5分でわかる！『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』

■楽しみ方（1）：楽曲を楽しむ

さて、ここからは『ヒプノシスマイク』というコンテンツの楽しみ方を紹介しながら、さらなる魅力に迫っていきたい。

『ヒプノシスマイク』の一番の魅力は、なんといってもハイクオリティな楽曲にある。上述した声優キャストはほぼ全員がラップ初挑戦にもかかわらず、さすが声を扱うプロなだけあり、抑揚の付け方や感情の乗せ方、テンポの速いライムを歌いこなす滑舌は本職ラッパーも舌を巻くほど。さらに、そこにキャラクター性も織り込むという職人技を成し遂げているから驚きだ。

声優の技術とラップがここまでの化学反応を起こすとは、２次元コンテンツ業界にとって大きな発明だったと言っても過言ではないだろう。

そしてもうひとつ、『ヒプマイ』の楽曲を語るうえで忘れてはならないのはバラエティに富んだ豪華な制作陣だ。

例えば、シンジュク・ディビジョンが歌う『The Champion』は、日本語ラップのオリジネーターである、あのZeebraが楽曲提供をしている。万が一Zeebraを知らなくても、「悪そうな奴は大体友達」という日本一有名なパンチラインを生み出したのがZeebraだといえば、その凄さは十分に伝わるだろう。


その他にも、どついたれ本舗の『あゝオオサカdreamin’night』はCreepy Nutsとして活動しているR-指定とDJ松永が作詞と作編曲を担当。

R-指定は『フリースタイルダンジョン』（テレビ朝日）初代モンスターを務め、現在は2代目ラスボスに就任。さらに日本一のバトルMCを決める大会「ULTIMATE MC BATTLE」で2012年から2014年まで3年連続でGRAND CHAMPIONを獲得した人物だ。

そして相方のDJ松永は2019年「DMC WORLD DJ CHAMPIONSHIPS 2019」に日本代表としてバトル部門に出場し優勝を果たしており、実質日本一のMCとDJによるユニットと言える。そんなふたりが楽曲を提供したことで、『ヒプノシスマイク』の楽曲がオタク層を越え世間から注目を集めることになったきっかけの１曲でもある。R-指定らしい独特なフロウを見事に歌いこなすどついたれ本舗の3人に注目してほしい。


難易度が高いと言えば、ナゴヤ・ディビジョンの波羅夷空却が歌う『そうぎゃらんBAM』は作詞・作曲・編曲を元SOUL'd OUTのDiggy-MO’が担当。超絶技巧を要される難易度の高いラップは健在だ。


かと思えばシンジュク・ディビジョンの伊奘冉一二三が歌う『パーティーを止めないで』は作詞・作曲・編曲をゴールデンボンバーの鬼龍院翔が手がけ、こちらも大きな話題を呼んだ。


ちなみに、過去には伊奘冉一二三の楽曲の作詞をオリエンタルラジオの藤森慎吾が務めたこともあり、そのスタッフィングの振り幅には驚かされるばかりである。

このように、一般的なキャラクターソングでは考えられないほど豪華かつバラエティ豊かな楽曲が高頻度でリリースされ、ファンを飽きさせることがないのが『ヒプノシスマイク』の大きな魅力なのだ。

■楽しみ方（2）：ライブを楽しむ

これらの楽曲を楽しむうえで絶対に外せないのはライブである。


ほぼ全員がラップ初心者という状況で、どれほどの練習を積み大舞台に挑んでいるかは想像に難くない。しかし、そんなプレッシャーなど微塵も感じさせない堂々としたステージングとラップの技術は回を増すごとにどんどんブラッシュアップされ、それに呼応するようにオーディエンスも熱狂する『ヒプマイ』一大イベントなのだ。

特に、『ヒプノシスマイク』においてラップ指導を担うなどプロジェクトを先導している木村 昴のステージングは圧巻。誰よりもHIPHOPを愛し「『ヒプマイ』は自身の実家」と語る木村が紡ぐライムは聴く者の胸を打ち、演じている山田一郎と木村が確かにリンクする奇跡のような瞬間は、えも言われぬ感動が湧き起こる。

