【ライブレポート】<STAND UP! CLASSIC FES2019>1日目、ピクニック感覚で楽しむクラシック

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株式会社イープラス(東京都渋谷区、代表取締役会長:橋本行秀、代表取締役社長:倉見尚也)が主催する、国内最大の全野外型クラシック音楽祭<『イープラス Presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2019』supported by GALAXY ENTERTAINMENT>(以下、「スタクラフェス」 )が、2019年9月28日(土)午前10時30分、快晴の空の下、横浜赤レンガ倉庫・特設会場にて初日の幕を開けた。

◆<スタクラフェス>1日目 写真

クラシック音楽の祭典でありながらも決して堅苦しいものではなく、海に臨む会場で潮風にあたりつつ、飲んだり食べたり、時には踊ったり寝そべりながら、ピクニック感覚で音楽を気軽に楽しめる<スタクラフェス>は、昨年(2018年)9月に第一回目がおこなわれ好評を博した。これを受け、今年は9月28日(土)、29日(日)の二日間に開催を拡大、クラシックを中心に、さまざまな音楽ジャンルを横断するプログラムが29日(日)夜まで、二つのステージ(HARBOR STAGEとGRASS STAGE)を行き来しながら繰り広げられる(その他、FREE STAGEでの無料パフォーマンスもあり)。出演者は総勢300名超、演奏曲目は二日間で200曲以上となる。

また、今回は本フェスの一環として、同じ赤レンガ倉庫にて<肉ワインフェス>も同時開催された。以下に、フェス第一日目のレポートをお届けする。

【1】<It's 吹奏楽>@HARBOR STAGE 10:30~
[出演] 上野耕平(サックス)、川崎市立高津高等学校吹奏楽部、神奈川県立弥栄高等学校吹奏学部、石若 駿(パーカッション)、山中惇史(ピアノ)

サックス奏者の上野耕平と共にフェスのトップバッターの大役を任されたのは、神奈川県高等学校吹奏楽祭で2018年に教育長賞を手にした川崎市立高津高等学校吹奏楽部と、17年に同賞に輝いた神奈川県立弥栄高等学校吹奏楽部。


青いスパンコールのベストを身にまとった高津高等学校吹奏楽部。そのホーン隊が、横浜の音楽イベント<横浜音祭り>のファンファーレを華々しく奏でた。総合司会の松下奈緒がフェスのスタートを告げ、上野をステージに呼び出すと、さっそく彼はブラスバンドの一員となり、高校野球の応援歌としても人気の「フィンガー5コレクション」を演奏し始めた。

楽器を左右に揺らしながら演奏する部員らに合わせてスイングする客席。「学園天国」の演奏場面では、フルートの男子生徒が立ち上がり「Are You Ready?」と観客をあおっていく。上野も一緒になって、「Hey!」とかけ声をあげた。「リトル・マーメイド・メドレー」では、「パート・オブ・ユア・ワールド」で海の底から人間界を思う主人公アリエルの切ない気持ちを、上野がソロの音色で見事に表現。さらに吹奏楽の定番曲「宝島」で場内はますます盛り上がる。


続いて、真紅のブレザーで統一された弥栄高等学校吹奏楽部が登板。人気曲「オーメンズ・オブ・ ラブ」の切れ味いい演奏で、元気溌溂ぶりを示す。「アラジン」のメドレーの後には、上野がソリストとして同校と共演。名曲「『BIRDS』 第2楽章「Seagull」」で彼がサックスのソロを披露すると、一羽のカモメ(Seagull)が飛来してきてステージ前を横切って行くという奇跡も起きた。


<It's 吹奏楽>の締めくくりは、吉松隆作曲の「サイバーバード協奏曲」のトリオ・ヴァージョン。上野耕平(Sax)、石若駿(Perc)、山中惇史(Pf)の深みのある演奏に午前中から場内が酔い痴れた。

【2】<クラシックジュエルズ>@GRASS STAGE 11:50~
[出演] 紀平凱成(ピアノ)、外村理紗(ヴァイオリン)、横田知佳(ピアノ)、司会:佐賀龍彦(LEVELVETS)

目の前に芝生が広がるGLASS STAGEの口火を切ったのは、前回の<スタクラフェス>にサプライズ出演し会場を歓喜で包んだ異才・紀平凱成と、2018年10月に<第10回インディアナポリス国際ヴァイオリンコンクール>で最年少ファイナリストとして2位に輝いた外村理紗のフレッシュな18歳コンビによるプログラム「クラシックジュエルズ」。司会はLE VELVETSの佐賀龍彦。


