【インタビュー】ブラザー・ファイアートライブ「音楽やショーは楽しくなきゃ」
ナイトウィッシュのエンプ・ヴオリネン(G)が在籍していることでも知られるフィンランドのメロディアス・ハード・ロック・バンドのブラザー・ファイアートライブが、4枚目のアルバム『サンバウンド』を完成させた。
◆ブラザー・ファイアートライブ画像
きらびやかなシンセサイザーを軸にした1980年代スタイルのキャッチーな楽曲は本作でも健在で、ファンの期待通りの作品に仕上がっている。ことボーカル・メロディの充実ぶりは目を見はるものがあり、サウンド・アレンジにも進化を感じる。この新作についてバンドのメイン・ソングライターであり、プロデュースも務めるトンッパ・ニクライネン(Key)に話を聞いてみた。
――『サンバウンド』の曲作りはいつ頃から始めたのですか?
トンッパ・ニクライネン:前作『ダイアモンド・イン・ザ・ファイアピット』のツアーが終わってすぐに始めたんだ。最初にペッカ(アンシオ・ハイノ/Vo)と一緒に書いたのが「ラスト・フォーエヴァー」で、次に書いたのが「ビッグ・シティ・ドリーム」だった。あの2曲は、比較的すぐに書けたんだ。でも、その後は結構時間がかかったよ。3曲目に書いたのがどれだったか思い出せないけど、とにかく、最初の2曲は前回のツアーを終えてすぐに書き始めた。
――他のメンバーが曲の最初のアイディアを提案することはありますか?
トンッパ・ニクライネン:それはなかったかな…いや、ジェイソン(フリンク/B)はギターとベースが入ったデモをいくつか作ったよ。アルバムの最後に入っている「ファンタスマゴリア」のコーラスのメロディ・ラインは、ジェイソンのアイディアを採り入れているしね。彼が書いたベーシックなアイディアを元に、俺とペッカとで曲を組み立てていったんだ。誰かのアイディアが届いたら、俺はいつも使えるものがないかチェックする。キラー・ベース・リフがあったら、それをアレンジして別の曲に仕上げることもできるし、そういうやり方をするのが俺達なんだ。ジェイソンはベーシックなコードなんかで、とても良いアイディアを出してくるね。
――アルバム・タイトル『SUNBOUND』は何を意味しているのですか? 辞書に載っていない言葉ですよね?
トンッパ・ニクライネン:うん、太陽に向かって進んでいる、というような意味なんだ。ペッカが持っていた感覚なんだと思う。全ての曲を書き終えて、俺達はとてもエキサイトしていたからね。今は全てが素晴らしい方向に進んでいるという感覚を彼は持っていたんだと思うよ。正確にはどう翻訳するのか俺にはわからないけど(笑)。
――ポジティヴな意味なんですね。
トンッパ・ニクライネン:それは間違いないよ。これはそういうアルバムだからね。
――歌詞はペッカが全部書くということでしたよね? 主にどういったことがテーマになっているか、知っていますか?
トンッパ・ニクライネン:俺が思うに、どの歌詞もペッカが実際に経験したことや人から聞いたこと、彼が感じていることや世界で起こっていることを基に書かれているんだと思う。でも基本的にはどれも彼が書くラヴ・ソングなんだ。実際のところはペッカに訊いてもらわないといけないけどね。
――アルバムはバラエティに富んでいますが、お気に入りのプレイが入っている曲を挙げるとどれになりますか?
トンッパ・ニクライネン:そうだな…。俺がとても気に入っているキーボード・パートは「ヘルプ・イズ・オン・ザ・ウェイ」に入っていると思う。ほとんど完成していたんだけど、コーラスとイントロのキーボードがどうも気に入らなくて、もうちょっと躍動感があるパートが必要だと感じていて、あのピアノのメロディを思い付いたんだ。あれは凄く気に入っているよ。全部変えてしまったから、あの曲は時間がかかったな。それからもうひとつ、とても気に入っているのが「ハート・オブ・ザ・マター」のシンセ・ベース・ライン。アレンジにかなり苦労した曲なんだけど、あのシンセ・ベース・ラインが浮かんだ時点で、どういう曲になるべきかはっきり分かったんだ。
――映画『バトルランナー』のサウンドトラックで使われていたジョン・パー「レストレス・ハート」をカバーした理由は?
トンッパ・ニクライネン:実はあの選曲はなかなか厄介だったんだ。1980年代の曲をカバーしたかったんだけど、ビッグなバンドが採取り上げているような曲は演りたくなかったから、まだ誰もカバーしていない曲を見つけるのが大変だっただよ。友人が見つけてくれたんだけど、聴いたらすぐに、これはブラザー・ファイアートライブがやるのにピッタリの曲だと分かった。そっくりにカバーするつもりはなくて、俺達から出てきた何かがあることが重要なんだけど、俺達ならこれを俺達の曲のように仕上げられるとも思った。凄く良い曲だと思う。
――この曲のアレンジはどのように?
トンッパ・ニクライネン:まずシンセ・パートのプログラミングから始めたんだ。ジョン・パーの曲でも素晴らしいプログラミングとキラー・シンセが使われているからね。シンセサイザーで凄く良いプログラミングができれば、そこから曲を凄くいい感じで組み立てていけるはずだと感じた。それから、あの短いイントロ・パートを書いた。あのシンセは曲全体のバックグラウンドに入っているんだよ。
――ところで、今年結成15年を迎えましたが、いかがですか?
トンッパ・ニクライネン:メンバーと一緒にいると本当に楽しいんだよ。それがこのバンドをやっている目的だからね。楽しくなきゃいけない。もちろん真剣にやっているけれど、シリアスになりすぎてはいけないんだよ。音楽を作り一緒にショーをやる時は楽しくなきゃ。俺達は本当に楽しい15年間を過ごしてきた。素晴らしいグループだ。素晴らしいケミストリーがある。ファンタスティックだよ。
――最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
トンッパ・ニクライネン:日本に行きたくてうずうずしているよ。日本のファン全員に会えたら本当に最高だ。待ちきれないよ。
取材・文:Jun Kawai
Photo by Lars Johnson
ブラザー・ファイアートライブ『サンバウンド』
【50セット通販限定 直筆サインカード付きCD+Tシャツ】¥6,000+税
【CD】¥2,500+税
※日本盤限定ボーナストラック収録/日本語解説書封入/歌詞対訳付き
01.サンバウンド
02.ヘルプ・イズ・オン・ザ・ウェイ
03.インデリブル・ヒーロズ
04.テイスト・オブ・ア・チャンピオン
05.ラスト・フォーエヴァー
06.ギヴ・ミー・トゥナイト
07.ショック
08.ストラングルド
09.ハート・オブ・ザ・マター
10.レストレス・ハート
11.ビッグ・シティ・ドリーム
12.ファンタスマゴリア
《日本盤限定ボーナストラック》
13.ドント・クライ・フォー・イエスタデイ
14.フォー・ベター・オア・フォー・ワース(アコースティック ver.)
【メンバー】
エンプ・ヴオリネン(ギター)
ペッカ・アンシオ・ハイノ(ボーカル)
トンッパ・ニクライネン(キーボード)
ジェイソン・フリンク(ベース)
ハネス・ピリラ(ドラムス)
◆ブラザー・ファイアートライブ『サンバウンド』オフィシャルページ