【インタビュー】DAM 1月度D-PUSH!アーティスト“アルコサイト”バンドに対する情熱の揺らぎなさを熱く語る
2017年3月にリリースされた1stミニ・アルバム『CROW』と、それに続く全50本に及ぶ全国ツアーを経て、シーンの注目を集めるようになったアルコサイト。力強さや“尖り”、ひたむきさ、繊細さなどがない交ぜになった彼らの個性は本当に魅力的で、浮上すべきバンドが浮上したという印象を受ける。そんな彼らが2ndミニ・アルバム『WOLF』を完成させた。同作は、楽曲やメンバー各自のプレイ、サウンドといったあらゆる面にさらなる磨きが掛かった好盤となっている。『WOLF』レコーディング後に、渋谷泉(dr)の罹患による休養に入るというアクシデントに直面した彼らだが、今回メンバー達と話をして、バンドに対する情熱の揺らぎなさを感じることができた。
◆アルコサイト~画像&映像~
■いろんなものを時間を空けずにパッケージングしたいという気持ちがあって
■その結果『WOLF』はいろいろな“想い”が詰まった作品になりました
――BARKSで取材させていただくのは初めてですので、基本的な質問から入らせていただきます。アルコサイトは、どんな風に結成されたのでしょう?
北林英雄(Vo.Gt. 以下、北林):僕は元々ずっとピン・ボーカルで活動していたんです。自分の中にある熱い気持ちを音楽で届けたいという想いがあって歌っていて、その想いがどんどん大きなっていって、高校2年生の頃にアルコサイトを結成しました。でも、何度もメンバー・チェンジがあったし、僕以外のメンバー全員が脱退してしまった時もあったんです。大学の受験があったり、もうバンドは卒業するみたいな感じでやめていってしまって。その間も僕は1人で弾き語りを続けていたんです。そんな紆余曲折を経て、最終的に今のメンバーになりました。アルコサイトの音楽性に関しては、良いと思ったものは柔軟に採り入れるけど、パッションを持って何かを伝える音楽を提示するということは一貫して変わっていません。
――音楽の形態以上に、“想い”を大事にされていることが分かります。皆さんの音楽的なバックボーンなども話していただけますか。
北林:僕は、最初はロックバンドよりもKICK THE CAN CREWさんとかKREVAさんといったラップが好きでした。姉がよくそういった音楽を聴いていて、その影響で中学生の頃に僕も聴くようになって、聴くだけじゃなくて自分も音楽をやりたいと思うようになったんです。だから、音楽的なルーツはラップですね。その後、姉の高校の文化祭で軽音部のライブを見て、バンドって良いなと思って。バンドをやりたくなって、高校に進学した時に軽音部に入ったという感じです。
小西隆明(Gt. 以下、小西):僕は、親が洋楽好きで、家の中とか、車の中とかでいつも音楽が流れている環境で育ったんです。だから、中学生の頃に自然とAC/DC辺りからロックに入っていって、フォール・アウト・ボーイとかオフ・スプリングとかを聴くようになって。ずっと洋楽が好きだったけど、高校の時に友達に、このバンド、カッコ良いよと言われて聴かされたのがUNLIMITSさんだったんです。すごく好きになって高校生の頃は、ずっとUNLIMITSさんのコピーバンドをやっていました。そこから聴く音楽も、自分でやる音楽も広がっていくんですけど、ルーツになっているのはUNLIMITSさんです。
浜口亮(Ba. 以下、浜口):僕は子供の頃からテレビとかで流れているポップスを聴いてはいたけど、音楽にはあまり興味がなくて。自分でCDを借りたり、買ったりするようになった頃にELLEGARDENさんとか、RADWIMPSさんとかを出会って、バンドはカッコ良いなと思うようになりました。それでベースを始めて、コピーバンドも始めたので、その辺りがルーツになっていますね。ELLEGARDENさんとか、RADWIMPSとかは今でも好きで、結構聴いています。
▲北林英雄(Vo.Gt)
――それぞれの持ち味が上手く混ざり合って、アルコサイトの個性を生んでいることが分かります。では、最新ミニ・アルバム『WOLF』の話をしましょう。今作を作るにあたって、テーマやコンセプトなどはありましたか?
北林:僕らは今年の3月に前作『CROW』をリリースさせていただいて、その後50本ツアーを廻ったんですね。ツアー中に曲を作ったり、楽曲についてプロデューサーとやり取りをしたり、スタジオに入ったりしたので、今回の『WOLF』は50本ツアーで感じたいろいろなことが反映されています。ツアーはしんどいこともメチャメチャあったけど、いろんなバンドと出会って、各地で応援くださる方と出会って、本当に楽しかったんですよ。同時に、これからバンドとしてどうして行きたいかということもメンバー間で固まった。そういったいろんなものを、できるだけ時間を空けずにパッケージングしたいという気持ちがあったんです。その結果、『WOLF』はいろいろな“想い”が詰まった作品になりました。
――たしかに、リアルなバンドライフを歌った歌詞が多くなっています。楽曲面ではライブ映えする勢いがありつつ、良質なメロディーや凝ったアレンジを活かして知的な味わいを加えていることが印象的です。
北林:楽曲作りとかも以前は本当にパッションだけで突き進んだり、みんなでスタジオで“バーン!”と演奏したのをボイスレコーダーに録って、これをそのままやろうみたいな感じだったりしたんですよ。最近はDTMをするようになったし、今回は初めてしっかりしたプリプロもやったんです。そんな風に、感覚だけで曲を作るんじゃなくて、ちゃんと考えて作る楽しさも自分達の中で見い出せたというのがあって。それが良い方向に出たことは感じますね。
▲小西隆明(Gt)
――日々、さらに進化されているんですね。曲作りを進めていく中で、キーになった曲などはありましたか?
