【インタビュー】「【XFLAG公式】リミックスコンテスト vol.2」デモ音源の制作ポイントとアドバイス
現在開催中の「【XFLAG公式】リミックスコンテスト vol.2」から、新たなデモ作品3曲が公開された。
4月12日(金)を皮切りに、4月19日(金)、4月26日(金)と3週連続で公開されたこれら3曲のデモ楽曲は、「【XFLAG公式】リミックスコンテスト vol.2」の主催側である株式会社ミクシィ XFLAGサウンドチームより、選抜された3名のクリエイターによって制作されたものである。
「【XFLAG公式】リミックスコンテスト vol.2」は、「超絶 咎 ボスBGM XFLAG SYMPHONY 2018 ver.」というボーカル音源を用いることが唯一のルールとなっているが、普段から『モンスターストライク』(以下、モンスト)の音楽に携わっているスタッフが手がけると、どのような作品が生まれるのか?それぞれの楽曲制作の背景と込められた想いを語ってもらった。
──皆さんはミクシィにてどのような仕事をしている方々ですか?
戸田章世:私は『モンスト』のサウンドチームに所属し、主に『モンスト』のゲーム内BGM・SEやPVなどの制作のクリエイト業務と、進行周りのディレクションを担当していています。
KASAJIMA SHI:僕と佐藤はXFLAGのサウンドチームに所属していて、『モンスト』だけでなく、XFLAGのスポーツ事業まわり、例えばFC東京とか千葉ジェッツのイベントのBGM等も作ったりしつつ、チームのクリエイト業務のディレクションなどをやっています。音を通じていかにお客さんを“アドレナリン全開”にさせるかを考える仕事ですね。
佐藤良輔:直近だと、「XFLAG STORE + HANEDA」がオープンした際に設置されたマルチガチャのBGMや制作・ディレクション業務をやらせていただきました。
──モンストチームとXFLAGチームからの参戦、ということですね。
▲KASAJIMA SHI
KASAJIMA SHI:『モンスト』の音楽周りは基本は戸田さんの方のチームでやっているんですけど、お互い何かお願いしたい案件があったら、一緒に組み上げていくこともあります。連携を取りつつ風通しよくやっている状況です。
戸田章世:KASAJIMA SHIとはデスクも近いので、この間もちょっと「ベース弾いてよ」ってお願いしたりしましたね。
──リミックスコンテストのお手本楽曲の制作はいかがでしたか?
KASAJIMA SHI:今回、僕と佐藤くんはそれぞれコライトで作ったんだよね。
佐藤良輔:はい、コライトに挑戦しました。僕の相方を務めてくれたFiftee Westさんとは電話のみのやりとりで完成させました。僕が原曲のMIDIを製作し、それに対しラフをもらいブラッシュアップしていくという方式です。Fiftee Westさんの得意なジャンルであるフューチャーベースを軸として出しつつ、「咎」という曲を崩しすぎず、うまいこと落とし込めるように意識して制作してみたつもりです。
──今のトレンドにあったトラックですが、お題のボーカル素材の存在がわからないくらいに加工されていますね。
▲佐藤良輔
佐藤良輔:そこはひとつの狙いでもあって、ボーカルチョップという手法ですが「こういう曲もありですよ」ということを示したかったんです。今回一緒に楽曲制作したFiftee Westさんから上がってきた成果物には、自分にはないアイディアがあったり、普段自分では思いつかないような新しい気づきを得ることができるといった面で非常に勉強になりました。ジャンル的にも元々違った音楽を作るふたりだったので、互いに触発されて新しいアイデアが生まれた点がコライトの醍醐味なのではないかと思います。
KASAJIMA SHI:僕の相方もPharienくんという今回初めて紹介された方で、実際にお会いしたことはないところからのスタートだったので、まず最初に彼の活動やアップしていた曲などを聞いて、彼の音楽のジャンル・方向性を知ったうえで、最初の電話をしました。雑談などのコミュニケーションも重ねお互いの癖などもわかったうえで、「それぞれの好きな曲をがっちゃんこできたら面白いかもね」ってなって。それを踏まえ僕から1週間で3パターン作って彼に投げまして、彼に肉付け・ブラッシュアップしてもらい、ひとつの作品が完成していくっていう流れでした。
──制作におけるポイントはどういう点ですか?
