【レポート】10-FEET、ツアー最終日ZEPP TOKYOで「今日はお前らと心中しにきた」

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10-FEETが3月16日、ZEPP TOKYOにて<“ヒトリセカイ×ヒトリズム”TOUR 2017>のファイナル公演を開催した。同ツアーは2月1日にリリースされた最新シングル「ヒトリセカイ×ヒトリズム」を引っさげ、各地ゲストを迎えてツーマンで行われたもの。ZEPP TOKYO公演はその最終日となる。

◆10-FEET 画像

この日のゲストは、竹原ピストル。TAKUMA(Vo/G)によれば、竹原ピストルとの共演は、竹原が野狐禅で活動していた時以来で10数年ぶりだという。今回のツアーでは唯一のソロアーティストだ。

ステージの真ん中でアコギを抱え、「のんびりお付き合いください、竹原ピストルと申します」と穏やかに語るも、その歌は孤高のボクサーが放つ一打にも似て、とてつもなくソリッドで鬼気迫るヘヴィさでフロアに打ち込まれる。「ドサ回り数え歌」で始まり、「LIVE IN和歌山」「よー、そこの若いの」や、梅雨時期の岩手三陸ツアーで書いたという「RAIN」など、語りかけるような、時に拍子を無視したリズムで紡がれる歌が響く。歌に描かれた人物や市井の人はリアルで、聴くうちに身近な誰かのことに思えて、そのストーリーにグッと入り込んでしまう。息づかいも聞きもらさないくらいの静けさがあり、パフォーマンスとともにフロアの温度が上昇する、会場には心地よい緊張感が満ちた。

「こうしてステージに登場して、“竹原ピストルです”と言ってワーッと盛り上がることは4年に1度くらい」とか「意味なくギターを変えてみました」などのMCで観客を笑わせ、さりげなく空気をほぐす一挙一動がとても真摯だ。10-FEETとともに起用されたTVドラマ『バイプレイヤーズ』のエンディングテーマ「Forever Young」や中島みゆきのカバー曲「ファイト」を披露し、最後は「10-FEETへの心からの友情の気持ちを込めて、ポエムを読んで締めたい」と意表を突くエンディングで、拍手喝采を巻き起こした。




続くは10-FEET。おなじみの登場SE「そして伝説へ」が高らかに会場に響きわたるとフロアでは観客が一斉にタオルを掲げ、そして手拍子や完成が大きくなる。音楽に合わせるように、“10-FEET 20th Anniversary”と刻まれた大きなバックドロップが掲げられると、フロアの興奮が湧き上がり、TAKUMA、NAOKI(B/Vo)、KOUICHI(Dr/Cho)を迎え入れた。

1曲目に選ばれたのは最新シングルから「火とリズム」。のっけから凄まじく大きなシンガロングが会場に響き、3人の強靭なグルーヴを絡み合って猛烈な上昇気流を起こす。続けざまに、「VIBES BY VIBES」「hammer ska」と連投すると、フロアの前方はもみくちゃとなり、また天を仰ぐように歌い続けるキッズやただただコブシを高く突き上げ噛みしめるように音を浴びるキッズもいたり、さまざまな光景が広がる。「蜃気楼」のグッドメロディに酔い、「かかってこい!」というTAKUMAの叫びから、アグレッシヴなバンドアンサンブルで「1sec.」を畳みかける、冒頭から怒涛の展開だ。



「ありがとうございましたー!! 10-FEETでしたー」と早くも締めようとするTAKUMAに観客がアンコールの大合唱を起こし、「早くやれ!」という方々からのヤジにはTAKUMAが「うるさい、お前ら。かかってこい!」「行けるか、KOUICHI」とフェイントをかけて「[final day]」へ。ひたすら高いテンションと明るさで、ぐいぐいと観客を巻き込んでいくパワーはあっぱれだ。ちなみにこの夜のライブは「アンコールなし」と宣言。冒頭からの猛烈な勢いを1ミリも削がぬまま駆け抜けるつもりらしい。「今日はお前らと心中しにきた」と語るTAKUMAの気迫にフロアが応え、「SHOES」ではNAOKIとともに大きなコーラスを響かせた。「RIVER」では、歌詞に登場する“河”を“隅田川”に変えて歌ったりとフレンドリーさも抜群である。

MCでは、今日のゲスト竹原ピストルに対して、「4年に一度のすごいの出されたからやりづらい」などと3人で語りながらも共演を喜び、「俺らも7年に1度くらいの出すから、お前らも何年かに一度の感じを出してこい」と後半へと突入した。




この後半、「淋しさに火をくべ」から「アンテナラスト」へという流れが最高だ。ひとり、歌詞と向き合うようにして聴く時間もさることながら、ライブという場での叩きつける1音で、感情のジェットコースターと日頃のままならない思いを、形ある音として飲み込ませてくれるのが、10-FEETの音楽の真骨頂である。とくに「アンテナラスト」は生で聴くたびに、楽曲や歌の持つ重みと深みを味わい、長い余韻をもたらすナンバーとなっていると思う。2016年夏のリリース後から、すでにライブで欠かせない曲として観客の熱い歓声で迎えられているのも、それゆえだろう。

またラウドな「super stomper」から「2%」「STONE COLD BREAK」と剛柔自在なバンドアンサブルで会場をゆさゆさと揺らしたかと思えば、「(残り) あと5曲!」とフロアを煽り、「ライブも人間も限られた時間があるもの。いつか終わる。それをどう過ごすかやろ!」「すごい景色を見せてくれ!」と、さらに感情をバーストさせる「goes on」へ。フロアとステージとで笑顔でぶつかり合っているが、互いに必死であり、壮絶と言ってもいいせめぎ合いもある。




