【インタビュー】BREAKERZのAKIHIDE、アルバムに「“自分の居た場所がある幸せ”を感じる物語」
■ギターでどう伝えたらいいかということがテーマとしてあって
■この2年はそういうことを深く考えてきたので、その答えが音源に
▲『月と星のキャラバン -Musing Special Package-』(完全生産限定) |
AKIHIDE:シーンは雨降る都会の街角で。イメージ的には映画『ブレードランナー』のように、いろんな文化が入り混じった猥雑で無国籍なムードを描きました。なので、ニューヨークを思わせるハイセンスなスムースジャズっぽく始まるけど、サビのメロディーはちょっと和風。そうやって異文化が混ざった感じを表現しました。機械で出来た大きな人が錆びてしまった哀しみをブックレットに描いているので、それを音でも表すために、中間のメカニカルなパートはポリリズムを使ってロボット感を出して、サックスにロボットの哀しみを吹いてもらうというアレンジです。
──場面転換といえば、穏やかな雰囲気で始まって、後半はアッパーなサンバに移行する「Ring」も楽しめました。
AKIHIDE:優しい曲にしたかったんですよね。ブックレットはテーマが指輪というか、100人くらい集まるブラジルのパーティー形式の結婚式会場にウサギ達が迷い込んだというイメージなので、楽曲も最後はみんなが自然とハッピーになって、ドンチャン騒ぎで終わりたいと思いました。それはライブも一緒なんですよね。みんなにブラジルの楽器を持ってきてもらって、みんなで叩きながら歌ってというハッピーな場面を描くために、後半は迷わずサンバにしました。
▲<AKIHIDE Premium Night Show-月と星のキャラバン-> with acoustic guitar |
AKIHIDE:曲調的にガットの音色がフィットするなと思ったので。後半はアドリブなんですけど賑やかな感じになっていますね。
──アドリブですか? アドリブしやすいコード進行ではないですよね?
AKIHIDE:そうなんです。途中にテンションコードが出てくるから、指グセとかで弾き通すことはできないので、それを頭に入れつつアドリブで弾きました。インストとなるとジャズ的なアプローチも必要で。ただ、それは自分の中になかったものなので、まだまだロック風味で弾いてしまいますけど、それはそれでこの先の個性になるかなと楽しんでます。
──シャッフルチューンの「Gypsy Sweets」もアルバムのいいフックになっています。
AKIHIDE:フランスのジプシージャズが昔から好きで、それを表現した曲をいつかやりたいと思っていたんです。ジプシージャズはジャンゴ・ラインハルトというギタリストが始めたジプシーの伝統音楽とスウィング・ジャズを融合させた音楽で、すごい速弾きをするんですよ。ジャンゴは左手の2本の指に障害があるというハンデを背負いながら、メタルとか比ではないくらいの超絶な演奏で。ギターを主役としたジャズの、ある意味最初の音楽かもしれない。本当に偉大なギタリストで、今回曲にできて良かったです。
──この曲はウッドベースやアコーディオンも絶妙です。それに、アルバム『月と星のキャラバン』を聴いて、AKIHIDEさんの表現力の高さに改めて圧倒されました。
AKIHIDE:いやいや(笑)。今回のレコーディングはあまり欲がなかったというか。いつもはレコーディングする時に“こういうことをしたら新しいかな”とか“こういうことをしたら面白がってもらえるかな”とか考えるんですけど、今回はそれがなくて。というのも、まず楽曲をライブで育てた上でレコーディングするという、今までになかった形を採ったことが大きかった。楽曲やストーリーに呼ばれるがままレコーディングしていった感じでしたから。
──そもそもレコーディングする前に新曲を披露するツアーを開催した経緯は?
AKIHIDE:ソロのライブではアレンジをライブバージョンに変えてしまうことが多いんですね。そうすると楽曲が進化する感覚があるんですけど、音源としてその進化を聴いてもらえないのはもったいないなと思っていたんです。今回の楽曲はアドリブパートが多いからツアーで熟成させることができるし、ツアーを経てから録ったほうが、それぞれのプレイヤーが持つ才能がより発揮できるんじゃないかなと。結果、この方法は正解だったと思います。
──ただ、お客さんが知らない曲を聴かせるライブというのは大きなチャレンジだったとも言えますよね。
AKIHIDE:そうですね。なので、みなさんが知らない曲ということを想定してアレンジした部分もあるんです。“よりストーリーが伝わるように、分かりやすいアレンジ”ということは意識しました。
▲<AKIHIDE Premium Night Show-月と星のキャラバン->2014.11.21@Motion Blue Yokohama |
AKIHIDE:そうすることでインストに対する取っつきにくさが薄れるし、僕が話した言葉と楽曲が合致した時の面白さも感じてもらえるんじゃないかなという気持ちがあって。お客さんも今までとはちょっと違う聴き方をされたと思うんですね。ちょっとした緊張感や、何が出てくるかわからない楽しさもあったと思うし。
──たしかに新曲ばかりでも楽しめました。それに、ライブ後にレコーディングしたこともあってか、どの曲もギターソロはよりホットでエモーショナルになっていますね。
AKIHIDE:ライブも含めて、ギターでどう伝えたらいいかということがテーマとしてあって。いわゆる“ソロの歌い方”ですよね。この2年はそういうことを深く考えてギターを弾いてきたので、多少なりともその答えが音源に出ているといいなって。ニュアンスの大事さを最近は強く感じています。
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