【ライブレポート】<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016>1日目前半「この3日間でみんな“無敵”になれそう」
来年10周年のアニバーサリーイヤーに突入するDaizyStripperは、ドラムの風弥が弾くピアノの弾き語りで幕開け。抜けのいいハイトーンヴォーカルが特徴的な夕霧が歌い出したのがhideの「MISERY」のカバーだと分かると、観客がざわめく。「短い時間ですけど“瞬間の美学”でいこう」とこのイベントならではの言葉で夕霧が煽った後は「STARGAZER」「STAY GOLD」など、希望感がたっぷり詰まったメロディックチューンを投下。「VISUAL系最高だよ。これからは俺たちとお前たちでVISUAL系を守っていくぞ」と最後に宣言した夕霧の言葉は、格別の響きがあった。
次にSUMMIT STAGEに現れたのは、かまいたち。昨年一夜限りの再結成を果たした彼らが、再びこのステージでも復活。ドラムのCRAZY DANGER NANCY KENchanは当時のように髪の毛を赤く染め、ツインテールにまとめてスカート姿で可愛く登場。「かMARCH」からサウンドはどこどこゴリゴリと気合十分。こんなヴィジュアル系がいたんだぞといわんばかりに当時と変わらないパンキッシュで疾走感あるスラッシーな音を会場いっぱいに放つ。来年1月14日に新宿ロフトでワンマンをやることを伝えた後「I LOVE YOU」の感動を再び「KILL YOURSELF」で吹き飛ばし、大人になったいまもみにくいあひるの子らしく場内をぐしゃぐしゃにして彼らは舞台を去った。
次のアクトはユナイト。メンバー全員黒い衣装で登場し、「small world order」でライブは幕を開けた。ヴォーカルの結が“幕張メッセの皆様、いただきます”と手を合わせて始まったのは「ice」。曲からは想像できないような切れ味鋭い言葉を並べた刺激的な歌詞に耳が奪われる。「夢のような空間に立てて嬉しいです」と結が挨拶した後はヘヴィな振り付きナンバー「Love Duck Core Nothing」、アッパーチューンの「ジュピタ」など、メンバー全員が楽曲制作をするバンドらしく、様々なタイプの曲を披露。最後はXジャンプをしてライブを締めくくった。
照明でステージが真っ赤に染まった頃“ノクブラ”ことNOCTURNAL BLOODLUSTがやってくると、フロアにはサークル、モッシュなどの熱い肉弾戦を待ち受ける部隊がひしめき合う。1曲目の「DESPERATE」からヴォーカルの尋は上半身裸で、その体は血まみれ状態。ゴリゴリの低音が響きわたる中、彫刻のような筋肉を使い分けて繰り出していく彼ならではの歌とシャウトの七変化も、メタルコア、デスコアなどテクニカルに変化していく轟音サウンドも、ノクブラがやるとすべてが荘厳なアートを見ているかのような美学を放っていく。歌、演奏、動き、それも圧巻のステージングだった。
そして、SUMMIT STAGE3組目に現れたのはBY-SEXUAL。4人はティーンエイジャーの頃、衝撃的デビューを飾ったバンド。そのときのトレードマークだったヘアを懐かしむように、この日SHO(Vo)は金髪、RYO(G)は赤、DEN(Ba)は緑、NAO(Dr)は青と髪の毛をド派手なカラーに染めて登場。「来たぜ幕張! 僕たちBY-SEXUALは5年ぶりなんですけど(笑)、お互い手加減なしに楽しもうぜ」とSHOが伝え、「HYSTERIC」など懐かしいナンバーをスピーディーに連発。そして「今日はスペシャルゲストを招いてやってみよう」といってSHOが呼び込んだのはGLAYのHISASHI(G)。予想外のゲストに客席がヒートアップするなかで、デビュー曲にして代表曲「BE FREE」をコラボ。HISASHIは積極的に舞台を走り回り、バイセク再復活のステージに花を添えた。
メタルバンドの重鎮Gargoyleはステージに現れるなり「完全な毒を要求する」、「HALLELUYAH」を続けてアクト。頭からKIBA(Vo)の力強い歌と、KENTARO(G)の凄まじい速弾きソロで観客の心を鷲掴みにしていく。KIBAは来年30周年を迎えるバンドについて「俺らは他のバンドと違って1度も休んだことがない。好きなことをやりたいようにやってれば楽しくやれるからさ」と説得力あるアドバイスを後輩バンドたちにプレゼント。30年走り続けても変わらないエネルギッシュなステージを幕張に刻みつけた。
「lynch.です。よろしくお願いします」と葉月(Vo)の丁寧な挨拶から始まる彼らのライブはこの日「LAST NITE」でスタート。「今日は僕が尊敬する大先輩たちの首を取りにきました。ここにいる全員lynch.を好きになってもらいます。ようこそ処刑台へ!」と葉月がいい「GALLOWS」を投下。続く「pulse_」では「全員やらせてもらえませんかね。SEXしようぜ! いただきまーす」と葉月らしい丁寧語の煽りが炸裂。シャウトと歌心を持った艶っぽい歌声、安定した演奏力で観客をどんどんヒートアップさせていき、最後に葉月が「今日初めて観た方、どうか末長くお願いします。幸せな人生をお約束します」という言葉で観客全員のハートを見事に奪い、彼らはステージを後にした。
取材・文◎東條祥恵
写真:VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powered by Rakuten
関連リンク
◆<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016>3日目後半「またみんなと会えるよう、俺たちも頑張っていくから」
◆<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016>3日目中編「胸を張ってヴィジュアル系をやってると言える」
◆<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016>3日目前編…朝からライブハウス化。午前帯6組の真剣アクト
◆<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016>2日目後半「みんな無名だった。だけど…無敵だった」
◆<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016>2日目前半「遊び足りねーよ! 遊ばせろ!」
◆<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016> オフィシャルサイト