【インタビュー】モータウン60周年、その魅力とは？ 3人のアーティストに訊く

モータウン・レコーズが設立60周年を迎えた2019年、ここ日本でもコンピレーション盤のリリースや世界初CD化を含むオリジナル・アルバムのリイシュー、アニバーサリー・イベントの開催など様々な記念企画が展開され、大きな盛り上がりを見せている。

「The Sound of Young America」をスローガンに数々のヒット曲を送り出し世界的レーベルへと急成長していった1960年代から、「The New Definition Of Soul」をモットーに掲げ、BJ・ザ・シカゴ・キッドやミーゴス、Matt Oxら新世代アーティストを擁して活動する現在まで、時代を超えて新しい音楽・新しい価値観を発信してきたモータウン。BARKSでは改めてその魅力に迫るべく、アーティストや著名人などがオススメする音楽をアナログレコードで届けてくれるサービス「PERSONAL BUYER BY REVINYL」とのタッグで、3人のミュージシャンに書面でのインタビューを行なった。

インタビューに応えてくれたのは、“ゲストバイヤー”として同サービスに参加している社長（SOIL&"PIMP"SESSIONS）、真行寺貴秋（BRADIO）、Shingo Suzuki （Ovall）だ。

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■社長（SOIL&"PIMP"SESSIONS）

(1) ご自身に影響を与えたモータウン所属アーティストを教えてください。

スティーヴィー・ワンダー

(2) 影響を受けた理由やエピソードを教えてください。

小学校の頃に、父が持っていたスティーヴィー・ワンダーのアルバム『キー・オブ・ライフ』にハマって、父がいない時にそのレコードをこっそり聴いていました。収録されている「アナザー・スター」は今でもDJでプレイし続けている、ライフタイムベストソングです。

(3) もし、モータウンのカバーをするのであれば、どの曲が良いでしょうか。

ジャーメイン・ジャクソン「エルーク」（『マホガニー』サウンドトラック収録）

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■真行寺貴秋（BRADIO）

(1) ご自身に影響を与えたモータウン所属アーティストを教えてください。

ボーイズIIメン

(2) 影響を受けた理由やエピソードを教えてください。

中学生の時に英語の授業で（ヒアリングの学習の一環で映像を見たり曲を聴いたり）洋楽と出逢い、その時に「ウィ・アー・ザ・ワールド」を観たり、マイケル・ジャクソンの「スリラー」に衝撃を受けてそこからジャクソン5を知ったり……。スティーヴィー・ワンダーの「心の愛（I Just Called to Say I Love You）」なども特にインパクトを受けた記憶が残っています。

音楽にハマる原体験の中で、今思えば意識はしなくともモータウンに触れていた機会はたくさんありましたが、“モータウン”としてカテゴライズしてはいなかったんです。そんな中でも僕の中でモータウンを意識した、そして自分のターニングポイントとも言えるグループ──90年代のモータウンを象徴する方々だと思います、それがボーイズIIメンです。

BRADIOを組んでから10年経とうとしていますが、結成前はベースボーカルをやってたんです。比重としてはベーシストの意識だったんですが、やっているうちに歌の方が楽しくなってきちゃって。それで前のバンドが解散して、BRADIOからピンボーカルを始めるわけなんですけど、それまではロックとかパンクが好きだったんです。歌い方とかもやっぱりそういう影響下にあったと思います。そこからベースを下ろしてやることが歌一本になったので、それだけに集中できるというか、それでちゃんと歌の勉強をしようと思って。それでなんとなく、“歌と言ったら黒人だろ、R&Bだろ”ってとても安易な考えでレンタルショップで闇雲に借りたCDが、ボーイズIIメンの『クーリーハイハーモニー』でした。

ジャケットとトラック数がファーストプレスとは違うリイシュー盤（メンバーが赤いキャップを被ってる）の方で、そっちには1曲目に「エンド・オブ・ザ・ロード」が入ってるんですが、ノックアウトでした。当時のロック、パンク大好きな自分にとってはとにかく知らない世界すぎて衝撃でして、ここから黒いフィーリングに取り憑かれたんだと思います。今思えばモータウンって時代もちゃんと意識していますよね、自分はこのアルバムからニュー・ジャック・スウィングにハマりました。

ドゥーワップという存在もちゃんと意識したのはこの時ぐらいからだったと思います。スピナーズのリードだったG.C.キャメロンのアカペラ・カバー「グッドバイ・トゥ・イエスタデイ」とか、自分はボーイズIIメンの印象が強くて、そういった意味ではモータウンって語り継がれる曲がたくさんありますよね。今でもこのアルバムはよく聴きますし、ウォンヤ・モリスは今でも僕のヒーローです。

(3) もし、モータウンのカバーをするのであれば、どの曲が良いでしょうか。

悩みますね（笑）。BRADIOでもモータウン・ビートを取り入れた「All I Need Is You」って曲があったり、以前にスティーヴィー・ワンダーのカバーだったりマーヴィン・ゲイの「ホワッツ・ゴーイン・オン」でジャムセッションしてたり。デヴィッド・T．ウォーカーとかジェームス・ジェマーソンとかメンバーみんなそれぞれ好きですね。ザ・テンプテーションズの曲をメドレーとかにしてファルセットのエディ・ケンドリックスと男気のデヴィッド・ラフィンみたいに一人二役とかはいつかやってみたいですけどね。コモドアーズの初期のファンキーなナンバーもいいなとは思ったんですが、ベタにデバージの「アイ・ライク・イット」とかスウィッチの「ラヴ・オーヴァー・アンド・オーヴァー・アゲイン」とかスウィートな感じをバンドではやってみたいですね。

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■Shingo Suzuki （Ovall)

(1) ご自身に影響を与えたモータウン所属アーティストを教えてください。

エリカ・バドゥ

(2) 影響を受けた理由やエピソードを教えてください。

初めて聴いた衝撃は忘れられないです。一聴して鳥肌が立つ、理由なしのかっこよさ。
ボーカルのトーン、メロディ、楽曲のアンサンブル、コード感、ドラムのビート、歌いたくなるベースライン、生々しい質感、、
そして何よりエリカ・バドゥ唯一無二の存在感！　ジャズとヒップホップ、そしてソウルを一緒に感じます。ジャンルというよりBLACK AMERICAN MUSICと呼ぶべきなのかもしれない。このアルバム以降、影響された世のプロデューサー達はリムショット（スネアの奏法、音色のひとつ）を打ち込みに多用したんじゃないかな。
スタジオ録音とともにライブ音源もあり、シンプルなバンド編成ながら圧倒的な一体感そして緊張感、開放感。。
これはMOTOWNの外せない名盤だと思います。

(3) もし、モータウンのカバーをするのであれば、どの曲が良いでしょうか。

エリカ・バドゥ「On & On」

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なお、この後11月3日（日）には奈良・薬師寺大講堂前特設会場にて、モータウンの設立60周年を記念したクラシック・コンサート＜モータウン60周年アニバーサリー　モータウンオーケストラコンサート＞が開催される。同公演にはシンガーとして、ジャーメイン・ジャクソン、BJ・ザ・シカゴ・キッド、シャニース、スピーチ（アレステッド・デベロップメント）が参加することも決定している。