【インタビュー】逹瑯&ミヤ [MUCC]、「世に出るタイミングをずっと待っていた曲がある」
MUCCが2月13日、コンセプトアルバム『壊れたピアノとリビングデッド』リリースする。『T.R.E.N.D.Y. -Paradise from 1997-』以来、3年8ヵ月ぶりにリリースされるコンセプトアルバムに収録された全9曲には、未発表デモを掘り起こして蘇らせた“ウォーキングデッド”ならぬ“リビングデッド”な楽曲も。そして、そのサウンドコンセプトは“ホラー”に貫かれた。
◆逹瑯&ミヤ [MUCC] 画像
あらゆるジャンルを飛び交い、ピアノやストリングスがフィーチャーされるなど、これまでにない側面をみせながらも、コンセプトアルバムに浮かび上げられたのはMUCCの核であり、自然体な彼らの音楽性だった。そして、Zeppツアーとホールツアーという2wayが用意されているライヴもコンセプチュアルなものになることは間違いない。BARKSではアルバム&ライヴ『壊れたピアノとリビングデッド』を特集する。その第一弾は逹瑯とミヤのインタビューから。
◆ ◆ ◆
■まず140〜150曲を聴くって
■ホントに辛いんですよ (苦笑)
──新作『壊れたピアノとリビングデッド』は、過去のデモを掘り起こして、そこから選曲したものをレコーディングしたそうですが?
ミヤ:半分がそうですね。
逹瑯:全曲が過去のデモから、ということじゃないんです。
──ひとつのアルバムに向かうとき、ソングライターとして2人とも多作なんですか?
ミヤ:うちの場合、“全員、曲出しのときに何曲”って決めて出すんで。その中から1曲採用するとしたら、一人1曲ずつだったら3曲が余るじゃないですか。それをずっと繰り返した分だけボツ曲はあって。実際、何百曲とあるから、“その中に何曲かいいのがあるんじゃないの?”って感じで、最初は始まって。今のツアーが終わるまではアルバムを出すつもりはなかったんですよ。そうなると1年後とか、もっと先になるじゃないですか。さすがに“何か出してくんない?”っていう事務所との話もありながら、過去のものを掘り起こすのはどうかなってアイデアから始まった作品ではあります。
▲逹瑯 (Vo) |
ミヤ:200はないんですけど、140〜150くらいはありました。1コーラスだけのやつも含めてですよ。ほとんど使えないような曲しかなかったけど、何曲か使えるものもあったんです。全部を聴いて20曲ぐらい候補を挙げて、そこから選んで。ほんとに昔のデモから掘り起こしたのは2曲で、あとの2曲は最近のライヴでやっていたアルバムに入らなかったやつで、他は新曲って感じです。
──MUCCの場合、アルバムのたびに方向性も変化してきたバンドですよね。今の視点から過去の曲を聴いたとき、バンド自体を客観的に捉えることもできたと思います。どう感じました?
ミヤ:全てのデモを聴いていて思ったのは、そのときどきで自分がやりたいことは分かったんです。ただ、他のメンバーのやりたいことが分かる曲もあるにはあるんですけど、分からないのがほとんどで。だからボツになったんだと思うんですよ。
逹瑯:“このとき、こういうのをやりたかったんだろうな”と思いながらも、“ちゃんとできてないな”ってのもいっぱいあったし。あと、“このメロディが好きだな”とかね。でも、そこにどう行きたいのか見えていないのもたくさんあったり。“そういえば、こんな曲もあったな”とか、単純に聴いてておもしろかったですね。
──記憶から消し去っていた曲もいろいろ?
逹瑯:いや、完全に消えてる曲もいっぱい(笑)。“これは誰が作ったんだっけ?”と思うようなデモもあったし。
──“次の音源ではこういう音を追求しよう”とか、アルバムのたびに話し合うバンドではないんですか?
ミヤ:ないです。話し合わずとも、トレンドもちゃんと採り入れられて当然というか。別に流行りものを常にやると言ってるわけじゃなくて、“こういうことをやるんだったら、こんなスパイスもあったほうがカッコいいよね、クールだよね”って。そういう勘がいいメンバーもいれば、悪いメンバーもいて。そこはメンバーによって差があるから、実は聴くのは辛かったですね。まず140〜150曲を聴くってホントに辛いんですよ(苦笑)。“こんなクソみたいなのを、なんで聴き続けなくちゃならないんだろう”ぐらいに。たまに、ましなのがあると“ああ良かったと”(笑)。
▲コンセプトアルバム『壊れたピアノとリビングデッド』 |
逹瑯:擦り寄せたというより、“このへんはどうだろう?”っていう意見がバーッと。最終選考まで残っていたのは5〜6曲だった気がする。それで最終的に、過去のデモから掘り起こしたのは2曲だけになって。
ミヤ:「ヴァンパイア」と「カウントダウン」が過去のデモから。
逹瑯:その2曲はほとんど完成に近い形で出来てましたね。
ミヤ:「In the shadows」と「積想」は、世に出ていないわりと最近の曲で。
逹瑯:アウトテイクですね。
ミヤ:「In the shadows」は前シングルのときに録っていたけど、収録しなかったんです。
──それらの曲は、なぜ当時、世に出さなかったんですか?
逹瑯:「カウントダウン」はもともとアニメのタイアップ取ろうかって作った曲で。その後も何かのタイミングにつけ、あの曲はどうだろうって話になっていたんですよ。特にYUKKEが「キャッチーで、この曲は好き」ってよく言ってて。そのたびに、いいところまでいって入らず、またいいところまでいったけど入らず、というのを繰り返し。今回、一番最後に入るのが決まったんじゃねえかな、たぶん。収録曲が全部揃ってきた段階で、“こういうタイプの曲もあったほうがいいんじゃねえの”って。
──決まった瞬間、YUKKEは泣いてた?
逹瑯:いや、泣いてはいなかったけど(笑)。
ミヤ:でも、YUKKEがずっと好きな曲だったんだとは思う。
逹瑯:キャッチーで覚えやすくて、ずっと印象に残っている曲ではあったんですよ。力がある曲だなって。
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