【ライブレポート】清春、異例のクリスマス・イヴ深夜公演を遂行

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去る12月21日、実にトータル66公演にも及ぶ東京・渋谷マウントレーニアホールでのマンスリー・プラグレス公演、<エレジー>のロングランを完走したばかりの清春が、またもや前代未聞の規格外ライヴを遂行してみせた。12月24日、<MIDNIGHT BIRD>と銘打ちながら行なわれたのは、その公演タイトルからもうかがえるように深夜公演。なんと開演時刻は26時30分。つまりクリスマス・イヴからクリスマス当日へと日付が変わってからのスタートということになる。そうした聖夜のいちばん深いひとときを最愛の清春と同じ場所で過ごそうと、会場となった東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEには、公共交通機関の動いていない時間帯であるにもかかわらず、たくさんのファンが詰めかけた。

◆清春 画像

この夜のライヴに関しては、演奏形態そのものについても事前には明かされておらず、なかにはプラグレス公演の延長上にあるものを予想する向きもあったはずだが、ステージの上に設置されていたのはいわゆるバンド・セット。清春の背後を固めたのは、中村佳嗣(G)、大橋英之(G)、三代堅(B)、そしてGO(Dr)という、馴染み深い顔ぶれだった。sadsとしてのライヴがいくつかあったとはいえ、プラグレス公演の空気感に身体が慣れきっていたオーディエンスは、まずはそのエレクトリックでラウドな音像、ビートを伴ったグルーヴ感に新鮮な刺激をおぼえたに違いない。


しかも、1曲目の「赤の永遠」を歌い始めた清春の、最初の第一声のパワー感が尋常ではなかった。スロー・スターターなどと言っては語弊があるだろうが、彼は基本的には時間をかけながら徐々に熱を高め、曲を重ねていくほどに圧倒的な底力を発揮するタイプだといえる。しかしこの夜の彼は、まさしく最高潮からのスタートを切ってみせた。もしかすると、深夜であることとも無関係ではないのかもしれない。ご存知の通り、清春は現在、2月のリリースを目指しながら『夜、カルメンの詩集』と命名されたニュー・アルバム(前出の「赤の永遠」も収録予定だとのこと)のレコーディング作業を進めている。彼がスタジオのブースにこもり、歌と向き合うことが多いのは、まさに朝の近付きつつあるこの時間帯なのだ。当然ながらそれは、彼の歌声を最高に艶のある状態で録るための時間設定ということでもある。それを考えると、もしかすると彼にとってのベスト・ライヴは深夜にこそ成立するということになるのかもしれない。

あからさまなほどの躍動と高揚感を伴ったこの夜のライヴは、一連のプラグレス・ライヴとは正反対のベクトルを持ったものであると同時に、“逆もまた真なり”ということを痛感させるものでもあった。プラグレス・ライヴでは、ビートに支配されることなく歌心の赴くままに繰り広げられる音楽の旅を共有することができるわけだが、そこに強靭でしなやかなバンド演奏が伴っていようと、主人公が清春の発する言葉と歌声であることに何ら変わりはない。確かにステージ上の様相や、各曲に伴う情景は大きく異なってくるが、“詩を歌う”という行為の可能性をとことん追求しようとする彼の姿勢は、むしろまったく同じなのだ。そして同時に感じさせられたのは、あらかじめ設定されたひとつの正解に向かって理想を追うのではなく、生を授かった楽曲ひとつひとつの可能性をこうして多面的に追求することが、清春なりの求道のあり方なのではないかということだった。


