくれるだろうか。なんてことを思いながら、今日も部屋で映画を観る。
文◎高橋ひとみ(BARKS)
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