michi.ソロ初のバンド形式ワンマンで「最高のスタートが切れました」

michi.が8月5日、東京・赤羽ReNY alphaにてソロ始動後初のバンドスタイルワンマンLIVE＜カウントゼロ＞を開催した。全ての演奏を終えた後には、12月2日に次回ワンマンライブを開催することも自身の口から告げられた。

◆michi. 画像

有観客チケットがソールドアウトとなり配信も実施された＜カウントゼロ＞は、MASCHERA、S.Q.F、ALICE IN MENSWEARといった自身のキャリアを完全網羅。オープニングナンバーの「iNTERFACE」からアンコールラストの「to fly high」まで全18曲がオールタイムベストな選曲で披露された。


ALICE IN MENSWEARのKOJI(G)が食道がんのため逝去したのは2022年4月15日のこと。michi.は生前のKOJIとの約束を果たすため、同年4月17日に赤羽ReNY alpha配信ライヴ＜ALICE IN MENSWEAR 3rd Anniversary＋KOJI生誕祭＞、同年8月7日に赤羽ReNY alpha有観客＋配信ライヴ＜IN MEMORY OF KOJI project「GEARS OF DESTINY code 1812」＞、そして一周忌となる2023年4月15日に新宿ReNYで＜KOJI追悼 ALICE IN MENSWEAR ワンマンライヴ「THIS IS WONDERLAND」＞を開催。ALICE IN MENSWEARとしての活動に一つの節目をつけた。

この1年間のmichi.の喪失感や葛藤やためらいはこれまでBARKSインタビューで語られてきたが、KOJIとの日々や作品を風化させたくないという想いからスタートしたのが、michi.名義によるソロでもある。2023年1月14日に羽田TIAT SKY HALLで開催された＜Caramel Vox REBOOT＞は、有観客＆配信によるソロ始動ライブ。Rookie Fiddlerをキーボーディストに迎えたアコースティック形態で、自身の軌跡を辿るセルフカバーが全17曲が届けられた。その1曲1曲にソロとしての決意が滲み、サプライズ披露されたLa'cryma Christiの「Without you」にはKOJIが作った曲を歌い続けるという意志が溢れていた。


そして前述したように、ソロ始動後初のバンドスタイルとして実施されたライブが、この＜カウントゼロ＞となる。BARKSでは後日改めてライブレポートをお届けするので、ここではあえてその詳細については触れないが、ステージ上はもとより、それを凌駕するような客席のエネルギーを合わせて、会場全体がこの夜の主役だった。前述した道のりを知るファンの想いとmichi.自身の気持ちが重なった瞬間だったと言い換えてもいい。ステージ上のフロントマンが扇動するように客席を操り、空間を支配するような構造が多いライブのなかで、この夜は客席のテンションがその構造自体を解体してしまった類い稀な例でもある。michi.の完全帰還を祝福し、その夜に自分が参加しているという興奮が高まり続けて果てしない。ステージ上のmichi.は笑顔。新たな始まりを告げるにふさわしく、清々しい空気に包まれていた。

michi.バンドのサポートを務めたのは、ALICE IN MENSWEARでお馴染みの古谷圭介 (B)と竹村忠臣 (Dr)、ギターにはS.Q.Fのサポートでも知られる菅大助。そしてもう一人。KOJIによるツインギター自動演奏システム(KOJI自身が生前、ライヴ用に新録したギターサウンドとそのプログラミング)がALICE IN MENSWEARの楽曲で猛威を奮った。一朝一夕には成し得ないはずのバンド感が、初のバンドスタイルライブで既に生まれていた理由は、ここにある。

「どうもありがとう！ みんなのおかげで最高のスタートが切れました。michi.ソロ、次回ワンマンが決定しました。2023年12月2日、場所はここ赤羽ReNY alpha。今日は、ご来場の皆さんも配信をご覧の皆さんも、新しい歴史の瞬間に立ち会ってくれて、本当にありがとうございました！…気の利いた言葉が出てこないけど、最高の歴史をみんなと一緒に刻んでいきたいと思います。これからもよろしくね」──michi.

全ての演奏終了後、michi.はこう語った。＜カウントゼロ＞を通過点として、michi.ソロは歩みを始める。なお、＜カウントゼロ＞の配信は最長9月4日まで視聴が可能。12月2日に赤羽ReNY alphaで開催される次回ワンマンの詳細は後日アナウンスされる予定だ。

取材・文◎梶原靖夫 (BARKS編集長)
撮影◎河井彩美