アラン・メリルの妻、夫が亡くなるまでの経緯を明かし、医療崩壊危機の現状を訴える

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3月29日に新型コロナウイルスにより亡くなったアラン・メリルの妻が、夫がどのように最期を迎えたのか、医療崩壊の危機にある米ニューヨークで起きている悲惨な状況について語った。

◆アラン・メリル画像

メリルの娘は火曜日(3月31日)、「このウイルスに感染するとどうなるか、父に何が起きたか、読んで欲しい」と、義母からの声明をFacebookに投稿した。

メリルの妻Joannaさんは、「同情して欲しくてこれを書いているわけではなく、この病気とそれに対するこの国の準備不足が招いた現実を訴えたかった」と、病院に搬送されてからの経緯を綴った。

「約2週間前、アランは風邪をひいたようだと感じた。その後、インフルエンザじゃないかと。私はすぐに疑いを持ったけど、もちろんアランはあのとおりだから、私が何でもないことに騒ぎ立てているって言ってた。それでも、私はコロナウイルスについて調べ、読むもの全てに、息ができなくなるとか胸がすごく痛くなるとか重い症状が出るまで助けは得られないって書いてあった。そうでなければ、入院やCovid-19の検査は受けられないと。これは事実だった」

そして、「とうとう、息ができず、ひどい悪寒に襲われ、眠れなくなったため、救急車を呼んだ」という。「私は彼と一緒にERに入れない、だから付き添う意味がないと言われた。1時間後にERの医師から連絡があるまで、どうなっているのかわからなかった。医師からは、ウイルスに感染していると思われるが、集中治療室に入るには検査を受ける必要があり、それには少なくとも10時間かかると言われた」

10時間以上が経過し、Joannaさんが病院に電話してみると、陽性だったため集中治療室へ移すと言われたが、その後医師から連絡があり、肺のダメージが大きく身体が弱っているため集中治療室には移せないと知らされたという。「彼は一人で死ななくてはならないのかと訊くと、お別れを言うことはできると言われた」ため、彼女が病院へ向かうと、警備員3人との押し問答があった上、事態はまた一転していたそうだ。

「電話をくれた医師に会うと、謝罪され、アランの容態が良くなったので、集中治療室に移し、そこで必要な治療を受けられると伝えられた。人工呼吸器をつけ、鎮静剤を投与されているから痛みはない、少なくとも感じてはないと」「それから15分毎に、私は、彼はいつ移されるのかって訊いてた。いつも、数分後だって答えだった」

午前2時半、Joannaさんが病院を訪れてから3時間以上が経ったとき、ようやくアランを上階に移す準備ができたと報告されたが、彼女は疲れ果て、警備員との押し問答を繰り返す気力がなかったため、病院を後にした。

しかし、「3ブロック離れた家に歩いて戻ると、医師から電話があり、彼が亡くなったと知らされた」という。「彼はもう死ぬってときまで入院できず、そして検査する一方、14時間ERで弱り衰えていった」「もし彼が集中治療室に入っていたら、この15時間、闘うチャンスがあったかもしれない」と、やるせない想いを綴った。

濃厚接触者であるJoannaさんだが、重い症状が出るまでは検査は受けられないと言われたそうだ。「要するに、助けを得るには死にかけていなくてはならないってこと。治療法がないのは知ってる。でも、肺へのダメージを緩和するため家に酸素を送るとか、何かできるんじゃないかしら」

彼女はいま、「自己隔離する中、一人で悲しみに暮れなくてはならない状態」だという。

この悲惨な体験を踏まえ、彼女は「本当にこの状況を真剣に受け止めて」と警鐘を鳴らし、「これが来ることを知っていて何も準備していなかった当局」を非難している。



アラン・メリルは、亡くなるにはまだ早い、69歳だった。

Ako Suzuki

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