【対談】SUGIZO × アイナ・ジ・エンド(BiSH)、「すごく綺麗な曲をいい意味で汚してくれた」

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LUNA SEAがTVアニメシリーズ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』のオープニングテーマを担当したほか、そのエンディングテーマにmiwa、GLIM SPANKY、コムアイ(水曜日のカンパネラ)、アイナ・ジ・エンド(BiSH)をフィーチャリングした楽曲が起用された。これら全オープニング/エンディング楽曲のプロデュースを務めたのが『機動戦士ガンダム40周年プロジェクト』の総合音楽監督であるSUGIZOだ。

◆SUGIZO × アイナ・ジ・エンド(BiSH) 画像

第四弾にして最後のエンディングテーマとなった“SUGIZO feat. アイナ・ジ・エンド(BiSH)”による楽曲「光の涯」が本日8月13日(火)より配信リリースされる。「光の涯」の原曲はSUGIZOのソロアルバム『ONENESS M』収録曲「光の涯 feat. MORRIE」であり、作詞をMORRIE、作曲と編曲をSUGIZOが手掛けたもの。いわばSUGIZOによるセルフカバーとも言える同曲のヴォーカリストにBiSHのアイナ・ジ・エンドを選んだ理由とは? それぞれのガンダムや楽曲への深い想いが語られた対談をお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■オファーする相手を間違えてないですか?
■大丈夫ですか?って。驚きが大きかった

──アイナ・ジ・エンドさんにとって『機動戦士ガンダム』はどんな作品でしょうか?

アイナ・ジ・エンド (以下アイナ):正直、全然知らなかったんです。ただ、お父さんがガンダムを好きだということは知っていたので、今回のお話をいただいてから「(『機動戦士ガンダム』は)どんな物語なの?」と話を聞かせてもらったり、ガンダム好きな友だちからも「ガンダムにはいろいろなシリーズがあって、とてもじゃないけど数日では知り尽くすことは出来ない」と教えてもらったりもしました。だから知識としては深く持ちあわせてはいないのですが、興味はすごく湧いているので、これを機に紐解いていきたいと思っています。

▲SUGIZO

──“『機動戦士ガンダム』を知りたい”と思われたきっかけとなったのが、今回のテレビシリーズ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』(以下、『THE ORIGIN』)のエンディングテーマ「光の涯」です。「この曲を歌って欲しい」というオファーが来た際はどのようなお気持ちでしたか?

アイナ:“オファーする相手を間違えてないですか?”って思いました。大丈夫ですか?って。驚きが大きかったです。それと、SUGIZOさんがBiSHを知っていてくださるんですか?とびっくりもしました。

──SUGIZOさんは、なぜアイナ・ジ・エンドさんへオファーをしようと思われたのでしょうか。

SUGIZO:BiSHは知っていましたよ。元々スタッフの関係も近かったこともあって、「面白いアーティストがいるよ」って聞いていたんです。BiSHはもちろんインパクトがあったんですけど、アイナちゃんのソロ曲を聴いたときに、すごく胸を打たれて。この人のポテンシャルは無限大だなと思ったんですね。一見、現代の象徴的な女子なようでいて、実は中にドロっとしたものを感じて。最初にお会いしたときにも「(アイナの中にある) 闇がいいよね」という話をしました。

アイナ:はい (と頷く)。

SUGIZO:いや、その闇の部分は今の女の子たちが普通に持っているのかな……、ある意味、深い部分というのを感じたんです。持ってるの? そういった闇とか屈折した部分というものを、10代や20代の女の子たちって。

アイナ:形は違うとしても、それぞれが持っているものだという気がします。

▲アイナ・ジ・エンド(BiSH)

SUGIZO:昔よりも感情の棘とか矛盾とか汚い部分や暗い部分を表現しやすくなっているよね。例えば90年代は、必ずしもそういう場があったわけではなかったから、アイナちゃんはそういったものを持つ今の女性たちの象徴のような気がして。この子に、すごく深淵で哲学的な歌をうたってもらいたいと思ったんです。結果、僕的には大正解でした。アイナちゃんが持っている痛みや、彼女の声が持っている歪み観やエッジ感が、すごく綺麗な曲をいい意味で汚してくれた。やっぱりこの子のポテンシャルってすごいな、と自分の審美眼を褒めてあげました。

──SUGIZOさんと最初にお会いになったとき、アイナさんはどんな感想を持ちましたか?

アイナ:うぉぉぉ!と込み上げるものがありました。「動いている~! 本物だー!」みたいな(笑)。LUNA SEAのDVDや『永遠の言葉』という本でしか見ていなかったので、ちゃんとご本人にお会いしたのが初めてで。そこからしてびっくりでした。

──カバーすることになった楽曲「光の涯 feat. MORRIE」を聴いたときの印象を教えてください。

アイナ:儚いのかなと思ったんですけど、星が浮いているような感覚があったので、これは“儚い”という言葉で表現するのは違うな、とも思いました。じゃあ、なんだろう?と思ったときに浮かんだのが、ちょっと歪んだブラックホールの中で浮いている綺麗な星だったんです。“渾沌”という言葉がイメージできる、そんな曲だな、あまり聴いたことがないな、と思いました。

──アイナさんとのコラボ曲に、なぜ「光の涯」を選んだのでしょうか?

SUGIZO:この曲はある意味セルフカバーになるんですが、なぜかわからないけれどこの曲しかない、と思ったんです。元々はDEAD ENDのMORRIEさん、いわば僕ら界隈のシーンの中での僕が最も尊敬する先輩と作った曲です。今はラッキーなことにとても親しくさせていただいていますが、僕が高校生の頃、彼は雲の上の存在だった。僕の知る限り最も研ぎ澄まされた人で、同時に最も知的で博学な人。MORRIEさんの音も言葉もすごく好きなんです。2年前にMORRIEさんとコラボをしてこの曲を作って、そのときはご本人に歌ってもらったんですが、それから1年後に『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』で主題歌を担当することになったとき、なぜかこの曲がぴったりと自分の中にハマって。とても重要な曲だったんです。なぜかはわからないけど、とても重要な曲だった。

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