【インタビュー】doa 、10thアルバム完成「相手がいて初めて成り立つ自由がある」
■大人になると楽しさを分かち合える
■そういう喜びを知るためにも、もっと自由になってほしい
──では、続いて歌詞に関する話を。歌詞は“大人の自由”というテーマを軸としつつ、“いくつになっても夢を忘れるな”ということと、“愛することの素晴らしさ”を描いた歌詞が並んでいます。
徳永:結果的にそうなりましたね。
──「そういうことを歌おう」とみんなに言ったのでしょうか?
徳永:いや、一切言わない(笑)。車で聴いたら良い感じにしたいね……くらいの本当にザックリしたことは言うけど、こういうことを歌おうと話し合ったことはないよね?
大田&吉本:ないない。いつも好きなように書いています(笑)。
──今回はどういう風に振り分けて歌詞を書かれたのでしょう?
吉本:僕は「I don’t know why」と「YOU & I」を書いたんですけど、「君はMILLIONDALLARS」と同じように、この2曲も仮の英詞がついていて、しかもそれがフィットしていたんですね。doaの曲は英語が合うんですよ。それでいろいろやってみたけど、「I don’t know why」は、どうしても日本語が乗らなかった。これは英語やなと思って頭を切り替えたら、10分くらいで書けました。
徳永:吉本君は英語のほうがメッチャ早いよね(笑)。
吉本:早い(笑)。英語のほうがメロディにハマる言葉が出てきやすいんですよ。だからテーマを見つけやすいし、楽曲に対してすごく素直にアプローチできる。日本語で書く時は、どこか構えてしまうようなところがあって、難しいんですよね。ただ、この曲の“I don’t know why”というリフレインは、日本語で考えていた時に“なんでやねん”という言葉を入れていた気がする(一同笑)。
徳永:たしかに関西弁で訳すと、“なんでやねん”だ(笑)。
吉本:そう(笑)。「YOU & I」は、大人の愛情ですよね。直接的には男女の歌ですけど、友だちとか仲間、ビジネスパートナーといった自分の身近なところにいる大事な人にも置き換えられるような歌詞になっています。
──日本の男性は長年連れ添っているパートナーへの愛情を口に出せない人が多いので、この曲は共感を得ると思います。
徳永:カラオケとかで、奥さんにこの曲を歌って聴かせたらいいんじゃないかな?(笑)。
大田:いいね。それで「アンタどうしたの?」と言われるという(一同笑)。
吉本:ははは!!(爆笑) 逆に、「なんか、やましいことでもあるんじゃないの?」と疑われるかもしれない(笑)。
大田:愛情表現が修羅場を呼ぶという(笑)。僕は今回、「君はMILLIONDOLLARS」「ニュー☆スター」「LADYLUCK」「SING A BLUES」「真冬の花」の歌詞を書きました。結構多いけど、スンナリ書けたものがほとんどでしたね。僕はいつもメロディーにインスパイアされて歌詞を書いていて、「LADYLUCK」も「SING A BLUES」もすぐにイメージが浮かんだという。「君はMILLIONDOLLARS」は、さっき話があったように吉本君からかなり遅めに振られてしまったので、ちょっと大変でしたけど(笑)。「ニュー☆スター」は、最近テレビで見たクリント・イーストウッドやICHIRO選手を登場させて、楽しみながら書きました。誰でも輝ける瞬間があるから、前向きにやっていこうぜという歌詞になっています。
──「SING A BLUES」はその名の通りブルース。
大田:オヤジの歌(笑)。気持ちが沈んだオヤジが誰かブルースでも歌ってくれよという気持ちになっているという情景を描きました。ただ、主人公は人生の敗北者ではない。僕らくらいの年代になると、誰もが内面に悲哀や痛みの一つや二つは抱えていると思うんですよ。それに、辛いことがあって落ち込んだりとかね。前向きに生きていても、こういう気持ちになる時もあるよね、ということを歌っています。
──悲哀を描きつつドロドロしていないのはdoaらしいです。逆に、「LADYLUCK」は、若さに通じる強い熱情を綴っていますね。