聴衆の拍手に、左手をふんわりと振って応えた紀平は演奏前に両手を高く上に挙げて集中。下ろした両腕からは超絶技巧のテクニックがさく裂した。カプースチンの「24の前奏曲 作品53」より第11曲、「8つの演奏会用エチュード 作品40第5番『冗談』」では一つ一つの音の粒が際立つ演奏で圧倒。毎回、ピアノを使わずに作曲をするという自作オリジナル曲「Winds Send Love」では、澄んだ音色で、もう一つのオリジナル曲「Tennis Boy Rag」ではジャジーに決めてみせ、無限の豊かな才能を感じさせた。



ヴァイオリン部門最難関と言われる<インディアナポリス国際コンクール>で、日本人として24年ぶり4人目の入賞に輝いた外村は、シックなグレーのロングドレスで登場。1曲目に選んだクライスラーの「中国の太鼓」では、会場近くの横浜中華街からかけ声が聴こえてきそうな、躍動感ある演奏で引き込んでいく。リムスキー=コルサコフの「熊蜂の飛行」では弦を押さえている左手が踊るように動き、細やかに音を刻んでいった。そ
の様は、小さい体を懸命に震わせて蜜を集めて回る熊蜂を想像させた。

【3】<クラシック in シネマ>@HARBOR STAGE 12:50~
[出演] 福間洸太朗(ピアノ)、藤田真央(ピアノ)、松下奈緒(ピアノ)、宮本笑里(ヴァイオリン)、松沼俊彦(指揮)、STAND UP! ORCHESTRA/トークゲスト:松岡茉優

映画でおなじみのクラシックの名曲を届ける<クラシック in シネマ>は、HARBOR STAGEで展開された。一番手で登場しピアノを聴かせてくれたのは、フェスで総合司会を務める松下奈緒。真っ赤なワンピースの松下は、ドリカムの「未来予想図II」をSTAND UP! ORCHESTRAと共に壮大に演奏。MCでは同曲の歌詞世界を映画化した『未来予想図~ア・イ・シ・テ・ルのサイン~』に主演したことを振り返った。


続いて登場したのは、赤いレースの施された美しいロングドレス姿の宮本笑里。映画『タイタニック』から、客船が行き交う横浜港の雰囲気にピッタリの「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」。父と娘の愛を描いた『ゴッドファーザー PART III』からは、娘が撃たれて命を落とす終盤で流れる「カヴァレリア・ルスティカーナ 間奏曲」を演奏し、会場をうっとりとさせた。


後半では、10月4日公開の新作映画『蜜蜂と遠雷』のコーナーが設けられ、映画で吹き替え演奏を担当したピアニストの藤田真央が、バルトークの「ピアノ協奏曲第3番」をオケと共に演奏。また、ドビュッシーの「月の光」を一人で演奏をした


トークゲストとして登場したのが同映画で主演を務めた松岡茉優。小学生時代はピアノのマンツーマンレッスンを受けていたと話したが、レッスン中にうたたねをしてしまう生徒だったと告白。だが映画出演にあたっては、寝る間も惜しみ練習。プロ奏者の演奏映像を見て役作りをしたと振り返る。すでに映画を観たという松下は、「演奏シーンが圧巻だった」と称賛した。

企画の最後を飾ったのは、松坂桃李演じる高島明石のピアノ吹き替え演奏を担当した福間洸太朗。ラヴェルの「水の戯れ」を一人で弾いた後、松沼俊彦指揮の STAND UP! ORCHESTRAと共にショパンの「ピアノ協奏曲第1番」で渾身の演奏を聴かせた。

【4】<ブランチ on クラシック>@GRASS STAGE 14:20~
[出演] DEPAPEPE、スペシャルゲスト:→Pia-no-jaC←


DEPAPEPEの2人がGRASS STAGEに登場、オリジナルの「いい日だったね」からステージがスタート。アコースティックギターの澄んだ音が鳴り響く。続くベートーヴェンの「悲愴」は、第2楽章の印象的なメロディーを三浦拓也が弾き、徳岡慶也のアルペジオがそれを優しく支える。そしてリードを入れ替えながらメロディーを繋ぐ。その美しさに、観客は引き込まれていく。


ここで今回のスペシャルゲスト、ピアノとカホンの2人組→Pia-no-jaC←が登場。カホンの強烈なリズムでベートーヴェン「第九」の「歓喜の歌」を披露。自由にメロディーを崩して勢いのある演奏に観客は文字通り歓喜の表情。

