カルメン・マキ&OZ、41年ぶり単独公演が実現「ようやく再結成できました」
カルメン・マキ&OZが10月7日(日)、神奈川・クラブチッタの30周年記念イベント<CLUB CITTA’30th Anniversary ~Flying KITTY Party 2018~>の最終日に登場した。1977年10月18日、東京・新宿厚生年金会館での解散コンサート以来、およそ41年ぶりの再結成単独公演だ。
◆カルメン・マキ&OZ 画像
クラブチッタ創設時に音楽事務所のキティグループがプロデュースした縁もあり、連日、キティゆかりのアーティストらが豪華なステージを繰り広げた<Flying KITTY Party 2018>。カルメン・マキ&OZは、41年というブランクをまったく感じさせない圧倒的なパフォーマンスで4日間にわたる記念イベントを締めくくった。以下、当日のオフィシャルレポートをお届けする。
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これまでもカルメン・マキのライブにOZのメンバーが参加したことはあったが、カルメン・マキ&OZの再結成単独公演は1977年の解散以来。そんな歴史的瞬間を見ようと、会場のクラブチッタにはオープン前から往年のファンが大挙して集結した。溢れる場内はグッズ売り場にも長い列ができるほどの大混乱で、いかに彼らの再結成が待ち望まれていたかが窺える。
17時8分、客電が落ち、アルバム『閉ざされた町』のオープニング・イントロダクションが流れる中、メンバーがゆっくりとステージに着く。スタンドマイクにカルメン・マキが降臨するや、すべての楽器が火を噴いた。なんという音量! なんという歌唱力! ただただ圧倒される。セカンドアルバム収録の「崩壊の前日」でステージの幕を開け、「六月の詩」「Love Songを唄う前に」と、カルメン・マキの圧倒的な声量でひたすら客席を凌駕していく。
「次はカバーをやります! ロックを演り始めた頃から歌っている曲で、今日はこのメンバーとやります」と歌ったのは「UNDERSTAND」。マキが竹田和夫率いるブルース・クリエイションと共に1971年に発表したアルバムに収められた楽曲で、この選曲にオールドファンは湧く。続いては、本公演のために春日博文(G)が作ったインストゥルメンタルナンバー「タンジェ」。モロッコに実在する港町から取られたタイトルの通り、東洋のエキゾチックなムードを醸し出す一曲だ。そこからの流れのまま突入した名曲「閉ざされた町」では、イントロが聴こえた瞬間、客席から待ってました!とばかりに怒涛の歓声が上がった。
25分のインターミッションを経て緞帳が上がると、そこにはステージ前方、横一線に座るメンバーの姿が。カルメン・マキ&OZのライブでは珍しい、アコースティックセットで第2部が始まった。この編成で歌ったのは、ファーストアルバムに収められた「きのう酒場で見た女」。ラグタイム風の楽曲で、どこかルーズな雰囲気で歌われるボーカルが心地よい。春日のウクレレ、厚見玲衣のキーボードと共に歌った「街角」に続いて、武田“チャッピー”治(Dr)と川上シゲ(B)、リズム隊2人のコーナーでは、シゲのギターでチャッピーのボーカルが披露された。
ここでメンバー5人が定位置に戻ると、バンド編成で歌われたのは、返還直後の沖縄の風景を綴った「B.C.STREET」だ。ブルージーなロックナンバーをラフに歌う。ここまでが肩慣らしとすると、ここからはいよいよカルメン・マキ&OZの真骨頂。デビューシングル「午前1時のスケッチ」では、破壊力満点のハードロック・サウンドで会場を覚醒させる。続くMCでは「平均年齢65歳……」と呟いて客席の笑いを誘いながら、41年ぶりとなった再結成の経緯も語られた。約半年前からクラブチッタのスタッフと個々のメンバーとの間で話し合いが重ねられ、途中、何度か頓挫しかけながらも、今回の実現に至ったのだという。
