【インタビュー】Hirofumi [Eins:Vier]、「“最後”という思いでツアーを廻ります」

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■古いとか恥ずかしいなんてことは全然なく
■過去を完全に受け入れていたんだと思います

──1568日ぶりのライブとなった<Eins:Vier One Man Live 2017 "Searching For Me">はBARKSにレポートが掲載されていますが、そのライブ中に、再録ベストアルバム『Self Cover Best 2018 Searching Red Light』発売と全国ツアー<Eins:Vier Tour 2018 "Searching For You">開催が発表されました。つまり、Lunaさんの言うとおり単発ではなくなったわけですが。まず、“再録ベストアルバム”という形は?

Hirofumi:現在進行形のバンドではないし、今後定期的に活動するわけでもないから、そういう中で新曲を作るっていうことがあんまりピンとこなくてね。ただ、“今の自分たちが過去の曲をやったらどうなるんだろう?”っていう思いは、再結成以前からずっとあったんです。だからこその再録ベストアルバムですね。

──『Self Cover Best 2018 Searching Red Light』流通盤とライブ会場・通販限定豪華盤の共通収録曲は、そのほとんどが代表曲と言ってもいいほどの名曲揃いですね。

Hirofumi:選曲に関してオレはあまり口を出さず、LunaとYoshitsuguがそれぞれ曲をセレクトして。結果、再結成後もライヴでプレイしてる曲がメインになりましたね。

──Eins:Vierといえば広がりのある空間的なギターサウンドが特徴でした。その世界観や印象的なフレーズは残しながら、全体的なサウンドの質感は現在にアップデートされてますね。

Hirofumi:そうですね。当時、特にメジャーにいってからはサウンドもアレンジもどんどん作り込むようになって、最終的に自分たちだけではライヴで音源を完全表現できないところまでいきましたから。今は、ライヴで表現できるシンプルな世界観が自分たちにとって一番リアル。再録するにあたってそういう方向にしたいと。サウンド的な変化は、Yoshitsuguが解散以降のキャリアの中で積み上げてきたものが特に大きいと思う。いろいろな音を被せないという部分でよりシンプルになっているから。

──Eins:Vierとしてのレコーディングは、それこそ20年ぶりですが、どんな気持で取り組まれました?

Hirofumi:気負うことなく素直に歌いましたね。音源だからあえて変えてやろうみたいな気持ちは全然なく。今のステージでの歌い方にちょっと味付けしたぐらいで、ライヴ感を大事にしました。再結成してから、昔のような歌い方ができなくなってることに気づいたところもあるんですよ。最初は、無理して頑張って以前のような歌い方をしようとしてたんですけど、喉にも限界があるんですね。良くも悪くも経年変化というか。だから、今回のレコーディングは“昔と今のミックス”じゃないけど、どうしても以前の歌い方になる部分はあえて変えず、自然に任せる感じでしたね。

──ヴォーカルワークについては後ほどライヴパフォーマンスと合わせて話をうかがいたいのですが、再録に際して、歌詞の部分はいかがでしたか。当時の歌詞を今歌うことで“ああ、こんなこと書いてたっけ?”って懐かしく思うことも?

Hirofumi:“Eins:Vierの歌詞は今の自分ではないから恥ずかしい”と思ってた時期もあるんです。でも、今回はみんなで熱く語り合って“やろうぜ”って始まったので、そういう部分で過去の自分たちの作品を完全に受け入れていたんだと思います。だから、古いとか恥ずかしいなんてことは全然なく。まぁ、“面白い歌詞を書いてたな”とか思ったりはしましたけどね(笑)。

──今のHirofumiさんの引き出しにはない歌詞というと、例えばどんな曲でしょう?

Hirofumi:「Nurseey tale」とかかな。こんなメルヘンな物語チックの歌詞は今では絶対浮かばへん(笑)。そういう曲はちらほらありましたね。あと、インディーズの頃は閉鎖的な人間やったんですよ、オレ。人間って根本は変わらへんと思ってたけど、変わるもんやなって。なんか不思議やなって。生きてて良かったなって(笑)。昔の曲を歌うと当時の自分がオーバーラップするんです。

──その当時の閉鎖的なご自身に何か声をかけたくなります?

Hirofumi:そうやね。「いいことあるで」って(笑)。

──おっしゃるとおり、歌うことを続けていればこそですね。YoshitsuguさんとLunaさんのプレイについては、当時からの変化や成長、逆に変わってないなと感じた部分もありますか? 先ほどYoshitsuguさんのギターサウンドに関する話がありましたが。

Hirofumi:もともとそうだったと思うねんけど、単純に“上手くなったなー”って。Yoshitsuguは、現在と当時ではギタースタイルが全然違ってるんですよ。彼が今、Eins:Vierの曲を弾くと“ああ、こういう部分で彼は開花したんやな”っていうことが如実にわかります。当時の空間系を多用するギタープレイも更に追求して取り入れていけば、またいろんな広がりが表現できるんちゃうかなと思ったりね……まぁ人ごとやけど(笑)。

──Lunaさんのベースプレイに関してはいかがですか?

Hirofumi:Lunaも昔、随所にもっとギターフレーズ的なベースラインを用いてたけど、今のベーススタイルは、それとはまた違うんやろうなって。全員に言えることですよね、それは。オレの歌詞みたいに、昔のオレは今のような歌詞は書けないし、その一方で、今のオレが書けない歌詞を昔のオレは書いていたわけで。そういうことに今、チャレンジすることで新たな発見もあるんです。それが、今後の自分にまた反映される部分もあるんかな。忘れてた、いい部分を思い出すじゃないけど。特に今回は自分たちの意志で始めたから、ただ昔の音をなぞるんじゃなくて、噛み締めつつ振り返れるところがありますね。

──そういう思いを持って、3月17日と18日の目黒鹿鳴館から<Eins:Vier Tour 2018 “Searching For You”>がスタートしますね。

Hirofumi:少なくても今回のようなツアーという形は、これが最後になると思うんです。

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