北林:2曲目の「本当のこと」ですね。自分の殻を破って作れた曲なので。この曲で歌っていることは本当にパーソナルなことで、完全な実話なんですよ。今までは、歌おうと思えば歌えるけど、ちょっと恥ずかしいよな…みたいな気持ちが分の中にあったんです。でも、今回敢えて歌うことにしました。そういう背景があったし、歌詞をプロデューサーやレコーディング・エンジニアと相談しながら仕上げていったということもあって、作るのに結構苦労したんですよ。だから、「本当のこと」を録り終わった時はすごく感慨深かった。やっと形になったなと思って、嬉しかったです。
▲浜口亮(Ba)
――「本当のこと」の歌詞は実話だと思っていなかったので、衝撃です。
北林:皆さんに、そう言われます。僕らはライブをすごく大事にしているので、ライブをする中で思ったこととか、感じたことがアルコサイトの楽曲を作るうえで、大きなテーマとしてあるんですね。だから、そういうことを歌った曲が多いし、今までは自分のネガティブな部分やダサいと感じる部分は隠すのがカッコ良いと思っていたんです。でも、自分が出したくないところとかも出して、つまずいたり、失敗したりしながらでも進んでいく姿を見せていきたいと思うようになって。それを形にしたのが「本当のこと」です。
小西:僕も「本当のこと」は印象が強いですね。ミニ・アルバムに向けて曲作りを進めていく中で、実はこの曲は一番最後に出てきたんです。作った曲を並べて、どれを入れようかという話をしていたら、(北林)英雄が「もう1曲あんねんけど」といって「本当のこと」を聴かせてくれて。もう聴いた瞬間に、これは絶対に入れようということになりました。こういう曲を出せる英雄は、表現者としてすごくカッコ良いなと思いましたね。
浜口:「本当のこと」を最初に英雄がスタジオで弾き語りで聴かせてくれた時は1行目の“僕にはお父さんがいない だから人並の愛情を知らない”という歌詞が衝撃的で、“それを書くんや”と思いました。それで、これはもう絶対に音源にしなきゃと思って。アレンジとかにもすごくこだわって、結構時間をかけて、丁寧に作りました。だから、「本当のこと」は、ぜひ聴いてほしいです。あとは、僕は5曲目の「笑わせんなよ」も好きですね。僕は普段から激しい曲をよく聴くんですけど、この曲の激しさが最高に好きなんです。ボーカルの叫びから始まって、そこからめっちゃ攻撃的なリフが入って、その後ハーフ・ビートにいくという流れも完璧です(笑)。録ってから何度も聴いているけど、いまだにこの曲は聴くと気持ちが上がります。
北林:「笑わせんなよ」は、前作のリード曲が「ジャパニーズスタンダード」という曲で、それも突き刺さるような歌詞だったんですね。それの進化版を作りたいなと思ってできたのが、この曲です。叫びが入っていたりするけど、ライブの時の僕はそういう感じなんですよ。その場で瞬間的に思ったことを吐き出したりしながらライブをするタイプなので、それを音源でも出したいなと思って作った曲ではありますね。Aメロとかのリーディングと歌の中間みたいなボーカルも、そういうところから出てきました。
小西:この曲は最初のほうに英雄が「びびってねぇで かかってこいよ」と言うところがあって、それをすごく意識したリフができたかなと思います。どうやったら“かかってこいよ感”が出るかなと思って(笑)。それで、もうひたすら家で考えて、合わせてみて、これは違うなと思って、また作り直して、合わせてみて…ということを繰り返しました。プレイヤー目線というところでいうと、僕は3曲目の「キラーチューン」は、かなりこだわりましたね。僕も今まではパッションを大事にしていて、自然と出てきたフレーズとか、その場で浮かんだものを活かすことが多かったんです。要は、勢い重視ですよね。でも、今回は自分が表現したいことを表現するためにはどういうフレーズが良いかとか、ボーカルのメロディー・ラインを踏まえてフレーズを決めたりというように、どの曲もしっかり考えました。そういう中でも特に「キラーチューン」は、どこにどういうギターを入れるかを熟考したんです。それに、2番の歌のバックで3連フレーズを弾いていたり、間奏ではジャジーなフレーズを弾いていたりして、また一つ新しいところにいけたかなというのはありますね。
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