【ライヴレポート】michi.、<カウントゼロ>でバンドスタイル始動「まだまだ俺たちと高く翔べるかい?」

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michi.が8月5日、東京・赤羽ReNY alphaにてソロ始動後初のバンドスタイルワンマンライヴ<カウントゼロ>を開催した。先ごろ公開した速報レポートに続いて、詳細レポートをお届けしたい。

◆michi. 画像

ALICE IN MENSWEARとしてKOJI亡き後も活動していたmichi.が、初めてソロ名義でステージに立ったのは2023年1月のこと。東京・羽田TIAT SKY HALLで<Caramel Vox REBOOT>と題して有観客&配信アコースティックライヴを行ったのは記憶に新しい。MASCHERA、S.Q.F、ALICE IN MENSWEARのセルフカバーを中心に、La'cryma Christiのカバーも披露されたライヴは、michi.がS.Q.F時代から主宰してきたアコースティックイベント<Caramel Vox>をソロ名義で見せる試み。そこにはKOJI(G)とALICE IN MENSWEARを結成するきっかけになったイベント(当時はサポートギタリストとして参加)だったという特別な想いもあったに違いない。

<Caramel Vox REBOOT>当日のアンコールでは、赤羽ReNY alphaでバンドスタイルでのワンマンを開催することが発表され、「一歩一歩形にしながら、自分のペースで無理なく、みんなに心配かけることなく、地に足をつけて歩いていくので、どうぞ安心してついてきてください」というメッセージがmichi.から送られた。


そこから約7ヵ月、michi.は約束通り、バンド形式でステージに立った。サポートを務めたのはALICE IN MENSWEARのサポートで知られる古谷圭介 (B)と竹村忠臣 (Dr)、S.Q.Fのサポートを務めていた菅大助(G)。また、ALICE IN MENSWEARの楽曲演奏時には、KOJIによるツインギター自動演奏システム(KOJI自身が生前、ライヴ用に新録したギターサウンドとプログラミング)が活かされ、michi.の揺るぎない相棒への想いが感じられた。

ライヴは同期と生のバンドサウンドが刺激的に融合する16ビートチューン「iNTERFACE」(MASCHERA)で幕を開けた。この時を待っていたファンからの拍手と歓声。センターに立って歌うmichi.の堂々たる佇まいには、ここからスタートを切るヴォーカリストの覚悟のようなものが感じられた。巨大なLEDパネルを効果的に使った照明からステージが赤く染まり、投下されたのは同じくMASCHERAのナンバー「Reality for Realism」。生のバンドならではのスリリングなイントロダクションが熱気を加速させ、michi.のアグレッシヴなパフォーマンスにフロアから拳が突き上げられる。



低域からファルセットまで自由自在に声を使い分けるヴォーカルに魅了された「TRANSITION」(ALICE IN MENSWEAR)では、サビでmichi.が手を挙げてジャンプするとフロアも呼応するように解放のベクトルへと。“立ち止まってなんてないで 誘われるままに追え”と歌うmichi.から笑顔がこぼれる。ジャジーなシャッフルナンバー「cafe Moon&Rouge」(S.Q.F)では手を叩きながら歌詞に合わせてお酒を飲み干す仕草をしたり、パフォーマンスでも魅了し、菅が曲にピッタリのレトロなギターソロを響かせた。

「フルバンドとしては、初めまして。michi.です。めちゃくちゃ暑い中、集まってくれて本当にどうもありがとう。この地下を自然の暑さを吹き飛ばすほどの熱量でね。俺たちの熱とオマエたちの熱で大いにあたためていきたいと思いますので、どうぞよろしく。今日はたっぷりと、俺が今まで歴史を刻んできたグループのさまざまな名曲をピックアップしていきたいので、思い出に浸りながら、新しい幕開けを感じながら一緒に楽しみましょう」──michi.


