【対談】ミヤ (MUCC)×CIPHER (D’ERLANGER)、「何しろキーワードは“発狂”だからね」
■思ったら行動するタイプだと思ってるんで。あれこれ考えてみたところで
■結局、考えてるだけで終わってしまったら“無”と一緒なんで──ミヤ
──なるほど。実際にどういうことになるのかが楽しみです。ところで他の出演者については、CIPHERさんにとってはほとんど未知に近い顔ぶれということになるわけですよね?
CIPHER:よく知らないですよね。ギルガメッシュはうちのイベントに出てもらったことがあるので知ってますけど、それでも詳しく知ってるわけではないし。
──ミヤさんからすると、自信をもって先輩に薦められるバンドたちという感じの人選ということになりますか?
ミヤ:そういう自信は……あんまりないかもしれない(笑)。ただ、馬鹿だなとか、面白いなとは思ってもらえるバンドばかりだろうと思います。いずれも違った意味で。
CIPHER:まあ当日、どんなものかを感じたいですね。あらかじめ知っておくよりも、それがいちばんだと思うんで。
ミヤ:今回は二公演あるじゃないですか、大阪と東京で。そこでも結構、気持ち的に変わるというか、多分いろいろ起こると思うんですよね。見えないところでの変化というか。俺的にはそれが面白いだろうなと思っていて。
──つまりミヤさんは、他の誰よりもシナリオを描くべき立場ではあるけども、それを描き切れてはいないということですよね?
ミヤ:そうですね。そこは見えない部分に期待してるというのがあるし。見え切ってはいないけど何かが起こるっていう確信もあるし。
──CIPHERさん、こうしてDANGER CRUEを背負って立つ後輩が世代を繋げようとしているわけですけど、そういった動きについてはどう思いますか? 先日のLUNA SEAのフェスにもそういうところがあったと思うんですが。
CIPHER:素晴らしいと思いますね。ただ、自分にはできないというか、それをする気がないというか。だから……ミヤと話して、こういうことをやろうとしてるミヤの想いとかっていうのを受けたうえで、こうして向き合ってる以上、俺がそこで思うことは何事でも包み隠さずに投げ掛けるし、意見でもなんでもそれを救い上げてもらって、ちょっとでも足しになるんやったらそうしてくれたらいいし。あくまでそういう感覚ですね。LUNA SEAのあのフェスにしても、今回こうしてミヤが立ち上げようとしてるものについても、俺には真似のできないことですよ。そうしてみんながやってきたこと、やろうとしてることというのは、とても素敵なものだと思います。
──自分が自分であるままそこに居ることで何かしらの作用があるのならばそれは喜ばしいけども、それを自分から起こそうとは思わない、ということでもあるんでしょうか?
CIPHER:そうですね。
──そしてミヤさんは、それを有効に起こさなければならない立場にある。
ミヤ:そうですね。でも、俺からしてみれば、何かが起きるような人たちばかりを集めてるつもりだし、ちょっとおこがましいですけど、その人たちを自分が紹介しないといけないと思ってるんです。紹介される側のD’ERLANGERの皆さんは、ただ演奏してくれればいい。それでもう充分なので。あとはもう、とにかく他では観られないイベントというか。確実にそうなりますよ。なんかこう、他人がやってるのと違うことをやりたい気持ちって、普通あるじゃないですか。少なくとも自分がバンドをやっていく気持ちのなかにずっとあるものというか。同時に、他のみんながやってることに対して、なんか「ええっ?」と思ってしまう気持ちというのも、絶対ずっとあると思うんです。だからきっと、ここじゃないと観られないものになるはずで。そうじゃないと、俺自身にとって意味がないんで。
──最後に、お互いの関係性の話の“つづき”を聞かせてください。たとえ初期段階での憧れの対象だった相手であろうと、年月の経過とともにそうした気持ちというのは薄れていくことが多いはずだと思うんですよ。
ミヤ:わかります。でも俺の場合、CIPHERさんに対してそういうことは一切ないですね。
──結局、何にいちばん惹かれているんだと思いますか?
ミヤ:出てくる音、ですね。それだけです。リアルタイムなんですよ、常に。だからこの前、<LUNATIC FEST.>で観たD’ERLANGERが、俺のなかでのD'ERLANGER史上、いちばんカッコ良かった。それって……ちょっとあり得ないことじゃないですか? 結成当初のD’ERLANGERは、俺、観てないわけですよ。活動休止して、再結成して、というバンドはたくさんいるし、かつて好きだったバンドに対してはやっぱり今も好きだっていう気持ちがあるんですけど、そういうバンドのなかにD’ERLANGERみたいな存在って他に居ないと思うんです。なんか<LUNATIC FEST.>の時も……変な話、若手を観てるような気持ちになってしまって(笑)。失礼かもしれないけど、音から伝わってくる殺気から、そう感じさせられたんです。なんかもう、単純に「うわーっ!」でした。「うわーっ!」としか言いようがなかった。そこですね、いちばん惹かれてるのは。
──僕自身も普段から、D’ERLANGERのバンド力のすごさを言葉にすることの難しさを感じているんですけど、なんかすごくよくわかりますよ、ミヤさんの言い分は。今みたいな言葉を聞いて、CIPHERさんはどんなふうに?