ここからはDEPAPEPEと→Pia-no-jaC←の共演。「flow」はテンションの効いたコードとノリでフュージョンぽく聴かせる。続く「G線上のアリア」は、それぞれがカバーしている演奏のアレンジを合体させ、世にも珍しいものとなった。美しく静かに始まったDEPAPEPEの演奏に→Pia-no-jaC←が加わって一気にヒートアップ。軽快で迫力あるリズムに乗ってピアノとギターがソロを繋いでいく。と、その時、フェリーの汽笛が「ボー!」。これこそが海辺のフェスの醍醐味だ。

アドリブ応酬の「台風」の後は、STAND UP! ORCHESTRAのヴァイオリン3名が参加しての「jack」を演奏。最後はDEPAPEPEオリジナルの「One」。曇の多い空を遠くまで飛んでいきそうなメロディー。芝生に座る観客の胸に染み込む演奏でステージは大団円を迎えた。

【5】<NEXT LEADER/反田恭平の世界>@HARBOR STAGE 15:30~
[出演] 反田恭平(ピアノ、指揮)、神奈川県立弥栄高等学校 合唱部

ピアニスト反田恭平が颯爽と登場するや、ほぼ間髪を入れずにショパンの「猫のワルツ」、「英雄ポロネーズ」と立て続けに披露。つい先ほどまでザワザワしていた会場を、あっという間にショパンの、そして反田恭平の世界に引き込んだ。


ショパンを堪能した後は、合唱曲が続く。「僕は吹奏楽やオーケストラも大好きですけど、合唱も盛り上げていきたい」と反田のMC。神奈川県高等学校合唱祭にて、2018年に教育長賞を受賞した、神奈川県立弥栄高等学校合唱部がステージへ。開放的なロケーションによく映える歌声が響き渡る。「くちびるに歌を」はドイツ語と日本語が織り交ぜられた合唱曲だが、ドイツ語を歌い上げる高校生の歌唱力に圧倒される。そしてスメタナ「モルダウ『我が祖国』より」からは反田がタクトを振り、合唱コンクールで受賞したという思い出深い上田真樹「僕が守る」が続く。



ラストは反田がこの日のために書き下ろした合唱曲「遠ゆく青のうた」。作詞は反田と2台ピアノでも共演している務川慧悟。彼も登壇し「“遠ゆく青”の青はもちろん、青春の青。大人になっても、あの頃に感じた気持ちを忘れずにいられたら。そんな気持ちを込めて書きました」と語った。合唱部の歌声、天まで届きそうな澄み渡るコーラスに、「中高生の頃の自分」が蘇るような気がした人も少なくなかったのでは。

【6】<NEXT LEADER/五嶋龍スペシャル>@HARBOR STAGE 16:20~
[出演] 五嶋龍(ヴァイオリン)、藤田真央(ピアノ)


今年初出演のスペシャルゲスト、世界で活躍するヴァイオリニスト五嶋龍が登場。無伴奏でクライスラー「レシタティーボとスケルツォ」を弾き終わるや否や、「皆さん、楽しんでますかー!」と派手にMC。そして、第16回チャイコフスキー国際コンクールで2位に入賞した話題のピアニスト、藤田真央を紹介。「繊細さとエモーショナルな情熱を併せ持つ」と紹介された藤田はリスト「ウィーンの夜会(シューベルトによるワルツ・カプリース)」を披露。終始楽しそうに演奏し、ラストではあどけない、いたずらっ子のような印象的な笑顔を見せた。

「去年はラフマニノフのパガニーニラプソディーを弾いたのですが、いいところで汽笛が鳴って(笑)」と藤田。五嶋と藤田という珠玉のデュオが奏でるのは、サン=サーンス「ヴァイオリン・ソナタ第1番」。「この曲本当に難しくて」と藤田が笑うと「ピアノの難しい感じをヴァイオリンに持ってこられると、なんかもう……わけわかんないよね」と五嶋。ひとたび演奏が始まると、二人の技巧に息を呑むばかりで、「当人たちは本当に難しいと思っているのだろうか?」と疑いたくなるほど。あまりの素晴らしさにスタンディングオベーションも。これぞまさしく STAND UP CLASSIC!

