【インタビュー】THE FOREVER YOUNG、濁りのないピュアな感情を凝縮した疾風怒涛のパンクアルバム『ビューティフルユース』

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THE FOREVER YOUNGのライブでは、ちょっと異様なほどにファンが思いっきり叫んで泣きながら一緒に歌っている。かと思えば、スローな曲では立ち尽くしてステージを凝視しながら、グッと言葉を噛みしめるように聴き入っている。そうして再び激しい曲が始まるとフロアはダイブ、モッシュの嵐になり、次々とステージに上がる者が現れて混沌となる。だけど、そこにはあるのは一切濁りのないピュアな感情。それはとても美しくさえ思える。そんな、誰もが様々な形で心に宿している美しい青春を表現した作品が、彼らの3rdアルバム『ビューティフルユース』(2019年9月11日発売)だ。全10曲のフルアルバムにして、収録時間29分という疾風怒涛のパンクアルバム。バンドの魅力であるメロディの良さも存分に発揮され、チューリップのカバー「心の旅」でルーツを知ることもできる。今作及びライブの話を中心に、メンバー3人に話を聞いた。

■僕たちだけじゃなくて一緒に生きていけることが
■“一生青春”なんじゃないかなって最近は思っている


――『ビューティフルユース』はフルアルバムですがトータル時間が30分ないですね。

クニタケヒロキ(以下、クニタケ):ないですね(笑)。2ndも結構長かったし1stが一番長いかったかもしれないですね。

オガワリョウタ(以下、オガワ):どっちも40分以上はあるもんね。

――THE FOREVER YOUNGならではのメロディアスな曲もありますけど、すごくパンクなアルバムですね。衝動的に書いた曲も多かったんですか。

クニタケ:難産な曲もありましたし、ライブでサポートをしてくれているギターのリョウがレコーディングに参加することになった段階で組み立てた曲もあれば、その前からメロディだけあった曲もありました。昔はポエトリーリーディングを入れてみたり、シャウトの曲やテクニカルな曲というか、ちょっと背伸びした曲がチャレンジとしてあったと思うんです。今回は、青春パンクに影響を受けたときの僕のまんまでメロディを作れたかな。アレンジに関しては、それをみんなでより簡単にというテーマで作っていけたと思うので、パンクな感じは表現できたんじゃないかと思います。

――みんなでバンドの初心に戻って、という話をとくにしたわけでもなく?

クニタケ:とくに話したわけでもないんですけど、そういうイメージはずっとありました。1曲目「TO THE END」という曲はバラードの曲をやりたくて。それで2曲目にシンガロングできる曲があればいいねみたいな構想でやっていたんですけど、やりたい曲をやった結果バラードになった感じです。


――アルバムがバラードで始まるのも、THE FOREVER YOUNGならではですよね。でも、ゆっくり始まっても途中から速くなるんじゃないか?って身構えちゃいますけど(笑)。

クニタケ:そうですよね(笑)。溜めて出すのが好きなので。

オガワ:30分を切るような短いアルバムを目指したわけじゃないんですけど、この曲はこう、この曲はこう、ってやってたら結果そうなったというか。でもそれで良かったなって。完成して聴いたときに何度でも繰り返し聴けるのがいいなって思ったんですよ。仮に1曲の中で2番をこうしようとか、あんまりやり過ぎても。

クニタケ:「ここ、いらん」みたいなことが出てきそうかなって。

オガワ:うん、長くなりすぎてもよくないなって。結果的になんですけど、その短さがいいなって。今も何回も聴いているので。

タカノジュンスケ(以下、タカノ):僕も、レコーディング後に車の中でめちゃくちゃ繰り返し聴きながら帰りました。


▲クニタケヒロキ (Vo.Ba)

――アルバムの中で気に入っているのはどんなところですか?

タカノ:今回は、サポートしてくれたリョウ君とホテルの部屋とかで、ずっと2人でギターを考えたので、ギターの絡みが全体的にめっちゃイイ感じだと思います。

クニタケ:それはそう思います。4曲目の「くそったれ」なんかは、ジュンスケが自分で考えたパワーフレーズがあって良いなと思いました。成長してるんだなって。

タカノ:成長しました(笑)。

――「くそったれ」は、“世界中のシュークリーム投げつけてやるぜ”という強烈なフレーズが出てきますけど、これはTHE FOREVER YOUNGの優しさが出てるなと思いました。

クニタケ:ははははは(笑)。僕はこれと、“元カレみんなくそったれ”がパンチラインだと思ってます。

――最初に“アイツの元カノくそったれ”って歌っていますが、本当は“元カレみんなくそったれ”が一番言いたかったんだろうなって(笑)。

クニタケ:そうなんですよ(笑)。

――パンク・アルバムだとは感じたんですけど、同時に「笑っていようぜ」みたいな曲には、フォークとかニューミュージックの影響を感じさせます。そこが、所謂“青春パンクバンド”では終わっていないところですよね。

