【ライブレポート】<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016>2日目前半「遊び足りねーよ! 遊ばせろ!」

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メインステージに2番目に登場したのは2017年にデビュー20周年を迎えるPlastic Treeだ。ギターを抱え道化師のようなメイクをした有村竜太朗の「Plastic Tree、始めま〜す」という脱力挨拶に始まり、オープニングは長谷川正のベースで始まった「イロゴト」。このバンドは変わらずに止まることなく進化している。4人が出す音が絵筆で情景を描き出すように絡みあい、空間をゆらゆらと漂うような有村のヴォーカルが何とも言えず心地よく、ライヴの定番曲「メランコリック」では研ぎ澄まされたスリリングな演奏で魅了していった。

Plastic Treeのペースにいつのまにか巻きこまれている感のあるオーディエンスは「幕張! 跳べ! 跳べ!」と煽る「マイム」でジャンプ。有村が「楽しかった?」と問いかけると大歓声が起き、「ねー。楽しかったね」と返し、浮遊感とエッジのあるビートが同居する「空中ブランコ」が終わるとスッとステージが真っ暗に。まるで蜃気楼のサーカスを見ているような錯覚に陥った。


2016年、結成10周年を迎えたheidi.のライヴは「泡沫」で幕を開け、爽快でキレのある演奏とメッセージが届いてくるヴォーカルでのっけからオーディエンスを楽しませた。義彦(Vo)は本イベントに出演できた嬉しさに感謝し、「せっかくなので、みなさんで思いきり暴れましょう」と多くの腕が挙がる中、リリースに先駆けてノスタルジックなメロディが光る「サクラアンダーグラウンド」を披露。恒例のナンバー「おまえさん」で盛り上げ、キャリアの中で培ったライヴ力を発揮した。


若手V系ロックシーンの中で異彩を放っているDEZERTは緊迫感と焦燥感のあるライヴを繰り広げた。真っ赤な照明の下、「おはよう」で全身全霊の歌と演奏を叩きつけ、千秋(Vo)はフロアに降りて、「手を挙げろ! 近づいてこい! 詰めろ! 後ろのオッさん、詰めてこい!」と煽り、年季の入ったロックファンをオッさん呼ばわりする怖いもの知らずの姿勢。が、そこには往年のロックが持っていた一触即発の危うさがある。ラストナンバーは“不安定でいい 孤独だっていい”と歌う「ピクトグラムさん」。「いつかなんて来ないぜ。今日、何か意義を残して帰ってください」と言い残してステージを終えた。

ここでインターバル。達瑯とGEORGEの2人に有村竜太朗が加わり、達瑯が有村に「今日をかなり楽しみにしてたっぽいね」と振ると「はい、千葉は地元なので」と笑顔に。次のステージの準備に時間がかかるため、急遽、トークを延ばすというミッションが入る。後ろまでぎっしりの場内の熱気が期待を物語っていた。


味の素スタジアムで2008年に開催された<hide memorial summit>以来、8年ぶりとなるhide with Spread Beaverの出演は本イベントの興奮を加速させた。巨大モニターに当時の映像が流れると大歓声。JOE(Dr)、CHIROLYN(B)、D.I.E.(Key)、I.N.A.(Pro)、KIYOSHI(G)、K.A.Z(G)の伝説のメンバーが定位置につき、hideの生前の映像やヴォーカルと共演する形で演奏された幕開けのナンバーは、あまりに有名な「ROCKET DIVE」。hideを生で見たことがないオーディエンスにとってはミラクルな光景、そして彼を追ってきた人たちも再び、こんな日が訪れることになるとは思っていなかったに違いない。MCもhideの声を使って「東京! 幕張! お客さん! どうだよ!」と煽るという、盛り上がずにはいられない構成だ。

さらに、鋭さと重みを増したhide with Spread Beaverの演奏により、「BEAUTY&STUPID」が鳴らされ、エキサイトする中、スクリーンにクリスタルピアノの前に座るYOSHIKIの姿が映し出されると「マジか?」とばかりの怒涛の大歓声。「GOOD BYE」を奏で、hideの歌とのコラボが実現した。

「本当に長い間、hideのことをずっとずっと応援してくれてどうもありがとう。両親も弟もSpread Beaverのみなさん(各自の名前を呼んで)も、みんなのおかげでhideがまだ生きているような……」とYOSHIKIは涙で声を詰まらせ、「がんばってくれているから、こうやってみんなもhideのことを忘れずにいると思います。心から感謝しています」と語りかけた。

そしてピアノで「ピンクスパイダー」を弾き始めるとメンバーの演奏が加わり、YOSHIKIはhideのトレードマークだったギター“イエローハート”でCHIROLYNやK.A.Zと絡んで楽しそうにプレイ。

YOSHIKIが去った後はモニターが砂嵐になり、パンキッシュなナンバー「DOUBT」を演奏、「遊び足りねーよ! 遊ばせろ!」というhideの煽りでメンバーも走って場内を挑発する「everfree」へ。

そしてCHIROLYNが「幕張! 帰ってきました! 8年ぶりだな。スペシャルなゲストを呼んでます。誰だと思う?」と問いかけ、ステージにPATAが登場。「よっちゃんに呼んでもらえて幸せです! 天にいる人はもっと幸せだと思うんだよ!」と続け、テープが舞う中、PATAを混じえての「TELL ME」で大熱狂の中、再びレジェンドとして語り継がれるであろうライブは幕を閉じた。

取材・文◎山本弘子
写真◎VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powered by Rakuten

■<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powered by Rakuten>

2016年10月14日(金)、15日(土)、16日(日)
会場:幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール
開場8:00AM/開演9:00AM/終演10:00PM(予定)
※10月16日(日)は終演9:00PM(予定)
※チケット全券SOLD OUT

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