【BARKS編集部レビュー】LEAR LCM-BD4.2、こんな低域、聴いたことない…

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使いこなしのポイントは、シェル上部にセットされている低域量をコントロールする半固定ポリュームのセッティングにある。昨今では切り替えスイッチや可変抵抗で低域の量を変えられるモデルも多くなってきたが、LCM-BD4.2の場合、そのセッティング幅の大きさが尋常ではない。つまみを絞り込んだ8時位置では、おそらく低域を司る2つのダイナミックドライバーの出力がゼロになると思われる。低域楽器のアタック成分は中域から高域まで広範囲に及ぶので、その存在自体が消えることはないのだけれど、いわゆる重低音が全くなくなってしまうので、なんとも味気ないサウンドになる。語弊があるかもしれないが、ちょうど高域偏重の1ドライバー・フルレンジサウンド…エティモティック・リサーチのER4Sをリッチにしたようなバランスと言った感じだろうか。

逆にボリュームをMAXまで開き切った4時状態になると、ウーファー様が分身しながら前面に踊り出て来たような低域偏重の低音まみれの世界が訪れる。普段から低域ダイスキーを公言している私は大概の低域量にはびくともしないけれど、いくらなんでもこれはやり過ぎでしょと言わざるを得ない低域支配的な世界となる。これでボリュームを上げた日にゃ、密着した外耳道から骨伝導で頭蓋骨が振動しまくる錯覚に陥ってしまう…いや、マジで振動しているかもしれん。要するにLCM-BD4.2は、極限をちょいと超えたところまで低域バランスをコントロールできる、驚きの可変量をもっているということだ。

8時から4時までの可変領域がある中で、個人的な感覚で言えば低域量は最大でも3時まで、といったところか。これ以上は中高域をどっぷりとマスクしてしまう。私が見つけた個人的最適ポイントは13:30、右上45℃の状態だ。この状態だと中高域へのマスキングをギリギリ抑えた状態で、存分にダイナミックならではの量感あふれる低域が堪能できる。曲によってはまるで棍棒でぶん殴ったかのインパクトも味わうことができ、大変テンションが上がる。


▲低域調整用の半固定ポリューム。付属の小さなマイナスドライバーで調整する。

LCM-BD4.2の使いこなしには、低域コントロールのスイートスポットを探ることが欠かせないわけだが、意外とこれが難しい。低域成分の存在にどれだけ依存するかは個人の感覚次第だけれど、最適と思われる微調整は使用プレイヤーや楽曲によっても印象が変わってしまうので、つまみ位置的に前後1時間ほどのブレが生じることだろう。この辺りも楽しんでもらえれば、LCM-BD4.2がとても楽しいカスタムIEMであることが分かってもらえるのではないだろうか。
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