大田:2015年の夏は、ロックのライブを観る機会が多くて。それを意識したというか、若い頃の気持ちに帰ったというか(笑)。ハードロックをやっていた頃の自分に戻った感じで書きました。熱い恋をしている若い人は自分の気持ちを託せるだろうし、大人のリスナーには、そんな時代もあったなと懐かしく感じてもらえると思います。
徳永:いや、俺ら世代でも、これくらい誰かを熱く想っている人はいるかも(笑)。僕が書いた歌詞に関しては、「FREEDOM × FREEDOM」は、自由は意外と身近なところにあるから、それに気づいてほしいという曲です。“FREEDOM”ではなくて“FREEDOM × FREEDOM”にしたのは、相手がいて初めて自分の楽しいことも成り立つということを表現しているんですよ。自由と自由を掛け合わせようと。サビで、“FREEDOM × FREEDOM 君と走りだそう”と歌っているのは、君がいないとどうしようもないということを言いたかったんです。ラブソングの形を採っているけど、“君”というのは異性だけじゃなくて、友人だったり、趣味の仲間だったり、仕事仲間だったり。相手がいて初めて成り立つ自由があって、それは自分たちが若い時に感じていた自由とはちょっと違っていますよね。
──年を取ってからのほうが趣味などを追究するようになって、若い頃よりもディープな世界を楽しめると言いますよね。
徳永:だから大人はもっと遊んだほうが良いし、趣味も見つけたほうが良いと思う。自分の趣味を追究すると、同じように追究している人と自然と出会って、もっと深いところにいけたりするし。
大田:それはあるね。
吉本:その同意は、完全に釣りのことでしょう?(笑)。
大田:うん(笑)。
徳永:あはは(笑)。若い頃は“自分の世界”という感覚が強いけど、大人になると楽しさを分かち合えるから。そういう喜びを知るためにも、もっと自由になってほしいなと。「Run to you」は仲直りしたい男が主人公で。結局、相手を迎えにいってしまうという歌詞なんですけど、みんな好きな人のために仕事をサボって迎えにいけばいいんですよ(笑)。
吉本:欧米人は、仕事よりも家族を優先するよね。メジャーリーガーとかは奥さんが出産するからって休んだりするし。
徳永:そう。日本もそういうことが当たり前な社会に変わったほうがいいと思う。どんどん“Run to you”してほしい(笑)。「見つめていたい」は、カメラやハンディカムのファインダーからヒントを得て作った曲で。お子さんとか、恋人とか、ペットでもいいのかもしれないけど、自分にとって大切なものへの愛情を描いた歌詞です。
吉本:ストーカーの曲じゃないんですね?(笑)。
徳永:違うって(笑)。いや、この曲は、僕が歌うとストーカーみたいになってしまうんですよ。“もっともっと見つめていたい”というところとかが特にヤバい(笑)。だから、爽やかな吉本君が歌ってよかったと思います。
吉本:最初は徳永さんが歌っていたんですけど、ヘッドフォンで聴いたら濃過ぎて(笑)。
大田:嫌な気持ちになった(笑)。
吉本:ファインダーの意味合いが違ってくる……みたいな(笑)。
徳永:あはは(笑)。「Kiss Me」は、長年連れ添った相手がキスしてくれないという歌です。もう自分で“Kiss Me”と言ってしまうという(笑)。それも何回も。
吉本:“チューして”じゃなくて“Kiss Me”としたところに、徳永さんの恥じらいが感じられる(笑)。
徳永:俺がこの声で“チューして、チューして~”と歌っていたらヤバいって(笑)。
吉本&大田:変態っぽい(笑)。
徳永:だろ? これもまたストーカーの歌になっちゃうから、ちょっと濁して英語にしたんだ(笑)。奥さんにキスしてほしい人は、この曲を夜とかに聴かせるといいと思う。
大田:それで、「アンタ、なんかあったの?」みたいな(笑)。
──「YOU & I」に引き続き、奥さんが首をかしげるという(笑)。
吉本:「うちの旦那がdoaを聴いて、おかしくなった」みたいな(一同笑)。
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