エフェクティヴなヴォーカルからサビに向かってメロディが開けていく展開が心地いい「iDOL」(S.Q.F)からの中盤戦はひとことで言うと没入感のあるアクト。甘く幻想的な世界の中に誘った「誘惑」(S.Q.F)。そして、オープニングとエンディングにミラーボールの光が注いだドラマティックなバラード「女神」から“旅”をイメージさせる壮大なサウンドとmichi.の魂を込めたヴォーカルが溶け合っていく「遥カナ航跡」に移行するALICE IN MENSWEARのナンバーは、KOJIのツインギター自動演奏システムも相まってフロアを釘付けにした。

光と音のコラボレーションが美しいインターバルを挟んで届けられたのは、MASCHERAの代表曲のひとつ「ゆらり」だ。michi.の言葉通り、まさに名曲揃いのセットリスト。儚いラブソングに大きな拍手が送られ、「さあ、ヨゴれていこうか!?」と煽ってドラムのカウントに合わせて手を高く掲げ、イントロでシャウトした「Alice」(MASCHERA)へ。同曲ではステージの際で身を乗り出して歌い、ベースソロからギターソロへとバトンが渡される間奏もライヴ感たっぷり。陰と陽がクロスするような世界観で再び場内の熱量を上げていく。振りを混えてステップを踏みながら歌うダンスナンバー「ROUND&ROUND」(S.Q.F)ではファンが手を振り、場内の空気をカラフルに彩る。いったい、いくつの顔を持っているのだろうかと思わせるステージ運びだ。



古谷が奏でるベースのフレーズをバックにmichi.が「こんなに暑い日なのに、みんなとこうやって楽しんでる時間は、なぜとても気持ちいいんでしょう。つい最近、声出し解禁になって、みんなの声も届く距離でライヴができるようになりました」と伝え、恒例のセクシーなコール&レスポンスへ。michi.の「ア、ア、アアン、ア、アーン」にファンが同じように応え、「キミたちの絶頂を聞きたい」とさらに煽るものの、イヤモニをしていたことに気づいて謝る天然な場面も。<カウントゼロ>にちなんで、みんなで「5、4、3、2、1、Go!」と叫ぶヴァージョンも飛び出し、そのまま「GRAPPLER」(ALICE IN MENSWEAR)へと突入した。キャッチーなギターリフと身体を揺らさずにはいられないビートがクセになる官能的なロックナンバーにフロアもどんどん解き放たれていき、michi.も下手上手とエネルギッシュに動きまわりながらテンションを上げていく。

その熱量のまま、タオルを振り回す「Cloud Cuckoo Land」(S.Q.F)に突入した後半戦は、メンバーとファンが放つエナジーの相乗効果。タイトなドラムとベースのスラップ、ファンキーなカッティングが絡む演奏の中、歌うmichi.からも笑顔が溢れ、至福の空間が広がった。疾走感たっぷりのポップチューン「恋がメルヘン」(S.Q.F)ではシンガロング。「オマエたちの頭上に青空が見えてきた。まだ、もうちょっと高く翔べるか? 俺たちと翔べるか?」と煽り、本編ラストを「アビエイターズ -飛行少年A to Z-」(ALICE IN MENSWEAR)で爽快に締めくくった。


熱が冷めやらないフロアに拍手とアンコールが鳴り響き、届けられたのは透明感のあるサウンドと普遍的なメロディと歌詞が胸を打つ「太陽」(S.Q.F)だ。本編では短いMCしかしなかったmichi.が現在の想いを伝えた。

「<カウントゼロ>の名にふさわしいファーストライヴ。1月の羽田が本当のファーストにはなるんですが、キミたちが本当に見たかったスタイルこそ、この形だと思います。その気持ちを汲みとらせていただいて、今日のステージを<カウントゼロ>とさせていただきました。本当にどうもありがとう。ゼロから始まり、また一歩一歩。次は前を向いてカウント10をゆっくり急がずに時間をかけて数えていく人生にしたいなと思っています」──michi.

フロアからの盛大な拍手の中、「最前列の人は気づいたかもしれませんけれど、今日はKOJIも連れてきています。残してくれた音を大事にしたい」と話し、KOJIという存在がいたからこそ、過去の楽曲をセルフカバーしていく気持ちになったことについても触れた。


「ソロ名義になった時や、違うバンドの屋号になった時に、過去の曲を封印するケースが多い中、実は俺もそういうマインドだったんです。でも、俺を応援してくれている人たちにとっては、そんなのはどうでもいいこと。聴きたい曲はいつだって聴きたいし、守りたいものは守りたい。すごくちっぽけなプライドだったことにKOJIが気づかせてくれた。これから俺は、今まで一緒にやってきた仲間たちが描いてきた作品を風化させることなく、KOJIの曲もMASCHERA時代の曲もS.Q.F時代の曲もずっと大切にmichi.というプロジェクトで歌い続けていきます。そしてまた、新しい世界もいろいろと切り開いていきたいのでよろしくお願いします。最後は一緒にエクササイズして、この暑い夏をぶっ飛ばしていきたいと思います」──michi.

