【インタビュー】wyse、メジャーデビューアルバム完成「僕らが僕らであることを問われた作品」
wyseが16年ぶりのメジャーデビューアルバム『Breathe』を8月23日にリリースした。ヴィジュアル系というカテゴリーにおさまりきらないポップなメロディラインと、メインボーカルの月森と2dnボーカルにしてベーシストのTAKUMAの歌が絶妙に絡み合うスタイルの斬新さで、1990年代から2000年代初頭、バンドキッズに多大な影響を与えた彼らの最新作だ。
◆アルバム『Breathe』トレーラー 動画
2005年に解散した彼らは4人体制で2011年に再結成。アルバム『Breathe』には書き下ろしの新曲を中心に再結成後に無料配布された楽曲や上京の思い出を歌った名曲「With…」も新たにレコーディングされた。4人4様のカラーが混ざり合う楽曲群は、今なおキラキラと輝き、阿吽の呼吸のバンドアンサンブルもメッセージも、月日を重ねてきたゆえの豊かさを伝えてくれる。アルバムを引っさげての13年ぶりの全国ツアーに出るwyseに、作品に賭ける想いや今に至るまでの経緯と心境をたっぷり訊いたロングインタビューをお届けしたい。さらには、TAKUMAがBARKSユーザーのために全曲セルフライナーノーツを綴ってくれた。
◆ ◆ ◆
■“初めまして。wyseです”って
■1stアルバムを作る時の意識に近かった
──16年ぶりのメジャーデビュー作であるアルバム『Breathe』についてじっくり聞きたいと思っています。まず、BARKSでのwyse連載コラムの中に「僕達は今年2月に大きな決断をし、新しい世界に向けて踏み出しました」という表現が出てきたのが気になりました。再結成は2011年なので、今回のメジャーデビューに向けての決断ということですか?
TAKUMA:僕ら、以前は事務所に所属していて、復活後も契約というよりパートナーという形で一緒に仕事をしていたんです。6年所属して、解散後に6年の空白があって、再結成してまた6年が経った。そこで、「この先、どういうふうに活動していこう?」とメンバーと話し合った結果、「今までと違う道を模索してチャレンジしていこう」と独立したんですね。それが今年の2月だったんです。
──その時には今回のアルバムやツアーの流れが決まっていたんですか?
TAKUMA:いや、全く。
HIRO:その時点では一度白紙に戻した感じだったんですよ。
TAKUMA:そうしたら、事務所を離れたことによって新たな出会いが増えて、「そういうことをやりたいなら、こういう道もあるよ」って助言してくれた方もいらっしゃったり。道がどんどん開けて今に至ったんです。
▲月森(Vo) |
月森:もちろん気持ち的には本格的にやろうと思って親元を離れたので。
TAKUMA:ははは。親元って(笑)。
月森:感覚的にはね。ただ、メジャーデビューがこんなに早く決まるかな?っていう驚きはありました。
TAKUMA:だから、激動ではあったんです。アルバム収録曲を作り始めたのも今年の4月ですからね。
──急ピッチで進んでいったんですね。曲作りに入る前にメンバーと共有したコンセプトとかはありましたか?
HIRO:今までも“こういうふうにしようぜ”って話し合いをして作ったことはなかったので、今回もそこは同じ。各自が作ってきたデモを聴いた時に“やっぱり、そういう方向か”って、後から共有できた部分はありましたけどね。
──“そういう方向”っていうのは?
TAKUMA:自分たちに何が求められているのか自覚を持って作ったということだと思います。僕もそうですし、MORIもHIROも自分のどういうところを出せばいいのか意識したでしょうし、月森は曲を作らないけれど、歌に備えた時間を過ごして。3者3様の色を持っているとはいえ、そうじゃない曲も作れるとは思うんですよ。でも、長くやっているので“こういう曲はアイツが得意だから任せよう”っていう信頼関係がある。これまでの経験があったからこそ短期間で胸を張れるようなアルバムが作れたんだと思います。
──実際、『Breathe』はwyseらしさがありつつ、メロディックなwyseの曲がより強調された柔らかなアレンジの曲も収録されていて、とてもフレッシュに響いてきました。新たにレコーディングされた代表曲「With…」は17年前に取材した時の光景まで蘇ってきてグッときましたよ。
TAKUMA:そう言っていただけるのは本当に嬉しいです。
▲HIRO(G) |
MORI:今、話に出た「With…」もそうですし、新曲以外に復活してから無料配布した音源も収録されているので、まっさらな作品というよりも、ここにたどり着くまでの軌跡もちゃんと入れ込めたアルバムになったなと思います。自分の中では1stアルバムを作る時の意識に近かったかもしれない。もちろん、膨大な曲の中から選んだ本当の1stアルバムとは違いますけど、“初めまして。wyseです”というフレッシュな気持ちで取り組めて、今の自分たちが良いバランスで入っているというか。
──MORIくんの書いた曲「Rollin’ Rollin’」は“らしい”ロックンロールですね。
MORI:腰を据えて自分らしい曲を出したほうがライブも見えるかなと。
──ライブでみんなが歌える箇所もあるし、月森くんとTAKUMAくんのツインボーカルが生かされたナンバーですよね。
MORI:そうですね。
TAKUMA:MORIっぽさを求められるプレッシャーもあったと思うんですけど、ライヴの良いポイントになる曲ですね。
HIRO:作品にはいつもその時にしか出せない自分たちの音楽を詰め込んでいくんですけど、今回もまさにそんな感じ。今のwyseの境遇だからこそというか、2月に独立して自分たちの力でやっていくと決意した第一歩のアルバムですね。と同時に「これがwyseとして最後に出す作品になってもいいや」と思えるぐらいに最高なものを作りたいと思って、実際に自分で聴いても本当に満足できるものができました。そんな中に1曲、自分の曲を入れさせていただいてありがとうございます(笑)。
TAKUMA:別に全曲でもよかったのに(笑)。
──「Fake Monster」はハードロックだし、聴いてすぐに、“これはHIROくんの曲だ”とわかりました。
TAKUMA:うちの母親も聴いて「これはHIROやろ」って言ってました(笑)。
HIRO:オマエのおかんにもわかるのか?(笑)。
TAKUMA:みんなわかるよ。MORIの曲もそうだし。それが色だと思う。
HIRO:さっきTAKUMAが3者3様だからこそwyseって言ってましたけど、自分らしくない曲を出したい欲求もあるんですよ。今回は自分らしさを究極に出してみた。原曲の時点からハードだったんですけど、そこからwyseに寄せていったのはみんなの力だと思います。
◆インタビュー(2)へ
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