五嶋が「次の曲は、誰でも知ってるので説明しません!」と言いながら次の曲へ。イントロだけで会場の誰もが「あー、あの曲」と納得したことが手に取るようにわかるサラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」。たっぷりと泣きの入った演奏の途中途中でおどけてみせたりする、五嶋の細かな表情が大型スクリーンに映される。スクリーンのおかげで、奏者の表情や指の動きなど、細部まで身近に感じることができる。

そして鳴り響く汽笛! しかし先の藤田の証言のおかげで、これもまた楽しいハプニングだと思える。五嶋も演奏が終わった後は「楽しいなー!」と満面の笑み。時間ギリギリだったようだが、アンコールでジブリ音楽「風の通り道」。ヴァイオリンとピアノの魅力がぎっしり詰まった「ライブ」だった。

【7】<プレミアムサンセット>@GRASS STAGE 17:30~
[出演] 鍵盤男子


ステージタイトルの<プレミアムサンセット>が表す通りの時間帯。空は暗くなり、低く垂れ込める雲が晴れてきて青空も顔を出し夕焼けが綺麗だ。

鍵盤男子はピアニスト・大井健と作曲家・中村匡宏のコンビ。心に響くオリジナリティ溢れる楽曲と超絶技巧のピアノの連弾で楽しませてくれるふたり組のユニット。

ステージはメジャー1stアルバム収録の「The future of piano」から始まった。頻繁にピアノの演奏位置を入れ替わりながら観客に手拍子を促し、手を振りながらノリノリで演奏するふたり。「Power toccata」では、ドラムとベースも入った打ち込みに合わせ、真っ赤な照明に照らされて激しいリフを刻む。ニコやかなふたりとは対照的に、不協和音とアドリブの迫力に圧倒される観客。


次はクラシックフェスのためのカバー曲として「pomp and circumstance(威風堂々のカバー)」「Bolero(ボレロのカバー)」を立て続けに披露。メジャーアルバムからの「sad smile」はセンチメンタルなメロディーのバラード。英語詩の朗読のSEをバックにふたりのオブリガードが続く「Freedom-lyrical acid-」では、醸し出されるなんとも不思議な雰囲気に圧倒され、じっと聞き入る観客。しかし次の「Freedom-arguments by phone-」では客席と一緒に3・3・7拍子で盛り上がるなど、ふたりの変幻自在なパフォーマンスは印象的だ。

ポリリズムも取り入れたスティーヴ・ライヒ風の「Pianism-terapolyprhythm」でクラブにいるような楽しさを表現した後は、タオル回しを観客に勧める「Spiral switch」。クラシックのコンサートとは思えないような会場の景色が出現した。

【8】<クラシック紅白歌合戦 オペラからミュージカルへ>@HARBOR STAGE 18:40~
[出演] 北川辰彦(バスバリトン)、小林沙羅(ソプラノ)、西村悟(テノール)、伊礼彼方、昆夏美、エリアンナ、LE VELVETS、松沼俊彦(指揮)、STAND UP! ORCHESTRA

一日目のフィナーレを飾ったのは、オペラ歌手、ミュージカル俳優が一堂に会しての名曲プログラム。すっかり日の落ちた夜空の下吹き渡る海風が心地良い。

はじめに松沼俊彦指揮、STAND UP! ORCHESTRA が登場し「Preface of Opera」を演奏。モーツァルト、オッフェンバック、ビゼー等々、きっと誰もがどこかで耳にしたことがあるだろうオペラの名曲を巧みなメドレーで聴かせる。総合司会の松下奈緒が「皆さん、何曲ご存知の曲がありましたか?」と客席に問いかけた。

この後はしばしオペラの世界へ。テノール歌手の西村悟がプッチーニのオペラ『トスカ』から「星は光りぬ」をドラマチックに。バスバリトンの北川辰彦は、ドニゼッティの『愛の妙薬』から「ドゥルカマーラの薬売りのアリア」をコミカルに。


一気に世界観が変わってソプラノの小林沙羅が、プッチーニの『蝶々夫人』から「ある晴れた日に」を力強く。続いて構成メンバー全員が音大声楽科出身というLE VELVETSが、プッチーニの『トゥーランドット』から「誰も寝てはならぬ」を4人の各個性を生かした素敵なアレンジで披露。


LE VELVETSは続いて有名なカンツォーネ「オー・ソーレ・ミーオ」。それぞれが競い合うように美声を披露する中、佐藤隆紀が「どこまで続くのか?」というロングトーンを聴かせ続け、おおいに盛り上がった。