灼熱となった場内に「その向こうへ」、最新シングル「ヒトリセカイ」を高らかに歌い上げた。「転んでも、立ち上がって、何度でも行ってこい」と観客に向かって叫びをあげながら歌った「ヒトリセカイ」のパワーは、ライブで一層染み入る。己と戦い、孤独と戦い続ける、そのかたわらでヘタれることなく鳴り続けて欲しい音楽だと、改めて思う。

セットリストも残りわずかとなったところで、終盤には竹原ピストルの「Forever Young」のカバーを急遽披露。そして「風」、フロア一面にタオルが舞う「CHERRY BLOSSOM」で「また、どこかで会おう!」と大団円で締めくくりながらも、再び3人で集まり何やら話をすると、「正真正銘、これが最後の曲」とセットリストにはなかった「back to the sunset」を演奏してライブが終了した。



結成20周年を迎える2017年の最初のツアーとなった今回。そこには、キャリアにあぐらをかかず、まっすぐに感情をほとばしらせ、全力&全速力で観客と取っ組み合う10-FEETの姿があった。変わらぬバンドのその姿勢が、曲の最高の味付けとなっている。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎HayachiN/アミタマリ

■<10-FEET “ヒトリセカイ×ヒトリズム” TOUR 2017>
3月16日@ZEPP TOKYOセットリスト

01.火とリズム
02.VIBES BY VIBES
03.hammer ska
04.蜃気楼
05.1sec.
06.[final day]
07.SHOES
08.RIVER
09.4REST
10.淋しさに火をくべ
11.アンテナラスト
12.super stomper
13.2%
14.STONE COLD BREAK
15.goes on
16.その向こうへ
17.ヒトリセカイ
18.Forever Young (カバー:竹原ピストル)
19.風
20.CHERRY BLOSSOM
21.back to the sunset


■<THE GREAT ROCK'N'ROLL SEKIGAHARA 2017>

▼DAY1
<THE GREAT ROCK'N'ROLL SEKIGAHARA 2017 「氣志團万博 vs VAMPARK FEST」>
2017年4月15日(土)千葉県・幕張メッセ 9~11
開場9:00 / 開演10:30 (終演予定 20:30)
【出演アーティスト】※50音順・敬称略
■氣志團万博軍■
岡崎体育, 氣志團, グループ魂, J王蜂 (J×女王蜂), SPYAIR, モーニング娘。OG
■VAMPARK FEST軍■
ASH DA HERO, VAMPS, OKAMOTO'S, sads, DIR EN GREY, MY FIRST STORY

▼DAY2
<THE GREAT ROCK'N'ROLL SEKIGAHARA 2017「~万博大作戦日本シリーズ~」>
2017年4月16日(日)千葉県・幕張メッセ 9~11
開場9:00 / 開演10:30 (終演予定 20:30)
【出演アーティスト】※50音順・敬称略
■氣・リーグ■
氣志團, キュウソネコカミ, BOYS AND MEN, ももいろクローバーZ, RIP SLYME ……and more
■10・リーグ■
湘南乃風, 10-FEET, 東京スカパラダイスオーケストラ, 藤井フミヤ, ヤバイTシャツ屋さん, ROTTENGRAFFTY

▼チケット
4/15・ 1日券 \8,888(消費税抜)
4/16 ・1日券 \7,777(消費税抜)
年齢制限:小学生以上有料/未就学児童は無料(保護者同伴の場合に限る)
【一般発売】3/11(土)10:00〜
http://w.pia.jp/t/sekigahara/ ※PC・モバイル共通



■16thシングル「ヒトリセカイ×ヒトリズム」

2017年2月1日(水)リリース
【初回限定盤(CD+DVD)】UPCH-89310 \1,600(税別)
※初回限定盤特典:バンド結成20周年記念ロゴステッカー封入
【通常盤 (CD)】UPCH-80454  \1,000(税別)
1.ヒトリセカイ
2.火とリズム
3.[final day]
<DVD収録内容>
「京都大作戦2016 ~吸収年!栄養満点!音のお野菜!~」のライブ映像+オフショット


■<京都大作戦2017 ~心の10電!10執念!10横無尽にはしゃぎな祭!~>

2017年7月7日(金) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
2017年7月8日(土) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
2017年7月9日(日) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
※京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ(宇治市広野町八軒屋谷1)
▼出演
10-FEET and more!
▼開場
7月7日 開場:11:30 / 7月8日, 9日 開場:9:30
▼開演
7月7日 開演:13:00 / 7月8日, 9日 開演:11:00
▼チケット
・1日券 7月7日 ¥5,980-(税別) / 7月8日, 9日 ¥6,200-(税別)
・前2日券 7月7日, 8日 ¥11,700-(税別)
・後2日券 7月8日, 9日 ¥12,000-(税別)
・3日通し券 7月7日~9日 ¥17,700-(税別)
▼公演に関する一般お合わせ先
サウンドクリエーター:06-6357-4400 (平日12:00~18:00)
http://www.sound-c.co.jp/
▼チケットに関する一般お問い合わせ先
京都大作戦チケットセンター:050-5824-5141(平日13:00~17:00)
https://ticket-every.jp/allpics/contact/

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