KASAJIMA SHI:課題曲を壊したいけど「咎」という曲が持つイメージは守りたい。そしてPharienくんの色と自分の色を上手く混ぜられたら…という点です。曲の長さに関しては最終的にPharienくんにお任せしました。彼自身がDJでリアルで回してる人間なんで、そこでのノリだったり人間が気持ちよくなるツボをすごいわかっていると思ったので。是非ヘッドホンをして、お酒とか飲みながらちょっとメロウな状態で爆音で聞いてほしいです。そういった「咎」の背徳感を感じていただければと思います。
──戸田さんの作品は?
▲戸田章世
戸田章世:雰囲気としてはシネマティックなアレンジにしようと思って制作しました。お題の素材「超絶 咎 ボスBGM XFLAG SYMPHONY 2018 ver.」は長さも短く起承転結があるわけでもないので、そこをうまくコラージュしたり切ったり貼ったりすることでストーリーを作っていけたらいいなと思いました。リミックスコンテストに応募する人が聴いた時、「あ、これありか」「これやりたいかも」と感じるほうが楽しいと思いまして、自分の得意で好きなところをやっていこうと思ったんです。みなさんも「やりたいことリスト」みたいなものを作って、全部盛り込んでみたら楽しいんじゃないかと思います。
──まさしくリミックスコンテストという名の「音の遊び場」ですね。
戸田章世:今回はDAWを開く前に「やりたいことリスト」を作ってみたんです。何をやりたいかを書き出してみると、結構ヒントになることがあるんです。仕事ではそんなことはやらないんですけどね(笑)。
──「【XFLAG公式】リミックスコンテスト vol.2」の応募者にアドバイスを頂けますか?
KASAJIMA SHI:テクニックとかジャンルにかかわらず、まず「自分が1番で優勝しちゃうんじゃないか」って思えるものを送って欲しいです。むしろそれ以外は送るなって言ったら乱暴ですけど、例え親友に聴かせて否定されたとしても、自分自身が認められる曲・自分がかっこいいと思える曲を出してほしいです。今はいいプラグインがたくさんあるし、いい教材もある。誰でもいい音が作れる時代だからこそ、たとえ粗削りでも自分が本当に出したいものを出してほしいです。そういうところに人の心に響くものがあるんじゃないかと思います。
佐藤良輔:僕はこの記事を見た人に応募して欲しいです。要は行動して欲しいってことで、この記事を見るってことは多少なりとも音楽に興味があり、リミックスコンテストに興味を持っている人だと思うんです。経験の有無はもちろんありますし、技術に自信がなかったり面倒くさかったりすることもあるかと思いますが、そこで諦めずに自分ができることを全力で楽曲に乗せて応募してきて欲しいです。とにかく行動しないと何も始まらないんで、この記事を見たらすぐ!くらいの勢いで応募してみてください。
戸田章世:ありがちなのが「とりあえず素材をダウンロードしてDAWに貼って始めたけどうまくいかないなー、締め切り明日だからいっかー」ってなっちゃうパターン。DAWの色々な機能で悩むよりも、やりたいことを置いていく感覚でチャレンジして頂けたらいいかなと思います。私が普段の制作で気を遣っているのは「0を1にするために作っている」という意識を持つこと。DAWでプラグインをいじるために作っているのではないんです。クリエイティブであるためには、例えばDAWの前にいなくてもいいんです。MP3に吐き出して外を散歩しながら楽曲を聴いてみるとか、そういう時間ってすごく大切だと思います。色々な体験をしていろんな環境で音楽を聴くことで、自分がやりたいことっていうのを純化していってもらえたらいいなと思います。100%純度にしてもらうとすごく楽しく参加できるんじゃないかなと思いますよ。
取材・文:和田 仁倫
編集:BARKS編集部
「【XFLAG公式】リミックスコンテスト vol.2」
応募期間:2019年3月25日12:00~5月13日11:59
選考期間:2019年5月13日12:00~6月25日11:59
受賞作品発表:2019年6月25日12:00
XFLAG SOUND CREATORS YouTube Channelにて発表予定
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