「今まで何回もお話はあったんですが、ようやく41年ぶりに再結成できました。やっぱり、ここは家族みたいなものなんです」と語ったマキが、再結成が実現したことに「まぁ生きてて良かったです(笑)」と締めると、かつてのコンサートでも滅多にやらなかったという「Image Song」へと続く。そして「最後の曲です!」と、ロック史上に燦然と輝く名曲「私は風」へ。70年代そのものの音を出す春日のギター、炸裂する厚見のキーボード、チャッピーとシゲの地を這うように唸るリズム隊に、マキの天井知らずのハイトーンとソウルフルなボーカル。5つの音が幾重にも幾重にも被さっていく。メロディや曲調、テンポが一曲の中で目まぐるしく変わり、「私は風」という曲が意識を持って自生しているようだ。一本の映画のサウンドトラックを丸ごと聴かされているような大抒情詩。正真正銘の本物のロックバンドを前に、会場の熱気も最高潮に達する。オーディエンスも茫然自失のまま、ステージの緞帳が下がり本編が終了した。
興奮冷めやらぬ客席からアンコールを求める声援が続く中、下げられたままの緞帳の奥からサードアルバム収録の「昔」の演奏が始まり、1コーラスが終わるとゆっくりと幕が上がる。圧巻は、20分超にも及んだエンディング・ループ。トランス状態に導かれた会場内で、オーディエンス誰もがそのまま続いていくのを望んでいたであろう長い長いエンディングを経て、マキが両腕をゆっくりと上げたのを機に、3時間弱のカルメン・マキ&OZ復活のステージは終了した。41年のブランクを全く感じさせない、最前線を突っ走る現役バンドと言うことを改めて認識させられた見事なパフォーマンスであった。
撮影◎畔柳ユキ
<CLUB CITTA’30th Anniversary ~Flying KITTY Party 2018~>DAY4/カルメン・マキ&OZ 〜”ROCK LEGEND” RETURNS〜 セットリスト
第1部:
01.崩壊の前日
02.六月の詩
03.Love Songを唄う前に
04.UNDERSTAND~タンジェ
05.閉ざされた町
第2部:
06.きのう酒場で見た女
07.街角
08.武田“チャッピー”治+川上シゲ・コーナー
09.B.C.STREET
10.午前1時のスケッチ
11.Image Song
12.私は風
ENCORE:
13.昔
MEMBERS:
カルメン・マキ(Vo) / 春日博文(G) / 川上シゲ(B) / 武田“チャッピー”治(Dr) / 厚見玲衣(Key)
■<CLUB CITTA’30th Anniversary ~Flying KITTY Party 2018~>公演概要
<DAY1/小椋佳 勝手の会"青春の足跡”>
日時:10月4日(木)
出演:小椋佳 / ゲスト:堀内孝雄
<DAY2/高中正義 SUPER KITTY LIVE>
日時:10月5日(金)
出演:高中正義 / Featuring Vocalist:久保田利伸 / Special Guest:来生たかお / Supervisor:星勝
<DAY3/SATURDAY NIGHT ROCK SHOW>
日時:10月6日(土)
出演:
▼THE RHAPSODY ONLY CLUB CITTA’BAND
Vo,G:仲井戸麗市 / B:岡本定義(COIL) / Dr:あらきゆうこ / Vo,Key:さかいゆう / Sax:片山広明
Featuring:竹中直人 / ワタナベイビー / MAGUMI(La-ppisch) / 森高千里 / 山崎まさよし / 元ちとせ / 杏子 / 佐藤タイジ
▼BBD BARBE de BAND
Vo:杏子(ex.BARBEE BOYS)/ Vo,S Sax:KONTA(ex.BARBEE BOYS)
B:tatsu (La-ppisch) / Dr:坂本暁良 / G:田中義人 / G:藤本一樹
<DAY4/カルメン・マキ&OZ 〜”ROCK LEGEND” RETURNS〜>
日時:10月7日(日)
出演:カルメン・マキ(Vo) / 春日博文(G) / 川上シゲ(B) / 武田“チャッピー”治(Dr) / 厚見玲衣(Key)
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