【インタビュー】Anly、「太陽に笑え」は未来や今の自分へのメッセージの歌かな
11月25日にリリースとなるメジャーデビューシングル「太陽に笑え」がドラマ『サイレーン刑事×彼女×完全悪女』の主題歌としてオンエア中のAnly。彼女は沖縄の離島・伊江島出身の18歳のシンガーソングライター。幼い時から父親が聴いていたエリック・クラプトンなどの洋楽サウンドとギターと共に育ったという彼女は、日本人離れした感性の持ち主だ。これまでの彼女のプロフィールとデビューシングル「太陽に笑え」について聞いた。
◆Anly~画像&映像~
■歌詞は歩いてる時にポッと浮かんだものを書き留めておくんです
■後でギターをその言葉に合わせて弾いて唄いながら作ります
――Anlyさんは沖縄の伊江島出身なんですね。本島からはどれくらい?
Anly:フェリーで30分くらいの島なんですよ。テレビはあるけどインターネットはなく、CDショップもない。
――CDを買うにもひと苦労ですね。
Anly:はい。CDを買うには船に乗って海を渡らなければならないんです。小さいうちは一人で船を乗るのも禁止されていたので、簡単には買いに行けないし、インターネットもないからamazonで買うこともできない。だから、父が持っていたブルースとかロックのCDを聴いて育ったんです。エリック・クラプトンとかZZ Topとか。父の音楽ルーツがそのまま私にも根付いたという感じですね。
――ギターを始めたのも早いですよね。6歳?
Anly:はい。いつも夕方になると父が窓辺に座って歌を唄い出すんです。私もそれに合わせて一緒に歌ってたんですけど、たぶん、その時の顔が「ギター欲しいなぁ」っていう顔だったんじゃないですか(笑)。それで父が船に乗って子供用の小さい赤いギターを買ってきてくれました。基本的なコードを父に教わって、Am(エーマイナー)とか、ちゃんと綺麗に音が出せるようになったのは小学校3年くらいの時でした。その頃からノラ・ジョーンズとか自分の好きな曲を耳コピーして弾くようになりました。
――ほぼ独学ですね。綺麗に音が鳴るようになった時は嬉しかったでしょう?
Anly:はい。毎日触っていたら、ある日突然鳴るようになったんです。CDと同じコードを見つけることができた時もすごく嬉しかったです。「あぁ、弾けるようになってきたなぁ」って、小さいながらもそういうところに楽しさを感じていました。那覇のように遊ぶ場所がたくさんあるわけではないし、遊び道具がギターしかなかったので。
――環境的には自然がいっぱいっていうイメージだけど、野山を駆け回るよりもギターのほうが楽しかった?
Anly:はい。遊びには行くんですけど、ギターを触ってることの方が多かったです。遊びに行っても、家に帰ってきたら「もう寝なさい!」って言われるまでギターを弾いているっていう感じで。それが一番落ち着くんです。兄弟がいないので、ギターが兄弟の代わりっていう感じでしたね。
――一緒に歌えるもんね。
Anly:そう! 本当に一緒に育ったなぁって思います。
――曲作りを始めたのは中学校3年生ですよね。
Anly:はい。歌詞を書き溜めたり、ギターの曲をどう組み合わせたら曲になるんだろうって試し始めたのがその頃ですね。
――コピーしているだけでは物足りなくなったの?
Anly:小さい頃から歌うことが好きで、歌手になりたいっていつの間にか思うようになったんです。でも、歌手になるには歌も作らなければいけないんじゃないかなと思うようになって。歌うなら自分で作った曲がいいなって。その時に、ギターが弾けるから、できるかも!? 作ってみようって作り始めたんですよ。
――いつもどうやって作るの? コード進行から? 歌詞が先ですか?
Anly:東京に来てからはいろんな作り方を試しているんですけど、中学~高校までの間は歌詞から書き始めるっていうスタイルで曲を書いてましたね。今回の「太陽に笑え」や「Come back」とかは、歌詞から浮かんできた曲です。歌詞は歩いてる時でもポッと浮かんだりするんで、それを書き留めておくんです。後でギターをその言葉に合わせて弾いて、唄いながら作るんです。今ストックしてある曲の半分くらいはその作り方なんですよ。
――高校時代は那覇で過ごしてるんですよね。プロを目指すにあたって、ここまではどんな道のりがありましたか?
Anly:高校ではマーチング部に入って、トロンボーンを吹いていたんです。正月くらいしか休みのないすごく忙しい部活だったんですけど、その合間も曲は作り続けていました。でも、それを発表するにはどうしたらいいのかわからないまま、部活を頑張るっていう日々が続いて。部活は楽しかったけど、「自分が本当にやりたいことは歌なんじゃないの?」って、悶々とした悩みも抱えていたんです。
――音楽は好きだからトロンボーンも楽しいけど、好きな音楽だからこそ、「何か違う」っていう感じかな。
Anly:その通りです。「自分の曲を誰かに聴かせてみたい!」「唄いたい!」っていう思いも日増しに強くなっていたし。それで友達に相談したら、「Anlyがやりたいことをやらなきゃ楽しくないし、Anlyならきっとできるよ」って背中を押してくれたので、「本格的にプロを目指そう!」って決意して、高校2年の時に泣く泣く部活をやめたんです。で、その後、自分の生まれた伊江島で初めてライヴをしたら、見にきてくれた島の人たちが「いい歌だね」とか「いい声だね」って言ってくれて。もっといろんな人に聴いてもらいたいっていう欲が出てきて、那覇でもライヴをやり始めたんです。
――ライヴ活動を始めたら始めたで、また違う葛藤が生まれると思いますけど、それはどうでした?
Anly:いろんな人にアドバイスをもらうようにもなるので、自分の技術が足りないって思うことはしょっちゅうでした。ここはこんな風にやったら伝わるのかなとか、試行錯誤もありましたし。周りの人はすごく優しくて、「Anlyの歌、好きだよ」って言ってくれるから、そういう人たちにもっといい歌を届けたいなという思いも強くなっていったので、葛藤というよりは向上心の方が強かったですね。楽しいことの方が多かったです。
――人に聴かせることで、Anlyさんのパワーがさらに増していったっていう感じですね。
Anly:はい。自分とは違った環境で育っている人が聴いているにもかかわらず、共感してもらったり、伝わってるって感じた時は本当に嬉しいんです。そういう人に寄り添える曲を作りたいなってどんどん思うようになりました。最初は自分が作りたくて作っていたけど、人に聴かせることでいろんな捉え方をしてもらえるし、きっと、頭に浮かんでいる風景も聴いた人それぞれだと思うんです。それを思うと私も楽しくなってくるんですよね。
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