ここからのセットリストはミュージカルナンバーへと移行。オペラとミュージカルをつなぐにこれ以上ない存在のLE VELVETSが、『RENT』の「シーズンズ・オブ・ラブ」を。続いてエリアンナが『ドリームガールズ』から「Listen」をソウルフルに熱唱。


その余韻が残る中、伊礼彼方がソプラノの小林沙羅と、『オペラ座の怪人』から「ポイント・オブ・ノーリターン」をデュエット。曲がクライマックスに差し掛かった時、ライトアップに輝く遊覧船が会場横の海をすべるように進んでいった。この美しい魅惑の時間は、伊礼が小林の指にキスを落とすという絵のような様で締めくくられた。

そのまま伊礼が『ジキル&ハイド』から「時が来た」。昆夏美は『モーツァルト!』の「僕こそミュージック」を。本来は男性が歌うナンバーだが、彼女の豊かな歌唱力が、音楽の天才の訴える「このままの僕を愛して欲しい」との心を届けてくれた。続いて昆は、再び登場した北川と共に、映画版が話題を呼んだ『ライオンキング』の「愛を感じて」をデュエット。

ステージはいよいよクライマックスを迎え、今回のプログラム最大の目玉と言っていい『レ・ミゼラブル』メドレーへ。先日まで主人公ジャン・バルジャン役で同作品に出演していたLE VELVETSの佐藤、彼を追い続ける警部ジャベールの伊礼、バルジャンに育てられるコゼットの幼馴染エポニーヌの昆と、今日のキャストには実際の舞台で役柄を務めたメンバーがズラリ。

期待感が高まる中、先陣を切って登場したのはエリアンナ。「夢破れて」を繊細に、語るように歌ってみせた。巧みに音楽が切れることなく伊礼の「星よ」。頭上に広がる夜空には雲が多く残念ながら星は見えなかったのだが、またも奇跡のタイミングで空にヘリコプターが現れ、一筋の光を放っていく。続いて佐藤の「彼を帰して」。帝国劇場から全国を回った上演の間に、佐藤が獲得したのだろう、曲の心を訴える力が格段に増した絶唱になった。そして、最もポピュラーなナンバー「オン・マイ・オウン」を歌ったのは、もちろん昆。


ラストは、このミュージカルの登場人物全員で歌われる重唱「ワン・ディ・モア」。たたみかける迫力に次ぐ迫力が、このステージのフィナーレに相応しい歌唱になった。再び総合司会の松下が登場、「皆さん、もう1曲聞きたいですよね?」と嬉しいアンコールを促して歌われたのが、「民衆の歌」。観客全員の胸に染み入る感動が届けられつつ、<スタクラフェス>第一日目が無事終了した。

写真◎福岡諒祠、石ヶ森三英、大橋祐希

■<イープラス presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2019>

2019年9月28日(土)・29日(日)神奈川・横浜赤レンガ倉庫特設会場
■出演者(50 音順)
【総合司会】松下奈緒【特別出演】五嶋龍(ヴァイオリン)
【ソリスト】相葉裕樹/朝夏まなと/石若駿(パーカッション)/伊礼彼方/上野耕平(サックス)/エリアンナ/茅野愛衣(声優・トーク出演)/紀平凱成(ピアノ)/北川辰彦(バスバリトン)/鍵盤男子(ピアノデュオ)/五嶋龍(ヴァイオリン)/小林沙羅(ソプラノ)/昆夏美/阪田知樹(ピアノ)/篠原悠那(ヴァイオリン)/反田恭平(ピアノ)/種田梨沙(声優・トーク出演)/TSUKEMEN/DEPAPEPE/NAOTO(ヴァイオリン)/西村悟(テノール)/→Pia-no-jaC←/福間洸太朗(ピアノ)/藤田真央(ピアノ)/藤原道山(尺八)/外村理紗(ヴァイオリン)/松下奈緒(ピアノ)/三浦一馬(バンドネオン)/宮本笑里(ヴァイオリン)/山中惇史(ピアノ)/LE VELVETS/大月さゆ・彩花まり・岡本悠紀・吉田萌美・土倉有貴・田川颯眞(Living Room MUSICAL and more)
【指揮】青島広志/松沼俊彦/三ツ橋敬子
【アンサンブル】神奈川フィルハーモニー管弦楽団/シアター オーケストラ トーキョー/STAND UP! ORCHESTRA/神奈川県立弥栄高等学校吹奏楽部・合唱部/川崎市立高津高等学校吹奏楽部 and more...

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