【対談】Psycho le Cému × cali≠gari、「僕らが知ってるヴィジュアル系ではなかった」

ポスト

■自分らが恥ずかしくなるくらい
■オシャレが突き抜けてたんですけど

DAISHI:衝撃が走りましたよ、口に黒いシャドウが入る文化って、僕ら関西のほうにはなかったんで。

桜井:あれは関東の文化だから。茨城系だからね。

DAISHI:そうですよね。僕らは出汁の文化なんで、あんな文化はなかったですよ。「ムックの先輩にcali≠gariさんがいる」って聞いて、この人気は頷けるなと思ったんですよ。初めてムックとやったのは大阪だったんですけど、当時僕らもWaiveも、大阪ではそこそこ集客できてる時代にムックがポンときて、チラシ見た時に“何これ?”って。当時、白目のコンタクトも見たことがなかったし、眼帯とかしてるし。僕らが知ってるヴィジュアル系ではなかったんですよ。で、ライヴ観たら動員もノリもすごくて。その後から、僕らもcali≠gariさんを聴きまくったんです。

桜井:そうなの? その頃なんか、ムックはcali≠gariを踏み台にして売れてたけど(笑)。

DAISHI:いやいや、確実にcali≠gariさんのほうが売れてる頃ですよ。

▲cali≠gari

seek:ムックが『アンティーク』とか『痛絶』とかを出した頃からハード方面に行き始めたじゃないですか。で、『葬ラ謳』あたりでゴリゴリの方向に行きますよって時の、cali≠gariとのバランスがすごい好きで。

桜井:その頃、うちはもう“消えかけのレディオ”みたいな(笑)。疲れちゃって、もうダメだ、ヤメヤメ!って化粧も落としてたりしてたんじゃない?

DAISHI:その前に一回、僕らとcali≠gariさんで雑誌の両面表紙をやった記憶があって。その時、僕らはゴリゴリの和風コスプレをしてたんですけど、cali≠gariさんのほうを見たら、アメリカのファッション雑誌みたいな理解し難いオシャレが突き抜けてたんですよ。自分らが恥ずかしくなるくらい、オシャレが突き抜けてたんですけど。

桜井:そう言ってくれるのは同業者であって、お客さんからしたらそういうのは求めてなかったと思う。

seek:ヴィジュアル系っていうキーワードの“ヴィジュアル”を求められる、みたいなのはありましたね。

桜井:そう。だから、そういうものをうちが止めた後に、逹瑯とかガラくんとか大佑とかが昇華していってくれたから良かったなって。

seek:バンドとしての表現の仕方が、常にcali≠gariさんは変わっていくイメージがありますね。

桜井:飽きちゃうから。

seek:それはみんなが飽きるんですか?

桜井:気分かな。

DAISHI:僕らもそんなんしたいですよ。僕、和田アキ子さんと一緒ぐらい、ずっと同じ髪型ですからね。勇者の格好ができる髪型をずっとやってますから。色も変えられないし。バンドのヴォーカルって、色を変えたりメイクを変えたりできて楽しいはずでしょ? ずっとこの髪型ですよ。本来は僕らも根底には、いわゆるヴィジュアル系という言葉がないような時代の音楽に憧れてこのシーンに入ってますから。D'ERLANGERのCIPHERさんがいきなりリーゼントして革ジャン着た時、めちゃくちゃ衝撃が走りました! カッコいいって。

桜井:アハハハハハ。僕もCIPHERさんのマネは散々やったもん。

▲桜井青 [G&Vo / cali≠gari]

seek:僕らは、続けることによってロック度が増してるように見えてくるのかなと思ってて。お客さんに飽きがくるときがあるだろうし、変わったものを見たいって思う時もきっとあるんだろうけれど。

桜井:そういうルックスのこともあるかもしれないけど、Psycho le Cémuの場合はやっぱり曲のクオリティが高い。だからお客さんがついてきてるっていうところは絶対にあると思う。

seek:そう言ってもらえると嬉しいですね。長く続いているバンドさんって、そういうバンドさんが多いのかなっていうのがあるから。

DAISHI:だから、そこそこブサイクだけど曲を書いてるリーダーが、今一番人気があるんですよね(一同笑)。僕と彼は幼馴染で、「人気は俺に任せとけ。お前は曲だけ書いとけ」みたいな話をしたことがあるんですよ、高校時代に。それが、まさかこの歳になって人気も曲も全部任せることになるとは(笑)。

seek:それはわかんないですけど、頑張ってください。そこは自分の努力次第な感じがしますけどね(笑)。

桜井:アハハハハハ。

DAISHI:やっぱり世界を作ってる人って強いのかなあとは思うんですよ。若い時はヴォーカルでセンターにおったらキャーキャー言われてても、やっぱり曲書いてるとか歌詞書いてるとか世界観を作ってるとか、お客さんはそういうところを年を追うごとに見てくるので。

桜井:年取るとそれは余計にあるよね。あと、メンバーはやっぱり老化してるんだけど、お客さんって絶対にライヴ補正が掛かってるからシワとかが見えてない(笑)。たぶんライヴ会場全体が巨大なビューティープラスになってると思う。

DAISHI:面白い(笑)。確かにそうですね。

桜井:じゃないと、こんなおっさんのライヴに来るはずがない。

seek:20年近く経ちますから、それ相応ですよね。

DAISHI:僕自身、最近ライヴ前に自分より年上のイケてるおっさんバンドマンの映像を見てからステージに立ちますからね(笑)。名前は言わないですけど。

桜井:僕だってライヴの前日にBUCK-TICKとかD'ERLANGERとかZI:KILLのライヴ映像とか見るから。

DAISHI:あ、名前全部言っちゃった(笑)。見るとめっちゃスイッチ入るんですよ。

桜井:あれ、なんでだろうね。特に興奮するのは、BOØWYの『GIGS』とか。これはかなりアガる。

DAISHI:まさにこの前の中野サンプラザの前にそれを見て。氷室さん、片膝ついて半曲くらい歌うんですよ。そんなまね俺にはできないんですけど、春の中野サンプラザ公演でワンコーラスぐらいは片膝ついたままいきました(笑)。

桜井:1小節ワンアクションとかね(と、歌マネをする)。

──ただ、その当時の氷室さんは今の青さんより年下ですよね。

桜井:うるさいわね! いいんですよ!

seek:アハハハハハ。

桜井:概念的にあの人たちはずっと年上なんですよ。

◆対談【3】へ
◆対談【1】へ戻る
この記事をポスト

この記事の関連情報