【ライブレポート】HERO、完全復活
2017年12月22日より活動休止していたHEROが、12月6日(金)恵比寿LIQUIDROOMにて約2年ぶりとなるライブを行なった。
◆ライブ画像
<HERO完全復活>と銘打たれた本公演は、開演前からフロア中のあちこちで再会を懐かしむ会話や、これから始まるライブへの期待を胸いっぱいに膨らませ開演のときを笑顔で心待ちにしている人たちの姿があった。
ライブは、ステージ前方を覆ったスクリーンに映し出された「25億秒の使い方」のミュージックビデオを背景に、その楽曲を生演奏で届けるスタイルで始まった。映像を生音と生歌で再現しているような、どこか不思議な感覚だ。JIN(Vo)の愛らしい歌声に触れながら感じる、「お帰りなさい」の気持ち。後半、スクリーンが落ちると同時に、メンバーがヒロイン(ファンの呼称)たちの前へと姿を現した。それを観て観客たちのテンションも一気に上昇。フロア中から黄色い歓声が飛びだした。
その声へ熱を加えるように、HEROが「色合わせの法則」を演奏。JINは「きっと後何年経った時も 僕たちは笑って居れるんだろうな ずっとこのままで居れる様に」と歌いかける。その言葉通り、メンバーとファンの間には笑顔があった。JINが「相変わらずブスだな」と照れ隠しの皮肉をMCで呟いていたのも、“らしい”。
「罪と罰」では、フロア中の人たちが跳ねながら左右へモッシュし、45度の深いお辞儀並の折り畳みやヘドバンをぶちかます。熱い掛け声も響き渡る。無邪気に騒ぐ観客たちの姿を観て、“あの楽しさ”が戻ってきたんだなと感じていた。2年間という空白が一瞬にして縮まった。いや、消え去ったと言ったほうが良いだろうか。あの頃に味わっていた楽しさが、また上書きされて帰ってきたのが嬉しかった。
今回の復活は決してノスタルジーではない。未来へずっと歩み続けていくための新たな一歩。だから彼らは、胸をドキドキさせる「魔法をかけて」のような新曲も生み出し、新しいときめきをヒロインたちへ届けてくれた。また、この日のライブはファンたちはもちろん、HEROのメンバー自身が空白の2年間を作り出す前に走り続けた10年間の日々を、改めて身体や感覚や焼き直す意味も含めていた。
「めっちゃめっちゃ」「めっちゃ好き」と熱いやりとりを交わした「めっちゃ好き」や、気持ち滾る演奏をぶつけ互いに熱を感じあった「Listen to me」に「セツナウタ」。激しく攻める「翼が折れて迷宮に迷い込んだ漆黒の天使」の演奏を通して作りあげた熱狂の光景に、「ロンロンロロン」と歌声を交わしあった「ロン」。シリアスなモードで描き出した「笑わなかった少年」では、拳を振り上げ絶叫をぶつけあう様も生まれていた。どれも、身体に染み込んだ懐かしい風景だ。
「大きな声で」「出てこいやー」の声の掛け合いと共に始まった「超過激愛歌~Hyper Ultra Lovesong~」に触れながら、何時になってもこの関係を深く深く結び合っていけることに喜びを覚えていた……と書きつつ、実はそんなことを考える間もないくらい、身体や意識に染み込んだ楽しさをまた引っ張りだして楽しむことに、メンバーも観客たちも素直に夢中になっていた。
HEROは、1月21日にシングル「魔法をかけて...」を発売する。この日、表題曲も演奏された。さらにカップリングに収録する「裁かれる者裁かれざる者」も披露してくれた。「やっていいこと」「合法」「やっちゃだめなこと」「違法」と声を交わしあい、一緒に熱を上げてゆくパンキッシュな楽曲だ。歌詞に詰め込んだメッセージも、屁理屈屋なJINらしいひねった面白さ。この日のライブでも、JINの歌に合わせ会場中の人たちが「合法」「違法」と叫んでいた。もちろんこの歌、ライブを通し気分をナチュラルにアップさせる合法ナンバーなので、ご安心を。
終盤に披露した「BEST FRIEND」ではしゃぎつつ、「to you...」では両隣の人たちと肩や手を組んで左右に飛び交うお馴染みの光景も登場。本編最後に届けた「Life」でJINが歌った「精一杯 笑って 泣いて 君を愛していたいな」という言葉通り、ライブ会場には精一杯笑って愛しあえる楽しさが満ちあふれていた。
アンコールの最初に披露されたのは、「タイムカプセル」だ。2年前の公演では、何時再会の時が来るのか、もしかしたら永遠に来ないのかも知れないという不安も抱えたままに歌っていた。あのときは、10年後も思い出の中にHEROという存在がいてくれたなら……あわよくば復活してくれたら……と、切ない展望を抱いて観客たちはこの歌を受け止めていた。でもこの日の「タイムカプセル」は、未来へと繋ぐ希望を抱いた歌だった。環境が変われば、歌の内容も変化してゆく。それを、改めて4人は感じさせてくれた。
熱狂する声が飛び交いフロア中に満開の手の花を咲かせた「カントリーロード」、“出会ってくれてありがとう”の気持ちを込め一緒に歌い続けた「カゾエウタ」。最後にHEROは、再会を約束するようにファンたちと共に「ソプラノ」を歌いながら、楽しい花を会場中へ咲き誇らせ、改めて大きな一歩を未来へ踏み出していった。
HEROはすでに2020年以降の動きを発表している。4人ともHEROを軸に据えながらも、休止中にメンバーそれぞれが新たに始めた活動も継続するため、以前ほどHEROとしてのライブ本数や活動ペースは多くはない。そのぶん、一つ一つの内容に濃さを増して表現しているのが、今のHEROでもある。告知された一本一本のライブをじっくりと味わいながら、また彼らと一緒に長い人生の旅を続けてもらいたい。
文◎長澤智典
編集◎BARKS
写真◎菅沼剛弘
セットリスト
「色合わせの法則」
「罪と罰」
「魔法をかけて...」
「めっちゃ好き」
「Listen to me」
「セツナウタ」
「翼が折れて迷宮に迷い込んだ漆黒の天使」
「ロン」
「笑わなかった少年」
「超過激愛歌」
「裁かれる者裁かれざる者」
「BEST FRIEND」
「to you...」
「Life」
-ENCORE-
「タイムカプセル」
「カントリーロード」
「カゾエウタ
「ソプラノ」
ニューシングル「魔法をかけて...」
HECD-001
¥1,650(税込)
1.「魔法をかけて...」
2.「木漏れ日に願う」
3.裁かれる者と裁かれざる者
ライブ&ツアー情報
2020年2月9日(日)渋谷REX
<新人って名乗った方が売れんじゃね?初めまして!僕たちHEROです!ツアー>
2020年3月8日(日)柏ThumbUp
2020年3月20日(金)上野音横丁
2020年4月4日(土)西川口Hearts
2020年4月24日(金)目黒THE LIVE STATION
2020年5月13日(水)渋谷GUILTY
2020年5月23日(土)Music Lab.濱書房
<笑顔の日>
2020年6月7日(日)新宿BLAZE
◆HERO オフィシャルサイト
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