【ライブレポート】アンジュルム 福田花音、アイドル人生に終止符。「11年分の愛があれば、どんなことでも乗り越えていける」

ポスト

大きな「花音」コールが、ピンクのペンライトが敷き詰められた日本武道館を包み込む。アンコールでは、ピンクを基調としたドレスを身にまとった福田がステージ中央に歩みを進め、そして卒業の舞台のために自ら選んだ「私の心」を披露。さらに、ピンク色に染まった八角形の空間の中で、1万人のファンとメンバーに見守られながら、卒業に際しての手紙を読む(手紙の全文は11月29日21時16分掲載記事『福田花音、アンジュルムを卒業。「“2人でスマイレージを守っていこうね”と言った約束は果たせたんじゃないかな」(最後の手紙全文)』で掲載済み)。

「芸能界のことなんて、何もわからないけど、ただただハロー!プロジェクトが大好きで、ハロー!プロジェクトのアイドルになりたくてオーディションを受けた11年前はこんなにステキな景色を見られるとは思いませんでした。」

「振り返ってみれば、ファンの皆さんに元気をもらったり、ときには塩対応で振り回したり、「釣った魚にはエサをあげないタイプだねー」なんて言われたり、好き勝手やらせてもらって、ある意味、ハロー!プロジェクトの歴史を変えちゃってきたかと思いますが、とにかくこの11年間の毎日が楽しくて仕方なかったということだけは、胸を張って言えることができます。」

「アンジュルムのリーダーはあやちょにしかできないなと思います。あやちょと私は本当に磁石のNとSで真逆なんだけど、なぜか一緒にいると落ち着いたり、しっくりきたりします。」

「初期メンバーの2人が卒業したとき、「2人でスマイレージを守っていこうね」と言った約束は果たせたんじゃないかなって、私は思っています。2人でスマイレージを守り続けてきて、2期メンバーに継承できて、3期のメンバーが加入して、アンジュルムとして再始動して、今とっても勢いがあるアンジュルム。このグループを去ることに寂しさはありますが、不安はまったくありません。」

「いつかアンジュルムが大ブレイクするときのヒット曲を“作詞家 福田花音”が書かせていただけたら幸せだなと思います。いや、絶対に叶えてみせます!」

そんなメッセージをメンバーとすべてのファンに送って、「旅立ちの春が来た」を9人で歌い上げ、そしてスマイレージのインディーズ3rdシングルだった「スキちゃん」で会場を再び熱く燃え上がらせる。オーディエンスも昔から親しんできた「かにょんがスキちゃん!」のコールに声を合わせ、そして華々しく福田花音の卒業公演を締めくくった。

もっともアンコール終了後、客電がついてもなお続く「花音」コール。その声に背中を押されるように、福田は再びステージ上に姿を現す。そして最後にファンに再度、感謝の言葉を述べて、ハロプロエッグからスマイレージ、そしてアンジュルムと続いた約11年のアイドル人生に終止符を打った。

「今までみなさんが応援してくださった11年分の愛があれば、この先も私はどんなことでも乗り越えていけるんじゃないかなって思います。何よりも今日のライブが私の人生にとって一番の宝物になりました。本当にありがとうございます。私たちに楽しいこととか辛いことがあったように、ファンのみなさんにも悲しい思いをさせたりとか、時には一緒に喜びを分かち合えたりとか、いろんな感情をみなさんと一緒に乗り越えてきたんじゃないかなって思います。みなさん、私がファンの方に対して結構ドライだなーって思っているかもしれないですけど、意外と顔とか名前覚えてますし、声とか聞けば思い出すし。塩対応しているつもりはないんですけど、みなさんに愛を伝えたいんだけど、なかなかそこまでは難しかったというか、永遠の課題だなって思います。こんな私ですが、これからも、明日からも作詞家という道に進んでがんばっていく私を応援よろしくお願いします。あらためまして、11年間本当にありがとうございました。福田花音でした。」

なお、本公演中にはアンジュルムの今後の体制について発表がなされている。まず新メンバーとして先日加入した上國料萌衣は、年末のカウントダウンライブで初パフォーマンスを披露する予定。さらに今後アンジュルムは、モーニング娘。と同じようにサブリーダー制を採用し、初代サブリーダーに中西香菜と竹内朱莉が就任した。

  ◆  ◆  ◆

2015年11月29日20時40分過ぎ、<アンジュルム ファーストコンサートツアー 2015秋 『百花繚乱』 ~福田花音卒業スペシャル~>終演。福田は、アンジュルムのメンバーとして残された時間に悔いを残すことなく、精一杯の輝きを放ちながらステージを降りた。

この日、日本武道館のステージ上にて、昔から変わらない笑顔と天使の涙というドレスをまとって煌めいた福田花音。過去、周りから微かな笑いと生温かい眼差しとともに受け入れられ……いやむしろ受け流されていた“シンデレラの生まれ変わり”という彼女のフレーズがあったが、この日の彼女の姿は、誰もが納得の“シンデレラの生まれ変わり”だった。そしてさらに言うと、アンジュルムのメンバー、スタッフ、ファンに見守られながら、そして先輩たちの背中を追うように、彼女もまた、この日本武道館で21時までのシンデレラだったのかもしれない。

……なんていう、若干マロテスクな言葉を、彼女のアイドル人生ラストステージのレポートの最後に記しておきたいと思う。

text and photo by ytsuji a.k.a.編集部(つ)
special thanks to リックちゃん

この記事をポスト

この記事の関連情報