今の想いを伝えて届けられたのは、ALICE IN MENSWEARのライヴでは欠かせなかった「Pre-TEA PARTY」。セクシーでフィジカルなナンバーは、michi.の言葉通り、エクササイズ効果あり。歌い終わったmichi.は清々しいほどの笑顔を見せた。「再びオマエたちの上に青い空が見えてます。ラスト! まだまだ俺たちと高く翔べるかい?」と、希望が降り注ぐナンバー「to fly high」(MASCHERA)を演奏し、エンディングはドラムに合わせ高揚感を隠しきれないアクト。全身で嬉しさを表現していた。



メンバーがステージを去り、「みんなのおかげで最高のスタートが切れました」と伝えたmichi.は2023年12月2日に赤羽ReNY alphaでワンマンライヴを開催することを発表。場内にいるファンや配信を見ているファンに感謝の想いを届け、しばし沈黙の後、「ありがとうしか出てこない。本当にごめん。気の利いた言葉が出てこない」と照れくさそうな笑顔を見せた。「最高の歴史をこれからもみんなと刻んでいきたい」と宣言したmichi.。悲しみや葛藤を味わい、そんな季節の中でも音楽やファンの存在に向き合ってきたからこそ今がある。次なるカウントを刻むことになる12月のライヴではまた新しいmichi.に出会えるはずだ。

取材・文◎山本弘子
撮影◎河井彩美

■<michi.ソロ始動後初のバンドスタイルワンマンLIVE「カウントゼロ」>2023年8月5日(土)@東京・赤羽ReNY alpha セットリスト

01. iNTERFACE (MASCHERA)
02. Reality for Realism (MASCHERA)
03. TRANSITION (ALICE IN MENSWEAR)
04. cafe Moon & Rouge (S.Q.F)
05. iDOL (S.Q.F)
06. 誘惑 (S.Q.F)
07. 女神 (ALICE IN MENSWEAR)
08. 遥カナ航跡 (ALICE IN MENSWEAR)
09. ゆらり (MASCHERA)
10. Alice (MASCHERA)
11. ROUND & ROUND (S.Q.F)
12. GRAPPLER (ALICE IN MENSWEAR)
13. Cloud Cuckoo Land (S.Q.F)
14. 恋がメルヘン (S.Q.F)
15. アビエイターズ -飛行少年A to Z- (ALICE IN MENSWEAR)
encore
16. 太陽 (S.Q.F)
17. Pre-TEA PARTY (ALICE IN MENSWEAR)
18. to fly high (MASCHERA)

■<michi.ソロ始動後初のバンドスタイルワンマンLIVE「カウントゼロ」>配信情報

2023年8月5日(土) 東京・赤羽ReNY alpha
会場:open16:15 / start17:00
配信:start16:50
アーカイブ視聴期間:チケットによって異なります
▼出演
michi.
サポート:菅大助(G)、古谷圭介(B)、竹村忠臣(Dr)
【配信チケット】
販売期間:6月10日(土)10:00~9月4日(月)22:00 ※B-①を除く
https://unitedproducts.zaiko.io/item/356977
B-①:ライブ配信チケット+3日間 (8/8(火)23:59まで)のアーカイブ視聴 ¥5,000(税込)+ZAIKO手数料
B-②:ライブ配信チケット+30日間 (9/4(月)23:59まで)のアーカイブ視聴 ¥6,500(税込)+ZAIKO手数料
B-③:ライブ配信チケット+DVD盤 ¥9,000(税込)+ZAIKO手数料
B-④:ライブ配信チケット+DVD盤+CD ¥12,000(税込)+ZAIKO手数料
B-⑤:ライブ配信チケット+Blu-ray盤 ¥10,500(税込)+ZAIKO手数料
B-⑥:ライブ配信チケット+Blu-ray盤+CD ¥13,500(税込)+ZAIKO手数料
B-⑦:ライブ配信チケット+アーカイブデータ+DVD盤+CD ¥16,000(税込)+ZAIKO手数料
B-⑧:ライブ配信チケット+アーカイブデータ+Blu-ray盤+CD ¥17,500(税込)+ZAIKO手数料
(問)https://michi-solo.com/contact


■<michi. ワンマンLIVE>

2023年12月2日(土) 東京・赤羽ReNY alpha
形式:有観客&配信
※詳細は後日発表

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