CIPHER:どうなんですかね……。あの、ひとつ言えるのは、みんな……敢えてみんなという言い方をしてしまって申し訳ないけども、みんな上手過ぎですよ。あと、同期を鳴らし過ぎです。こんなこと言っても「だから?」ということになるかもしれないけど、そういう風潮があるからこそ、俺らみたいなバンドが逆に際立ってきてるんじゃないのかな。だからこっちとしては都合良くもあるわけだけども。「こんなふうにやってみな」と言ってみたところで、多分できないだろうと思うしね。
──若手を見ているような殺気があると言われるのは、バンドとしても個人としても嬉しいはずですよね?
CIPHER:そうですね。なんていうのかな。「一体みんなは何を投げつけたいのかな?」と思わされることがあるんですよ。「何を奏でたいのかな?」と。それがよくわからないですよね。ギタリストが2人も居るのに、他にもギターが同期で何本も流れてたりとか。そこで「果たしてそれはキミが求めてることなのか?」と思うわけですよ。もちろん何をしたっていいんですよ。弾いてない楽器の音がどんなに重なってたっていい。だけど、ライヴってそういうものじゃないはずじゃないですか。そんなつまらない無茶はやめなよ、と言いたくなるんです。自分たちだけでやって、バッと合った時の気持ち良さというのがあるわけで。でも、そういうバンドが居なくなってるから、ちょっと気持ちいいところもあるんです。ああ、みんな居なくなった、と思って(笑)。「そのうち帰って来るんやろうけど、できるかな?」って思ってる。そういうのがね、この年になったらモチヴェーションになってくるんですよね。バンドをやってる、D’ERLANGERをやってるモチヴェーションにね。
──後輩との付き合いにしても、疎遠になっていくものもあれば継続していくものもある。その分かれ目はどんなところにあると思いますか?
CIPHER:執拗に俺を誘いだそうとするその気持ちの有無、かな(笑)。
ミヤ:ふふっ。
──それは、ある種の我慢強さとも言い換えられるんでしょうか?
CIPHER:我慢強さというか、そこで躊躇しない気持ちですよね。いや、べつにほら、無理に会えばいいってもんじゃないし、音楽の話ばっかりするわけでもないから。
ミヤ:最初のうちはやっぱり、昔はこんなふうに聴いてましたとか、サウンドがどうの、ギターやアンプがどうのという話しかできずにいたんですね。というか、そういうところにしか入口を見つけられなかった。だからおそらく当初は「つまんねーやつだな」と思われてたはずなんですけど(笑)、最近はそういうこと以外の話をできるようになってきて。
──それ以外の話、というのが何なのかというのは訊かずにおいたほうが良さそうですか?
ミヤ:はい(笑)。
CIPHER:でもね、実際そういうところが大事なんですよ。単純にほら、会いたいという気持ちがね。恋愛とは違うけども、べつに誰彼構わず会いたいわけじゃないですから。そこでお互いが会いたいと思う人であれると、やっぱり嬉しいですよね。
──そして会いたいと思い、思われる関係を作っていくためには、躊躇なく、執拗に誘い続けることが……(笑)。
ミヤ:うん(笑)。やっぱ自分、思ったら行動するタイプだと思ってるんで。あんまり考えて行動しないんですよ。あれこれ考えてみたところで、結局、考えてるだけで終わってしまったら“無”と一緒なんで。
取材・文◎増田勇一
撮影◎ほりたよしか
■<COMMUNE Vol.1>
OPEN 15:30 START 16:30
出演:MUCC、D’ERLANGER、ギルガメッシュ、DEZERT、摩天楼オペラ
e+、ローソンチケット(0570-084-005/L:58779)
チケットぴあ(0570-02-9999/P:270-188)
CNプレイガイド(0570-08-9999)
(問)キョードーインフォメーション 0570-200-888
2015年9月5日(土)新木場Studio Coast
OPEN 15:30 START 16:30
出演:MUCC、D’ERLANGER、ギルガメッシュ、DEZERT、NOCTURNAL BLOODLUST
e+、ローソンチケット(0570-084-005/L:77223)
チケットぴあ(0570-02-9999/P:270-228)
(問)DISK GARAGE 050-5533-0888
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