もちろん、ZeebraやKEN THE 390、ラッパ我リヤといった豪華ゲストの存在も忘れてはならない。

現在、2019年9月7、8日に大阪城ホールにて開催された4thライブ「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-4th LIVE@オオサカ《Welcome to our Hood》」のBlu-ray・DVDが発売中なので、少しでも気になった人はぜひTrailerをチェックしてほしい。


■楽しみ方（3）：キャラクターの関係性を楽しむ

もうひとつ、『ヒプノシスマイク』の魅力は、キャラクター同士の多彩な関係性にあるだろう。
現在発売されているCDに収録された「ドラマトラック」と呼ばれる会話劇や、漫画誌３誌で連載中のコミカライズをチェックすると、それぞれがチームを組んだ経緯や、チームの垣根を越えた複雑な因縁を知ることができる。

例えば、イケブクロ・ディビジョンのリーダー・山田一郎とヨコハマ・ディビジョンのリーダー・碧棺左馬刻、シブヤ・ディビジョンのリーダー・飴村乱数とシンジュク・ディビジョンのリーダー・神宮寺寂雷はお互いに犬猿の仲だが、この4人は過去に「The Dirty Dawg」という伝説のチームを組んでいたことがあるというのだ。

なぜ解散してしまったのかは明らかになっていないが、このように過去の因縁に縛られた複雑な関係性が随所に見受けられ、ストーリーだけでも十分に楽しむことができる。

▼キャラクター相関図（オフィシャルサイトより）
https://hypnosismic.com/character/story/

■楽しみ方（4）：幅広いコンテンツ展開

ここまで述べてきたように、楽曲とストーリーだけでも魅力満載な『ヒプノシスマイク』だが、2.5次元舞台やスマホゲームアプリ化もされており、2020年７月にアニメ化も決定している。興味が湧いた人は更に以下のコンテンツをチェックしてみるものいいだろう。

まず2.5次元舞台は、2019年11月に上演された『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.1-の続編『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.2-が、5月15日より開演予定だ。

『あんさんぶるスターズ！　オン・ステージ』やミュージカル『刀剣乱舞』など、人気2.5次元舞台でも活躍するキャストが、シブヤ・ディビジョンとシンジュク・ディビジョンに扮し、舞台上で生のラップを披露するかつてない舞台となっている。5月31日の千秋楽は全国の映画館でライブビューイングも実施予定なので要チェックだ。

また、4月22日には舞台『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.1-のBlu-ray & DVDが発売される。こちらには本編の第一幕はもちろん、第二幕のライブパートも収録。特典映像には大千秋楽を収録した「Curtain Call」、舞台裏の密着映像やイケブクロ・ディビジョン「Buster Bros!!!」山田一郎役を演じた高野洸、ヨコハマ・ディビジョン「MAD TRIGGER CREW」碧棺左馬刻役を演じた阿部顕嵐らメインキャスト9名と演出を手掛けた植木 豪による「Documentary & Special Talk Session」も収録される。さらに初回限定版には3ディビジョンそれぞれのディビジョン曲など全13曲を収めたCDも付属する。


舞台に行かず手軽に楽しみたい場合は、3月26日にリリースされたばかりのアプリゲーム『ヒプノシスマイク -Alternative Rap Battle-』をプレイするのもいいだろう。

DJのターンテーブルを模した画面上でプレイする新感覚の音ゲーが楽しめることもあり、リリース直後から爆発的な人気を博している話題のアプリだ。また、ドラマトラックやコミックスに収録されているものとは違ったアプリゲームオリジナルのストーリーを楽しむこともできる。

さらに、2020年7月には初のテレビアニメ『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Animaが控えており、これから先まだまだ幅広く楽しむことができるコンテンツとなっている。

ここまで読んでみて、少しでも興味を持った方は、以上の楽しみ方を参考にしつつ、それぞれに合ったスタイルで『ヒプマイ』というコンテンツを満喫してもらいたい。

文◎鈴木幸

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