フロアを埋め尽くした熱心なオーディエンスにとってひとつ想定外だったはずなのは、演奏時間のコンパクトさだろう。清春は序盤から「遅く始めて、早く終わる」といった言葉を発して客席からの「え~っ!」という声を誘っていたが、実際、彼が「遅くまで、いや、早くまでありがとう。愛してます」と告げてステージを去ったのは午前4時35分のこと。その5分前には、最後の最後に披露された「あの詩を歌って」の演奏が完全に幕を閉じていた。清春のライヴとしては短い部類に入る約2時間のステージだったが、実は条例により4時30分には完全に“音出し”を終了しなければならないという事情もあったのだ。ただ、あらかじめ夜明けまで演奏が続くものと思い込んでいたファンにはやや拍子抜けの部分もあったかもしれないが、時間的制約があるなかで繰り広げられたこのライヴの濃密さに不満や消化不良をおぼえた観客は皆無だったに違いない。

「どうしてもクリスマスにやりたかった」という清春の強い想いが結実する形で実現した今回のライヴ。実のところクリスマスにちなんだ趣向は、アンコールの1曲目に「Merry X’mas, I Love You」が組み込まれていた事実を除いては特に用意されていなかったが、こうして過去になかった形でのライヴが届けられたことが、ファンにとっては何よりも価値のあるプレゼントとなったことだろう。


この先、清春は、12月31日に名古屋ダイアモンドホールで開催される年越し公演、<'17 FINAL>をもって2017年の活動すべてを終了することになる。MIDNIGHT BIRDが次に飛来する機会がいつ訪れることになるのかはわからないが、『夜、カルメンの詩集』というアルバムを軸としながら進んで行くことになる2018年の彼の動きに注目したいところだ。

取材・文◎増田勇一
撮影◎柏田芳敬

■清春<'17 FINAL>

▼<'17 FINAL>INOS ONLY
2017年12月30日(土) 名古屋 CLUB QUATTRO
Open 17:00 / Start 18:00
(問)ズームエンタープライズ:052-290-0909
※清春official fanclub『INOS』会員限定公演

▼<'17 FINAL>NEW YEAR COUNTDOWN
2017年12月31日(日) 名古屋ダイアモンドホール
Start 23:00 / end 28:00
(問)ズームエンタープライズ:052-290-0909



■アルバム『エレジー』

2017年12月13日発売
【完全初回生産限定 2CD+DVD】COZP-1402-1404 ¥5,000+tax
<DISC1“elegy”>
01.LAW’S
02.ゲルニカ
03.アロン
04.rally
05.GENTLE DARKNESS
06.夢
07.カーネーション
08.この孤独な景色を与えたまえ
09.輪廻
10.空白ノ世界
<DISC2“elegy”poetry reading>
1.LAW’S
2.ゲルニカ
3.アロン
4.rally
5.GENTLE DARKNESS
6.夢
7.カーネーション
8.この孤独な景色を与えたまえ
9.輪廻
10.空白ノ世界
11.YOU
<DISC3“elegy”performance(DVD)>
▼LIVE AT Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
サロメ/陽炎/瑠璃色/lyrical/rally/alice/シャレード
▼MUSIC VIDEO
「LAW’S」

■アルバム『夜、カルメンの詩集』

2018年2月14日発売予定
【完全初回生産限定盤 2CD+DVD】COZP-1411-1413 ¥5,000+tax
【通常盤 CDのみ】COCP-40251 ¥3,000+tax

■<KIYOHARU 25 TIMES DEBUT DAY>

2/9(金) 岐阜club-G

■<KIYOHARU TOUR 天使の詩2018『LYRIC IN SCARLET』>

2/23(金) 大阪BIGCAT
2/24(土) 金沢EIGHT HALL
3/02(金) 仙台Rensa
3/16(金) KYOTO MUSE
3/17(土) KYOTO MUSE
3/21(水・祝) 柏PALOOZA
3/24(土) 長野CLUB JUNK BOX
3/31(土) 札幌PENNY LANE24
4/07(土) 青森Quarter
4/08(日) 盛岡Club Change Wave
4/13(金) 名古屋 BOTTOM LINE
4/14(土) Live House 浜松窓枠
4/28(土) 鹿児島CAPARVO HALL
4/29(日) 長崎DRUM Be-7
5/03(木・祝) EX THEATER ROPPONGI

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