【総括レポ】<VISUAL JAPAN SUMMIT>、あの狂乱3DAYSの回想録「もう無敵である」
この後、ついに現われたのがエクスタシー・レコードの裏番的存在、LADIES ROOM。SEX GEORGEとヴォーカルの百太郎(今はHyakuらしい)が、まずは軽快な漫談トークで場を和ませる。あれっ、あんま怖くないじゃんと思わせたところで、百太郎の「オラッ! 一発やるぞ」という脅し文句のような言葉で、ライヴがスタート。モトリー・クルー直系のロックン・ロールだが、グルーヴがねっとりしてきたのは年の功か。しかしながら相変わらず小学生レベルの下品なMCばっかの百太郎。コール&レスポンスも“セックス、コーマン”である。ファンは犯されっぱなし。昔からやりたい放題、言いたい放題なLADIES ROOMスタイルを貫くメンバーだった。
そしてついに御大の登場である。それに今夜はPATA復活祭でもある。GEORGEのブログ“我孫子神音会”で、THE SLUT BANKSのTUSK達と大好きなジャイアンツの試合観戦した姿は9月下旬に報告されていたが、生で観るまで心配である。同日夕方の記者会見でもYOSHIKIは「PATAもおかげさまでほぼ完全に復活しまして。一時期は生死をさまよっていたんで。でも今朝6時までここでリハーサルをやってまして、本番前にまた具合悪くなっちゃうんじゃないかって感じですけど(笑)。やはり、またこのメンバーでこうやって集まれるのは、本当に幸せです」と語っていた。おい、どっちなんだよ。ともかく待つしかない。
9時55分。復活祭の狼煙は上がった。エクスタシーの大将、YOSHIKIがドラムセットの向こうから現われ、メンバー達もステージに。そして炎が上がるステージで繰り広げられたのは「JADE」。ザクザクとキレのあるリフはPATAの本領発揮である。4曲目「紅」のときには、HIDEが弾くイントロアルペジオと共に映像も流れ、それを目にしたTOSHIが思わず涙声に。様々な思い出と時の流れは、悲しくも時には残酷な現実にも身をつまされる。
またライブ中盤には「<エクスタシー・サミット>の夜へようこそ」というYOSHIKIの言葉から、いろんな話も飛び出す。「前回、武道館でやったとき、YOSHIKIと初めて花嫁衣装を着た。契りを交わしたんだよ。2人とも、花嫁衣装なんだけど(笑)」とTOSHI。それを受けて「持ってこなかったね!? スタッフの人、明日までに花嫁衣装。SUGIZO用の着ぐるみもね(笑)。俺、ポケモン着ようかな」とYOSHIKI。
前の<エクスタシー・サミット>では、バンドの機材転換中にトークコーナーがあって、なぜかウェディングドレスやら力士の着ぐるみ、そして特攻服などがいろいろ用意されてたんだった。で、大将の指令なのか、大将自身の悪ノリなのか、いろんなミュージシャンがそれまでのキャラ崩壊な格好で、ファンを賑やかしたもの。さっきから何かが足りないと思っていたのはそこ。やるときゃやれよの精神で、ぜひ実現させてほしいもんだ。それはともかく、改めて感謝の気持ちも言葉にするYOSHIKI。
「こうやって長い月日が経って、みんなと仲間で1つの空間を分かち合えるのはすごくいいもんだなと思って。今まで頑張ってきて良かったなって。こうやった自由に音楽をやってね(ピアノを弾きつつ)、本当に僕ら、X JAPANは幸せです。みんな、ありがとう」──YOSHIKI
そこから続いた新曲「La Vinus」の一節も泣かせたが、エクスタシー魂の持ち主であるファンが燃えるのは「X」。TOSHIも「やるときゃやれよ、暴れろよ!」と焚きつける。YOSHIKIも「24年ぶりの<エクスタシー・サミット>! イケるか!」と煽るわ、ドラをぶっ叩くわ、ドラをぶっ壊すわ、ハンパじゃない。PATA、SUGIZO、HEATHはセンターで横並びになってリフを刻む。ヴァイオレントっぷり全開のメタルこそ、彼らの真髄でもある。
アンコールも含め約1時間半のステージが終わり、これこそ本当に24年ぶりの復活である。そう、“無敵バンド”だ。司会も務めるGLAYのTERUが「いろいろ情報が入ったのは、ライヴ3日前ですよ。これか、これがYOSHIKIイズムかと」と言えば、LUNA SEAのRYUICHIは「あっ、洗礼を受けた(笑)?」と笑う。そこにお疲れ気味に出てきたTOSHIは「僕は今朝5時半ですよ」と衝撃の一言。思わず絶句する2人。いや、まだ甘い。こっちは何の情報すら入ってないわけですよ。これが真のYOSHIKIイズムですよ。お三方。
その3人が本日の無敵バンドのラインナップを紹介するが、客席から「信じられない」といった声が上がったのはドラマーを紹介したとき。L'Arc〜en〜Cielのyukihiroが無敵バンドのドラマーだった。ヴィジュアルと入ったフェスにL'Arc〜en〜Cielのメンバーが参加するところに違和感を抱くファンは多いとは思う。が、yukihiroはもともとゲリラというバンドのメンバーであり、<第2回 エクスタシー・サミット>にも出演している。ゲリラのヴォーカルは、後に東京ヤンキースを結成するUMEだった。またゲリラ解散後、yukihiroはZI:KILLに加入。エクスタシーからZI:KILLが発表した2ndアルバム『CLOSE DANCE』は彼が在籍時のアルバムなのは、知っているファンは多いはず。もちろん<第3回 エクスタシー・サミット>にも参加。そのつながりの深さからエクスタシー軍団の一人と呼んでもいいだろう。
「オマエら準備いいか。無敵バンド、行くぞ! 気合い入れていくぞ!」とYOSHIKI。その掛け声で始まったのは、無敵バンドのテーマソング的なセックス・ピストルズの「ANARCHY IN THE U.K.」。随所で巨大な無敵バンドの旗が振られるステージには、今日の出演バンドが入り乱れ、各所で名場面が展開。しかも誰も彼もがいい笑顔してる。さらにこの日は、プライベートでも親交のあるKISSのジーン・シモンズが素顔でゲスト参加。前から「お互いにアーティストだから何か一緒にやれたらいいね」と話もしていたというが、ここで実現するとは驚き。<第3回 エクスタシー・サミット>でメイクまでしてジーン・シモンズになり切ったライヴを披露したGEORGEは、メチャクチャ嬉しそうに絡む。
同日夕方に行われた記者会見では「無敵バンドというのは、マンガみたいな名前なんですけど(笑)。“みんな無名だった…だけど無敵だった”という僕らのスローガンのもとに結成されたバンド。誰にもチャンスがあるんだ、夢を持っていこうよ、みたいな感じのバンドなんです。ドームクラスの方から、ライブハウスで始めたぐらいの人達も、一緒に同じステージに立つっていう。楽しみにしていますね。ただ、みなさん、殺気立っている方が多いので。どうなるんですかね(笑)」と語ったYOSHIKI。
いや、こんなにも友情や愛に溢れたバンドなんて、あまりないんじゃないか。それこそがエクスタシー魂。ここに復活である。
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