【音楽ギョーカイ片隅コラム】Vo.36「『ママたちが非常事態!?』を見て思う本音」

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テレビ番組の見たいものを録画はしても、相当頑張らないと鑑賞するまで至れないほど自分の時間を容易には生み出せずに寝落ちする日々。これは命を預かったこと、育てたことのある経験を持つ方にはお分かり頂けると思います。

先ほど、先日放送されたテレビ番組・NHKスペシャル「ママたちが非常事態!?」の第2回放送分を数日遅れでようやく見ることができました。非常事態とまでは言いませんが、そこそこ厳しい環境下にいる母である自分は第1回目の放送を見た時同様、この番組のおかげで心が軽くなりました。

掲げた番組テーマが「最新科学で迫るニッポンの子育て」であった通り、子育てをしている中で母親が抱くもどかしい感情の起伏一つ一つを科学で原因を解明し、「母親が悪いわけではない」と証明してくれるという内容に、目から鱗、いや、涙が落ちるほど、負い目や不安から解放してもらえました。誰にも言わないけれど、日頃抱えている苦い想いを代弁してくれ、尚且つ、不安な心内を「あなたのせいじゃない」と肯定してくれる科学的見解に救われたお母さんも多かったのではないでしょうか。


この番組からは、母親と父親の違いや母親の特性を理解し、皆で母と子を支え合っていく世の中作りの必要性を視聴者に促す意図が感じられました。確かにそれもそうなのですが、現在、(そこそこ)非常事態中のママの一人として言えることは、他の誰でもなく、子のもう一人の親であるパートナーに理解してサポートしてもらえれば、それで大体のことは解決できるというその一点だと思います。ですから、この番組の2回放送分のどちらも、男性が、特に子を持つ男性が見て理解し、育児をして、素敵な父親になって欲しいなあと思いました。

そして、パートナー不在、またはパートナーから協力を得ることが難しい環境にいる場合には行政と周囲の手助けが必要です。

子どもや年配の方、そして育児、介護を担う人々に対して優しくない日本社会において、このような番組放送の意味は大きいですし、ママ友という文化があるのは日本くらいだという記事を目にしたこともありますが、それほど助けてもらえる家族が周りにいない人が多く、乳幼児を育てているお母さんたちが孤立している国も珍しいのではないでしょうか。

奔放そうだと言われる私でさえ、1年前の今頃は、夫が仕事で外に出ている時以外、生後数ヶ月の息子とずっと対峙し、話し相手も時間も得られず、鬱になるんじゃないか、この子をいつか殺してしまうんじゃないかという考えさえ頭を過ることが何度かありました。思い出しても自分を恐ろしいと感じますが、それほど追い込まれていたということなのだろうと、「今」だから思えますが、当時は思い悩みましたし、そんな自分に落ち込んでもいました。

今もモヤモヤした思いがすべてなくなったわけではありませんが、知識を得ることや外へ出ていくことで、心がどんどん軽くなってきています。すべてを丸ごと「母であることの意義」と受け入れて、協力を仰ぎ、不安はできるだけ取り除いて自分を責めることをやめる。そして笑顔でいようと、目下意識を切り替え中です。視点や思考を少し変えるだけで気づけることがたくさんあり、子育てをより楽しむことができています。


今回「人間の子育ては、一人ではできないようになっている」ということを明確に提示してもらえたことで、かつての私のように孤育てに苦悩している母親たちが不必要に自分を責め、頑張りすぎて心身を壊すようなことなどがないように、そしてまた、頼れる家族がいない場合には、積極的に外へネットワークを持つようにしようという母側の意識変化が生まれることと、子育てには周囲の協力が必要であるという認識が多くの人の心に芽生えることに期待します。

最後に。以前も音楽ギョーカイで働く女性について触れたことがありましたが、どのギョーカイで働こうとも、仕事の場において母である女性が抱える問題には物理的なものと精神的なものが存在し、中にはどうにもならないこともあると自分自身感じています。可能な限りの解決を自他に望みつつも、限界もあるということを踏まえ、無理強いや押し付けを他人にも自分にもすることなく、節度をもって前向きに取り組み続けることで周囲からも理解や助けを得られるような気がしています。


◆早乙女“ドラミ”ゆうこの【音楽ギョーカイ片隅コラム】
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