パンクからキャラソン・アニソンまで、SONARを駆使するパフォーマー&コンポーザー、エンドウ.(GEEKS)の曲作りの秘密を聞く vol.1
■ジミヘン=すごい! でも何がいいんだろ?
―― ちなみに好きなギタリストって?
エンドウ. 好きなギタリストをいつも聞かれて困るんですけど……。一番聴いたのはなんだろなあ……。ま、ジミヘンを一番聴いてたかなと思うんですけど、いまだによさがわからないんですけど(笑)。「ジミヘン イコール すごい!」っていうのがずっとあって。で、聴いてて「すげー、すげー」と思うんだけど、「でも何がいいんだろ? 曲そんなよくないしな」って、いつも思ってるんですけど。
―― (一同笑い)
エンドウ. でもやっぱりジミヘンが……。
―― なんか歌声がお経みたいですもんね。
エンドウ. そうなんですよ、わかります。一番好きなのはMETALLICAと……、あとGREEN DAYですかね。あと、ブライアン・メイとかかなあ。好きなバンドのギタリストになっちゃうんですけど、やっぱり。
―― ああ、なるほど。
エンドウ. QUEENとか好きなので。ビートルズも大好きなんですけど、まあ、ギターとしてぜんぜん……。「あれ? そうか、ジョージ・ハリスンがギタリストか」ぐらいの(笑)レベルで。あと、キース・リチャーズはギターはあんまり聴いてなかったなあ。あと、ジョー・サトリアーニとか、ギタリストものにはまってた時期があって。そういう時はエリック・ジョンソンとかジョー・サトリアーニとか、いわゆるギタリスト単体でやってる人みたいのを聴いてましたね。
―― 中学からギターを始めて、コピーとかもやってたと思うんですけど、コピーしてたミュージシャンって……?
エンドウ. 僕、コピーってほとんどしたことなくて。NIRVANAをちょっとパワーコードでやってたコピーバンドの時期以降、ずっとオリジナルでバンドやってたので、ぜんぜんコピーやってこなかったんですよ。ぎりぎり、DEEP PURPLEの「Burn」のギターソロをコピーしようと高校3年生の時に一瞬やったことがあったかなっていう。高校卒業した後かな。そんぐらいですね。
―― コピーをやってないと「なんか弾いてよ」言われた時困りません?
エンドウ. 絶対できないんですよ!
―― 困りますよね。飲んでる時に女の子とかに言われてもできないんですよね(笑)。
エンドウ. できるわけないっすね!
―― (一同笑い)
エンドウ. もう、だからC-G-Am-Em-F-Gって弾くしかないんですよ(笑)。
―― それしかないんですよね。アルペジオひたすら速く弾くとか(笑)。ハッタリきかないですよね。
エンドウ. ほんとそうですね。まさに。
■「アニメが大好き」からアニソン歌手のサポート、楽曲提供へ
―― では、アカツキ.の後は?
エンドウ. アカツキ.をやって、その後、GEEKSっていうバンドを組むんですね。1年ぐらい間が空いてかな。GEEKSを組んだのが2008年なんですけど。それでバンド一本でずっとやりつつ……。自分以外の人に曲を提供するようになったのが、2011年か2012年ぐらいからで。そこからは、バンドと作曲家でやってますね。それまではずっとバンドだけでした。
―― GEEKSはゴリゴリのギターものって感じじゃないですか? 一方で提供曲はほんとに多彩な曲づくりで……。
エンドウ. 僕、もともとアニメが大好きで。たまたま知り合いがアニメ系のレコード会社に勤めてて、それでアニソン歌手をサポートする機会があって、そのつながりから、だんだん曲を作るようになって。
―― ただ、アニメが好きだからあの曲が作れるかっていうと別な話な気がするんですが。
エンドウ. そうですねえ。音楽はよく聴く方だなと思ってたんですけど、よく聴いてればなんとなく……たとえば「フラメンコ作って」って言われたらフラメンコの音源聴けばなんとなく研究できるじゃないですか? 「パンクっぽいの作って」って言われたら、いくつも聴いてれば「なんとなくこうか」っていう感じで。アニソンが大好きだったんでアニソンを聴いてればなんとなく作れましたね。
―― 源流にはあるんですかね。子供の時に好きだったゲーム・ミュージックが。
エンドウ. そうですね。ゲーム・ミュージックと、あと短い期間だったけど、一回打ち込みをやったことがあったっていうのが。「ああやって時間軸に並べればいいんだ」みたいなのが、なんとなくわかってて。あとバンドをやってるんで、リズムがあってベースがあって、ギターとかちょっとウワモノがあれば成り立つなっていうのはなんとなくわかってたんで、そんなに苦労はなかったですね。
―― 作曲などのツールでSONARを使っているとのことですが、使い始めたのはいつごろ?