クニタケ:僕は自分が何に影響を受けてメロディを作っているのかよくわかっていないんですよ。でも、今回カバーした「心の旅」もそうなんですけど、僕が赤ちゃんのときにうちの母ちゃんとかのレコードを実家で流していたらしいんです。それこそ、チューリップや吉田拓郎さんをガンガン流していたらしくて。別に「笑っていようぜ」もそういう音楽を意識して書いたわけではないんですけど、結局出てくるのがそうなるんですよね。だからそこは何かあるのかなあって。


▲オガワリョウタ(Dr.Cho)

――なるほど、そこが今回チューリップの「心の旅」をカバーしたことに繋がっているんですね。

クニタケ:これは、僕が弾き語りでやっていたんです。本当は「心の旅」って、コードがめちゃくちゃ難しいんですけど、それを簡単にして歌だけちゃんと歌えればいいやと思って歌い始めたんです。弾き語りでやっているうちに、これはTHE FOREVER YOUNGぽいなって。リリックも歌いまわしもそうだし。だから、最近ライブでもちょこちょこやってるんですけど、「新曲です」って言ってやっています(笑)。

――確かにTHE FOREVER YOUNGっぽい曲ですし、そう思っているファンの人もいるかもしれない(笑)。

クニタケ:もちろん知ってる人もいますけど、知らない人もいてビックリしたんですけど。

――オガワさんとタカノさんは知っていましたか?

タカノ:知っていました。好きな曲です。

オガワ:じつは、何曲か候補があったんですよ。同じチューリップの「青春の影」もやったりして、最終的に「心の旅」になったんです。昔からずっと好きでしたし、サビのメロディがいいですよね。それをバンドでやってみんなで歌うというのは、たしかに俺ららしいなって思います。俺は、結構知ってる人の方が多いんじゃないかなって思っていますし、わりととっつきやすくてメロディ的にも難しくなくて誰でも歌える曲だと思うので。

クニタケ:「心の旅」のテレビ初披露か何かの映像を見たことがあるんですけど、メンバーがフォーク全盛期の髪形をしていて、お客もみんなああいう髪形で手拍子をしていて。お客さんの声も入っているんです。それを見て“いいな、感動的だな”って。若者のすべてが表現されているような美しい映像というか。それで「心の旅」をやりたいなと思ったんです。「心の旅」のオリジナルのヴォーカルって、財津和夫さんじゃなくて姫野達也さんなんですよね。近年は財津さんが歌っているんですけど、もともとは姫野さんがメインで歌っていたのを知って最初はビックリしました。こういうフォークソングのカバーって、僕たちが学生の頃なんかは結構あったと思うんです。「なごり雪」や「贈る言葉」のカバーとか。でもそれがもう10年ぐらい無いなと思っていて。そういうのは1つの手段じゃないですけど、やってみてもいいのかなって思って今回収録しました。


▲タカノジュンスケ(Gu.Cho)

――歌詞が本当にTHE FOREVER YOUNGの世界観と似ていますね。

クニタケ:そうですね。“ああだから今夜だけは 君を抱いていたい”っていう、“今夜だけ”でいいんですよね。それが美しいなって思うんです。明日もないみたいな感じじゃないですか?明日の今頃にはいないわけなので。

――そういう、刹那的なところは共感しますか?

クニタケ:カラオケで歌ったりしてもそんなに歌詞は入らないんですけど、改めて自分たちで歌うとなったときに歌詞を見て“あ、これはマジで俺たちの曲やな”って。

――この曲もそうですけど、前作の「ミッドナイトライナー」もそうですし、今作に収録されている「あの街へ帰れない」とか、故郷や誰かとの距離感みたいなものがTHE FOREVER YOUNGの曲には多く出てきますね。

クニタケ:そうですね。今回、『ビューティフルユース』というタイトルにしたのもそうなんですけど、前までは青春というテーマに関しては“俺たちが青春を終わらせない”という風に思っていたんです。でも誰かとの思い出があるし、誰かとの現在進行形の関係もあるから、僕たちだけじゃなくて一緒に生きていけることが“一生青春”なんじゃないかなって最近は思っているんです。「あの街へ帰れない」でも歌っているように、待ってくれているやつもいっぱいいるので。そのために“一緒に、青春を終わらせないでいよう”という風に考え方が変わってきましたね。今までは“青春を終わらせない”って意地を張っていたんですけど、大人になるにつれて終わって行くのはわかっているんですよね。でもそういう刹那だったり、薄れていくけど誰かの心の中にふつふつと残っている青春は美しいなと思って。色々な青春なタイプがあって、僕たちはまだメラメラと燃やしているんですけど、様々な人の心にあるのが『ビューティフルユース』=“美しい青春”なんじゃないかと思います。

――昔の自分と比べて考え方が変わったところも結構あるんですか。

オガワ:考えてやっているわけではないんですけど、ライブでは以前より全然やんちゃをしている感覚はありますね。やればやるほど体は衰えていくわけですからキツいんですけど、逆にそれを無理してやってるのが気持ち良いというか。それはいつまでやれるかわからないですけど、そういうところは前とは変わってきたかもしれないです。

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