【インタビュー】賛否を呼ぶあいみょん、濃厚でオイシイ1stミニALに「これで巻き返したいと思います(笑)」

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■同世代に、ジョン・レノンのこと大統領だと思ってた男の子がいたんですよ。
■そういう時代なんですよね……

──情念や執念みたいなものを歌う女性アーティストって、時代を代表してこれまでにも中島みゆきさんとか椎名林檎さんがいますけど、あいみょんは2015年代のそういった女性シンガーだと思ってるんです。そう言われてどうですか?

あいみょん:あ、そうですかね。でも嬉しいです。自分が歌を歌ってる中で、いろんな人の気持ちを代弁しているという意識はあるので。「幸せになりたい」だって、暴力云々は別にしても、こういう女の人って意外と身近にたくさんいると思うんです。次の恋愛に慎重になってる人って絶対いるから。

──そうですね。この曲は歌詞の切なさに反して、サウンドにはファンタジックさやポップさを感じます。

あいみょん:そうですね。この曲は、遊園地みたいなイメージがあります。

──いろんな層に届くような音作りだと思いました。「ナウなヤング~」も楽しい曲になりましたね。リズミカルだし、威勢のいい合いの手やクラップも入っています。そして、アルバムの中で唯一のメッセージソングですよね?

あいみょん:そうですね。古き良きものを忘れないでいようぜ、っていうメッセージです。レコーディングの時に、私が何気なく「バッチグーですね!」って言ったら、「それ死語だよ」って言われたんですよ。それで、死語でできた歌とか作ってみてもいいんじゃない?っていうアドバイスをアレンジャーさんから受けて。でも、メッセージ性もちゃんと込めたくて最終的にこういう感じになりました。自分自身、昭和の曲が好きなので、こういうメッセージは言いたくて。ビートルズも知らない人がいるっていうのが、最近の一番のショックだったんですよ。同世代に、ジョン・レノンのこと大統領だと思ってた男の子がいたんです。

──えー!

あいみょん:「もう喋らん……」って思いました。

──はい、ちょっと悲しくなりました。

あいみょん:尾崎(豊)のこと知ってる?とか聞いても、「盗んだバイクで走りだすやろ?」とかって言われて。そういう時代なんですよね……。

──ねぇ。でも、ハタチのあいみょんがそれを嘆くって不思議です。

あいみょん:だって、そういう曲って染みますもん。私は、元々男性の歌手の曲が好きなんですけど、最近は中森明菜さんも好きで。「飾りじゃないのよ涙は」が特に大好きなんです。「急にスピンかけられても恐くなかった」って、あの渋い声で歌ってるのが本当にカッコよくて。

──昔の歌謡曲はロマンティックですよね。

あいみょん:そうですね。言い回しもセクシーだし。自分自身で歌詞に力を入れてるのも、そういう時代の音楽への憧れから来てるかもしれないですね。

──G.W.にハチ公前でやっていたフリーライブでも、尾崎豊の「シェリー」をカバーしてましたよね。あの場所で「貴方解剖~」を歌ってるのも痛快でしたけど、「シェリー」が渋谷で聴けるとは思わなかった。

あいみょん:尾崎豊さんも大好きですね。妹と初めてテレビで観た時に、衝撃だったんですよ。言葉じゃなくて、「ゥォオオー!」とか叫んでて。その頃は私、ORANGE RANGEさんとかが好きだったんで、そういうミュージシャンがいることを知らなかったんで。

──アルバムの「分かってくれよ」と、昭和の歌の感じって、繋がりますよね。めちゃくちゃ渋いし、そして男性目線の曲で。私のメモには、「16歳とは思えない熱燗ソング」ってあるんですけど。

あいみょん:確かにワンカップが似合いますね(笑)。そこまで歌謡は意識せずに書いたんですよ。ガッシガシのタワシみたいな金髪で、学校にもあまり行っていない時に書いた曲なんですけど(笑)。

──自然にこれが出てきたんだ。凄い。いまハタチだと、16歳って結構昔に感じません? 子どもだったなーとか。



あいみょん:思いますねー。自分が何したいんだかわからなくて、とにかくプラプラしてました(笑)。……中学の頃から学校が嫌いで、保健室だけに通ってるような子で。出席日数が結構足りてなくて、家で寝てたら、電話受けたお父さんに「明日から学校行けないってよ~」って言われて。え?って(笑)。勉強はできなかったし、やる意味があまりわからなかったです。

──あいみょんは、リアルなことを歌で暴き出すようなイメージが私はあるんですけど、元々本質的なものを求める性格なのかもしれないですね。

あいみょん:ですかねぇ。でも確かに数学が嫌いで、先生に「コンビニで√1とか使います?」とかめっちゃ言ってました。友達とも、「将来の夢が医者やったらいくらでも勉強するけど、そうじゃないし」って話してたし。勉強が向いてなかったんだと思います。

──音楽は好きだったんですよね。

あいみょん:はい。歌うことも好きでした。でも今は、音楽や歌うことが好きというよりも、音楽を作ることが好きっていうふうに変わってきたんですよ。最近気づいたんですけど。このミニアルバムも、自分でもいいアルバムだと思ってて。ジャケットや歌詞カードも自分が撮った写真が使われてるし、凄くかわいくって。って自画自賛してますけど……。

──しても大丈夫ですよ。「あいみょんが好き」って、みんなに公言はしてなくても、本当はグッと来てる人って確実に増えてると思うし。で、このアルバムは、もっとあいみょんを知ることができるアルバム。

あいみょん:よかったです。自分でも、凄くおいしいアルバムなんじゃないかなって。

──「貴方解剖~」で、もし怖がった人がいたとしても、そういう人も含めて、いろんな人がおいしいと思えるアルバムになりましたね。

あいみょん:そうですね。これで巻き返したいと思います(笑)。

  ◆  ◆  ◆


1st mini album『tamago』

2015年5月20日発売
LACD-0255 ¥1,900+税

[収録曲]
1.貴方解剖純愛歌~死ね~
2.分かってくれよ
3.お互い様やん
4.○○ちゃん
5.夜行バス
6.幸せになりたい
7.強がりました
8.ナウなヤングにバカウケするのは当たり前だのクラッ歌

<インストアライブ情報>

6月21日(日)16:00~タワーレコード梅田NU茶屋店
7月12日(日)15:00~タワーレコード新宿店7Fイベントスペース

<あいみょん東名阪対バンツアー>

6月23日(火) 大阪・梅田Shangri-La
6月24日(水) 名古屋RAD HALL
7月1日(水) 渋谷eggman

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