エンドウ. 一番最初のオーディオインターフェイスがオンキヨー(ONKYO SE-U77(H))だったんですよ。パソコンにオーディオインターフェイスが必要だってのも初めて知って。ツマミもなにもないシンプルなやつで。そのあとにローランドのFA-101。あれにSONAR LEが付いてたんですよ。それでSONARを始めて。ずっとLEを使ってたんですけど、ちゃんと買おうと思って買ったのが、「SONAR HOME STUDIO 6」ですね。その当時はオレンジ色のパッケージだったと思うんですけど。
▲ローランドの「FA-101」(左)は、最大24ビット/192kHzの同時録音再生に対応したFireWireオーディオ・インターフェース。「SONAR HOME STUDIO 6」(右)は、2007年発売のSONARシリーズのエントリーパッケージ。当時発売されていたSONAR Producer 6 Editionのテクノロジーを受け継いでいる。プラグインとサンプル・ライブラリを追加した「SONAR HOME STUDIO 6 XL」も同時発売。当時、SONARシリーズはローランドから発売されていたが、現在のバージョンはTASCAM Professional Softwareから発売されている。
―― GEEKS結成の頃にはもうDAWは使っていたんですか?
エンドウ. 結成の時はすでに。その時はHOME STUDIO 6で作っていました。2008年かな。
―― アカツキ.の頃は?
エンドウ. アカツキ.の頃もSONARですね。当時、2004年かな、SONAR LEだと思うんですけど、それでやってましたね。
―― じゃあ、わりと早い段階で実はDAWも触っていたと……。
エンドウ. そうですね。でも当時ちゃんとしたパソコンを持ってなかったので。当時はローランドの「VS-2400」っていうでっかいMTRを使ってて。それが確かCD-RでWAVに書き出せたんですよ。録音した音源をパソコンに入れて、SONAR使ってやってたんですよ。当時はローランドで全部固めてたんで。
―― じゃあ、MTRはVSシリーズが最初ですか? カセットとかには行かず?
エンドウ. あっ、一番最初のMTRはTASCAMです。高校生の頃に。カセットテープの。TASCAMの4トラックを買ってました。テープのMTRって言ったら。その後、MDのMTRが出た時に、もう時代が変わったような感じがしたんですけど、あれはどこからでしたっけ? ソニーでしたっけ? あとはヤマハだ。
―― ヤマハが出して、ソニーが出して、そのあとTASCAMも564っていうのを出して……。
エンドウ. 懐かしい……。テープの時は再生スピードを変えられたんですよね。その効果がおもしろくて、いろいろ遊んだりしてましたね。
―― じゃあ、高校生の時はすでにもう宅録を……。
エンドウ. やってましたね。
―― やってたんですね。
エンドウ. やってました。宅録はやってました。バンドでもやってましたし、その数年後に打ち込みもやってましたし。MTRはずっとですね。ライブハウスに出るのにデモテープを作らなければいけないというのを知って……。
―― ありましたねえ。
エンドウ. で、その録音するレコーダーを持ってないんですよ。レコーダーって当時はそんなになかったはずなんですよ。レコーダーって言ったらMTRにマイクをつなぐしかなくって。それで作ってましたね。90年代なかばから後半に使ってましたね。
―― ピンポン録音とか。
エンドウ. ピンポン・ピンポンしまくって。本も小さい、写真もないような「デモテープの作り方」みたいな本を読みながら、まずはパンを左右に振ってとか……。トラックが足りない場合は2本でドラムを録っちゃおうとかやってましたね。
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