【インタビュー】ALICE IN MENSWEAR、濃密な初ライヴを終えて「命を捧ぐ本気度が伝われば」
michi.(Vo / S.Q.F, MASCHERA)とKOJI (G / ALvino, La'cryma Christi)による新ユニットALICE IN MENSWEARが4月12日、新宿ReNYにて初ライヴ<Wonderland For The Lost Children>を開催した。想像を遥かに上回る完成度の高いステージは、michi.とKOJIのALICE IN MENSWEARにかける想いそのもの。ユニットにかける意気込みが細部にわたって溢れていた。
◆ALICE IN MENSWEAR 画像
初ライヴ当日の模様については、BARKSにて速報と詳細レポートでお届けしたとおり。ひたすらALICE IN MENSWEARの世界観をサウンドとヴィジョンで示すという意味ではストイックであり、休むことなく五感が刺激され続けるという意味ではドラマティックなものだった。そして初ライヴから数日後、あの日に感じたことや今後への思いなど、michi.とKOJIを迎えて話を訊いた独占インタビューをお届けしたい。映像演出、セットリストを含むステージ進行、KOJIによるギターインスト、初ライヴを終えて新たに見えた未来など、神秘のヴェールを脱いだALICE IN MENSWEARの画期的で革新的な本質が今、改めて語られる。
◆ ◆ ◆
■芸術性や日本語特有の独特なデザインも
■同時に楽しんでいただけるような異世界
──まず、会場に入った時に映し出されてた映像を見て驚きました。大きく映し出された逆回転の時計。開場して開演までの間も、すでにALICE IN MENSWEARのライヴが始まっているというか、現実世界から異世界へトリップさせてくれる演出に感服しました。この日のライヴは映像もフィーチャリングされていましたが、こういうアイデアはどういう流れで固まっていったんですか?
KOJI:ミュージックビデオを撮影するにあたり、michi.と一緒に監督探しをしていたんですが、俺が昔一緒に作品作りをしていた立花くんというクリエイターが、ALICE IN MENSWEARの世界観にハマるんじゃないかなと思ったんです。というのも立花くんは、俺とmichi.と同じオタク気質というか(笑)、芸術家的厨二病なところがありまして。
michi.:そうそう(笑)。愛すべき厨二病。
▲<Wonderland For The Lost Children>2019年4月12日@新宿ReNY |
──その第一弾がユニットの始動発表と同時に公開された「Lost Child」。
KOJI:そうです。初仕事となったmichi.も非常に気に入って、「ライヴでもVJとして参加して欲しい」という話になり、彼にオファーしたんです。元々ライヴに映像を入れたいというのはmichi.と話していたんですが、「俺達が表現したい世界を100%理解してくれるクリエイターじゃないと難しいかもね」と思っていたので、誰でもいいという風ではなかったんです。ALICE IN MENSWEARで拘りたい世界って表現の仕方が少しずれるとハマらないと思うんですよね。同じ厨二感が必要というか。そういう意味で立花くんの存在があってあの日の映像の演出が固まっていったと思っています。
michi.:僕自身はステージでの映像演出を以前から実践していましたが、今回はALICE IN MENSWEARの濃厚な世界観ありきだったので、これまでとは全然違ったアプローチができるだろうと。ミュージックビデオを撮ってくれたクリエイターなら既に僕たちの全貌を知っているし、スマートに方向性を理解してもらえるんじゃないかと踏んで、立花くんに打診したところ、快諾してくれて。でも、理解し合えるのは良いことなのですが、その反面あれもしたいこれもしたい、と欲張りになってしまう部分もあり、実際細かく意見させてもらい、その都度何度も修正を掛けてもらったりしましたね。こちらのわがままに対して、諦めず最後までつきあってくれた立花くんにはほんとうに感謝です。
──オープニング曲の「Lost Child」や「オートマタ -鋼鉄少女A-」ではリリックが映像として映し出されていましたが、これはメンバーのアイデアだったんでしょうか?
michi.:僕達から提案しましたね。「Lost Child」に関しては1曲目と決まってましたし、個人的な思い入れもあります。詩の内容も、これから何か新しい物語が始まるその期待と不安や決意を表しているものですし、初めてでもわかりやすく心に突き刺さってもらえるよう、言葉という武器も駆使したいなと。「オートマタ -鋼鉄少女A-」はそもそも歌ではなくリーディングなので、物語をより理解してもらえやすいようにという思いはもちろん、活字が持つ芸術性や日本語特有の独特なデザインも同時に楽しんでいただけるような異世界づくりを目指したくて。結果、エヴァ世代にはたまらないアプローチが出来たんじゃないかな(笑)。
KOJI:エヴァ感! 打ち合わせの時、立花くんとはエヴァって言葉は交わしてないんですが、こういう映像を持ってくるところが同じ厨二感を共有してるなって思います。
▲<Wonderland For The Lost Children>2019年4月12日@新宿ReNY |
KOJI:MCも含めてライヴのスタイルをどうするかは、michi.とかなり長い期間意見を交わし合いましたね。
michi.:確かに、かなり時間をかけて話し合いました。一度方向性を決めても、後に「前はこう言ったと思うけど、あれから色々と考えて考えが変わって」という風に、固定概念にとらわれずALICE IN MENSWEARとしてどういうスタイルで活動していくかという部分には拘りました。
KOJI:michi.とのやり取りの中で、おっしゃるようにMCでほぐしていくというアプローチも会話には出てきましたが、最終的にこういう形で行こうと決めた結果の4月12日のステージ構成でした。初ライヴな上、アルバムリリース前ということもあって、初聴きのファンも多くいる中、本当の意味での一体感を作るというのは現実的ではないと思ってましたから。なので、より心に刺さるというか、えぐるというか、“魅せる”ライヴをしたいって思ったんですよ。そういう気持ちから、拘ったのは曲順だったり曲間だったり、ライヴの進行を重視してリハやゲネを行いました。そうした流れの中で自然とMCのタイミングが減っていき、そこについて話し合った時も「MCでファンの気持ちを引くよりも曲や世界観を思う存分感じてもらえるようなライヴにしたいね」ってメンバーとスタッフが同じ方向に向けましたね。
──実際にライヴをやってみての手応えはいかがでした?
KOJI:すごく手応えを感じましたね。今後ライヴを重ねていけば曲も浸透して、ライヴならではの一体感も生まれてくると思っています。というか、そういう風なライヴをしていきたい。でも、今後のライヴでも“魅せる”というアプローチは大切だと思っているし、心に刺さるえぐるという気持ちも持っていきたいし、ALICE IN MENSWEARにしか表現できないライヴを創りあげていきたいと思っています。
michi.:あと、そもそも僕自身がMC苦手なタイプってのもありますね。絶対噛むし(笑)。それでも自分が挑戦したかったから、これまではトライしてきましたが、ALICE IN MENSWEARにおいては自分の得意なことを純粋な武器として勝負していきたいなと。自分の得意なことであれば、その中でオーディエンスを“熱く”することも“ほぐす”こともできるんじゃないかと。今はそういったベクトルへ自分達のモチベーションが傾いているので、自然とこのスタイルにたどり着いたんだと思います。
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