【インタビュー:SWAY】音楽に背中を押された少年が叶えた“夢”
「Def Jam Recordingsからアルバムをリリースすること」がどれほどの夢か、ヒップホップにさほど詳しくない人でも、その重みは感じ取ってもらえるだろう。夢を叶えた男の名は、SWAY。DOBERMAN INFINITY、HONEST BOYZのメンバーとしても活躍する彼が、ソロ・ラッパーとして完成させたファースト・アルバム『UNCHAINED』は、Def Jamの名にふさわしい、ヒップホップのルーツと最新のサウンドをミックスしたエクセレントな出来栄えだ。デビューシングルであり、US TOP40にランクインしてもまったく違和感のないレゲトン・チューン「MANZANA」を筆頭に、多彩なプロデューサーと、AK-69やEXILE SHOKICHIら豪華ゲストと共に作り上げた渾身の1枚。ソロ・アーティスト、SWAYの新たな旅がここから始まる。
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■自分が表現できるすべてが、自分にとってはラップなのかな?と
──16歳でマイクを握った少年が、十数年後にDef Jamからファースト・アルバムを出すという夢を叶えました。
SWAY:タイムマシンがあれば、教えてあげたい気もしますけど、教えたら頑張らなくなりそうで(笑)。でも続けてきてよかったと思いますね。自分はあんまり、ラップのセンスがあるとは思ってなかったんで。
──おや。そうですか。
SWAY:かっこいいと思う人間が多かったんで。AK-69 さんもそうですし、ZEEBRAさんとか、一生勝てないと思ってますし。AKLOくんが出てきた時も、最強じゃんと思ったし。そんな人がたくさんいる中、自分との戦いが常にある中で…でも自分がDef Jamでやらせてもらう意味は絶対にあると思ったし、ドーベルの活動にしろ、LDHという場所にしろ、役者の活動にしろ、いろいろ言われるとは思うんですけど、今の自分が持ってるメジャー感というものを、ストリートのラッパーとは離れた場所にいる自分だからこそ、伝えられるヒップホップもあると思うんで。
──そう思います。
SWAY:昔からつながってきた人間のコネクションや、聴いてきた音楽や、憧れや理想は、ストリートでやってる人たちと変わらないと思うんですね。自分が今いるポジションをしっかり理解して、発信できることが一番いいんだということが、このアルバムを作れた活力だと思うんで。自分は、総合点で戦ってる気がしますね。自分よりラップスキルが高い人、いいリリックを書く人はたくさんいると思うんで、そこは今回SALUくんやAKさんに、自分のフィルターを通して表現してもらってるというのは、自分だからこそできることかなと思いますね。
SWAY:まずはそういうことを考えずに、曲をたくさん作ったんですね。それで並べてみて、「クラブでかけれそうな曲が少ないな」とか、「“いい曲”がありすぎる」とか思って、「もっとベースの効いた曲がほしい」とか、「ラップの割合が多い曲を作ろう」とか、それでまた集めに行く感じでしたね。常に途中経過を見ながら、足りないものを作りに行く感じでした。
──結果的に、どういうアルバムになったと?
SWAY:結果的に、メロディが多くなったとは思うんですけど。でも自分はラップしててもメロディを歌ってても、やってることはあんまり変わってないと思っていて、特に最近のヒップホップって、ラッパーなのかシンガーなのか?っていうアーティストが多いと思うんですよ。それが今のヒップホップの形だと思うし、ラップの定義もその人によって違うんじゃないかな?と思うし。そんなに難しいことを考えず、自分が表現できるすべてが、自分にとってはラップなのかな?と。
──はい。なるほど。
SWAY:ずっとラップをやってきた自分からすると、メロディがついていようが、キーの高いものを歌おうが、ラップに毛が生えたようなものかなと思ってやってます(笑)。そもそも、ヒップホップあがりの人が曲を作ってますからね。NAOtheLAIZAさんだったり、RYUJAくんもそうですし、SUNNY BOYも。
──SUNNY BOYとは古いですよね。確か札幌のアマチュア時代から。
SWAY:そうです。今やヒットメイカーですけど、逆にそういう感覚がなくて、あとあと知ることが多いんですよ。SUNNYの家に行くと、安室奈美恵さんとか、ビッグアーティストのCDがずらっと置いてあって、「え、この曲ってSUNNYがやったの?」とか(笑)。でもそうなっても全然変わらず、スウェット、Tシャツ、スニーカーでスタジオに来るのは昔から変わらない。いつもフランクで、友達という場所から離れない。何でもラフに言い合えるし、一緒にやってて面白いですね。
──SUNNY BOYプロデュースの「Camouflage U」はすごくいい曲。ダブステップっぽいかっこいいビート。
SWAY:これは、本当はまったく違う曲を作るはずだったんですよ。タイトルだけ持っていって、「こういう曲を作りたい」と伝えて、出来上がったら、SUNNYとの曲作りで初めて「これはあんまり、だね」ってなって。SUNNYも納得してなくて、ゼロから作り直したんですね。リフレッシュするために、YouTubeでいろんな楽曲を聴きながら、「どういうのにする?」って言いながら。そしたらあっという間に、30分でできたのがこの曲です。で、たまたま青山テルマがSUNNYの家に行って、SUNNYがこの曲を聴かせたら、テルマも「ヤバイじゃん」ってなったらしくて、サビに歌を乗っけてくれて、次のセッションに行ったら声が乗ってて、「え、何これ?」って(笑)。
──いきなりの急展開(笑)。でもそういうのってすごく面白い。
SWAY:テルマからも「声乗っけたからよろしくね」ってメッセージが来て。聴いてみたら「めっちゃいいじゃん」ということになって、今の構成になったんですね。本当に、遊び感覚で作れたのがいいなと思ってます。
──あと、SALUくんも、大活躍じゃないですか。
SWAY:「MANZANA」の2曲目の「Lullaby」も書いてもらいましたし、今回は「Unchained」と、「Never Say Goodbye」ではフィーチャリングもしてくれたんで、自分の楽曲の中では一番多くやってくれてますね。
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