【音楽ギョーカイ片隅コラム】Vo.63 「2016年、国内外の音楽的ロスを振り返る」
今年は仕事面、そして一音楽ファンとして、音楽に大きく救われた一年となりました。プライベートでは険しい道を選択し、辿った一年となりましたが、音楽のおかげでどうにか乗り切ることができました。
音楽には弱った精神面の安定や前進するためのエネルギー生成に抜群の効能があり、これほどまでに生きる力を与えてくれるものなのかと改めて驚き、感謝したのが人生のハイライトでした。大袈裟なようですが本当でして、音楽ギョーカイで働きたいと心に誓った高校時代のライブ体験以来でした。
中でも最も感動し、生きる源になったのは、もう二度とライブで聴くことができないと思っていた自分の核となっている楽曲を再び耳にし、目にすることができたこと。人間、予想以上のことが起こると涙が溢れるものなのですね。生きていて良かったと思わせてもらえたことで、他の煩わしい出来事も乗り切ることができました。ミュージシャン、並びに制作側にいる皆さん、ありがとう。
しかしながら、ロスも大きかったのが2016年。国内外の音楽界での出来事を振り返って真っ先に思うのは、多くのミュージシャンを失ったことです。
一昨年の暮れにレミー、ナタリー・コールが逝き、年があけて数日でデヴィッド・ボウイが星へ還るという衝撃ニュースによって動揺し、さらにプリンスまでもが旅立つという予想すらしない訃報続きに頭と心がまったく追いつかない状況になり、あと少しで一年が終わるというクリスマスにはジョージ・マイケルが逝ってしまったという追い打ちをかける知らせが海を越えて響いたことで喪失感でいっぱいの一年となってしまいました。
その他にも、 Eagles創立メンバーのグレン・フライ、Jefferson Airplane のポール・カントナー、Earth, Wind and Fireのフロントマンであるモーリス・ホワイト、Emerson, Lake & Palmer, ELP をはじめ多くの功績を残したキース・エマーソン、A Tribe Called Questのファイフ・ドーク、カントリーの重鎮マール・ハガード、Suicideのアラン・ヴェガ、Dead Or Aliveのピート・バーンズ、音楽家であり作家、画家でもあったレナード・コーエン、シェルター・レコードを創設し、クラプトンやストーンズ、ジョージ・ハリスンなど大御所らと作品を残したレオン・ラッセル、 Sharon Jones & The Dap-Kings を率いたシャロン・ジョーンズ、King CrimsonとELPで活躍したグレッグ・レイク、イブに逝ってしまったStatus Quoのリック・パーフィット。裏方では、5人目のBEATLESと称されたサー・ジョージ・マーティンの死去も大きく報じられたましたね。
日本人では、minus(-)、そしてSOFT BALLETの奇才・森岡賢、時代に新風を鋭く吹かせたBOOM BOOM SATELLITESの川島道行、日本の音楽を支えたギタリスト・松原正樹、業界の表と裏両面から支えた音楽家の村田和人、シャンソン歌手であり作家の戸川昌子、L⇔Rの黒沢健一、マルチな才能を持つ中で作詞家として多大な功績を残した永六輔、そして日本に広くシンセサイザーを認知させた音楽作家・富田勲。
ここまで書いて大きなため息がついて出ました。なんという一年だったことか。
この大きなロスはけして穴埋めされることなく、自然の摂理としてこの先も時間は経過し、ロスも増えていく現実が待っているのかと思うと、ただ、ただ、しんどいものがあります。しかしながら、こうした現実を受け止め、彼ら音楽家が残してくれた作品を愛し続けるしかありません。
一方で、音楽ファンとして出来ることとしては、現存するミュージシャンや裏方の人々が生み出す作品やライブ・ショーをリアルタイムで楽しむことが挙げられます。明日から始まる新たな年。あなた様も私も、多くの人々が観たいものや聴きたいものを見逃さず楽しめるような平和な世界で、健やかに、音楽のある豊かな日々を送れることを願っております。
◆早乙女“ドラミ”ゆうこの【音楽ギョーカイ片隅コラム】
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