【インタビュー】sukekiyo、1stアルバム『IMMORTALIS』を最深部まで紐解くメンバー5人の超ロングインタビュー
■個々の才能で選んでるから縛りたくなかったんですよね
■だから敢えて何も言わないんです、基本。もう好きにやってくれ、と(京)
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匠:誘われたというか、「ちょっと音、作ってみようや」みたいな感じからのスタートで。ある意味、僕がいちばん想像できてなかったかもしれない。「あれ? もしかして自分がギター弾くのか?」みたいな(笑)。一緒に音を作るってことはかなり日常的にしてきてるんですけど、その流れのなかで「よくよく考えてみたらそういうことか!」みたいなことになっていて(笑)。
――要するに、新しいバンドを始めようという号令のもとで始まったわけではなかった。
匠:そうですね。それこそDIR EN GREYの曲作りを京さんがやっているときと同じような流れのなかで始まったものなんで。そういう意味ではすごく自然でした。
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YUCHI:僕は最初、4曲ぐらいデモを聴かせてもらって。京さんと匠さんが作ったものだったんですけど、それがなんかすごく響いたというか。個人的にいろんな音楽が好きなんですけど、そのなかでも「普段よく聴くけど、なかなか日本じゃ聴かないな」というような音楽の匂いみたいなものを感じて。これを日本でやったら面白いなっていう部分と、自分を誘っていただけて光栄だなっていう部分があったんで、「もうぜひ!」っていう感じでしたね。ただ、その時点ではまだ、どんな編成になるのかも決まってなかったように思うんですよ。
――このあと何人増えるんだろう、みたいな?
YUCHI:そうですね。今後どういう音楽が生まれるんだろうというのもあったし。それは今もあるんですけど、それぐらい未知でワクワクさせられる感じでしたね。
――そして、最後にUTAさんが合流。京さんの以前の発言によれば、たまたま(かつてUTAが在籍していた)9 GOATS BLACK OUTの作品を聴いていて、「この曲を作ってる人がいい」という話になった、と。
京:うん。そう言ったらたまたま繋がったんですよね。
未架:映像の現場で繋がりがあったんです。一緒にやってる人間を挟んでUTAさんとうまく繋がることができて。
UTA:いちばん初めはやっぱりビックリしましたね。ちょうど前のバンドが解散して、引越しをして。目的地もないまま不動産を訪ねて引っ越し先を決めたんですけど、それがどういうわけか京さんたちからさほど離れていないところで(笑)。だから声がかかったとき、「これはきっと、呼ばれたんだな」と思いましたね(笑)。運命みたいなものなんじゃないかって。それで最初、「elisabeth addict」という曲を聴かせてもらったんです。まだ原曲段階でピアノは入ってなかったんですけど、それを聴いた時点で完全に持っていかれましたね。これはもう、やるべきだろうって。
――そこで惹きつけられたのは、リスナーではなくプレイヤーとしての耳のほうですか?
UTA:プレイヤー耳ですね。そこに加担したいなと思えたんです。で、京さんのいろんな意見が不思議なくらい自分に嵌まるというか。たとえば「違う楽器をいろいろ入れたい」とか。実際、ギターを弾かずにやってみたかったんですよ、前々から。たとえば俺、RADIOHEADとかが大好きなんですけど、あの人たちも各々にいろんな楽器をやったりするじゃないですか。ああいう“バンドっぽいバンドじゃないこと”を常々やりたいと思ってたというのもあるし。なんか不思議と感覚が重なるんです。
YUCHI:自由ですよね、とにかく。何にも囚われてないというか。
UTA:しかも京さんは、目的地を敢えて決めずにいて。そういうのも入っていきやすかった理由のひとつで。だから自分にとっては好都合な面しかなかったですね。
――要するに“メンバー=担当楽器”という考え方ではなく、各々が人として関わっていて、そこで自分ができることをやるというスタンスなんですね?
匠:そういうことですね。それがいちばん適確な答えだと思います。
京:たとえばギターだったら、「俺はギターしか弾かない」という人もいるだろうし、「このチューニングじゃなきゃ嫌だ」という人もいると思うんですね。だけどみんなで「ジャンルも決めずに何かすごいもの、面白いものを作りたい」という話をしたときにも、「面白いものができるんなら何でもやりますよ」みたいな感じがあって。そういう柔軟な感じでいきたかったからこそ、敢えて何も決めなかったし。結局、個々の才能で選んでるから、そこで縛りたくなかったんですよね。だから敢えて何も言わないんです、基本。もう好きにやってくれ、と。それがsukekiyoの枠からちょっとはみ出し過ぎてしまったり、「これはちょっと違うな」というようなところが出てくれば、そこだけはちょっと修整して。極力、自由なカタチでいくのが僕の求めた創造のあり方なんで。そこで縛ってしまうとみんなを選んだ意味もないじゃないですか。べつに誰でもいいという話になってきてしまう。
――もちろん明確にやりたいことを固めきったうえで、そのために必要な技術を持った人材を集めるというやり方もあるわけだけども、少なくとも今回、京さんがやりたいのはそういうことではなかった。もっと言えば、京さん自身にもアルバムの完成予想図は描ききれていなかったということですよね?
京:そうです、そうです。バンドって、自分が想像してる以上のものがないと意味がないというか、それじゃあバンドじゃないなという気がするんで。それはもう完全にソロじゃないですか。やっぱり自分のアイデアが、みんなの意見やプレイによって捻じ曲がって、より屈折して、「こんなすごいものになるんやな」というのがあってこそバンドだなというのがあるんで。それを活かすためには、なるべく枠を設けず、自由に好き放題やってもらって……それをうまくまとめるのが僕の仕事かなって。
――ただ、好き放題やれと言われるのが実はいちばん難しかったりもするわけですよ。
匠:そうなんですよね(笑)。
京:でも、ソロとか入れてって言うと、すぐ入れてくるんですよ。ホントにすぐ入れてくる。しかもテンポまで変えてきたりしますからね(笑)。
UTA:あははは!
京:「違う曲か?」ぐらいになることもありますから。
匠:「でも、これもいいからやろうか」みたいなことにもなったり。常にそういう相乗効果があるんです。
京:それが面白いなと思って。だから、ほとんど誰も止めたことないです。「これは枠を超え過ぎてるから」みたいなことを言うこともないし。
匠:唯一、制限があるとすれば、CDの収録時間の限界ぐらいですね(笑)。
京:本当は2枚組にしようかなと思ってたんです。現状のDISC 2とは関係なく、メインのディスクだけで2枚組に。ただ、時間がちょっと足りなかったんですよね。リミックスとかコラボをお願いするうえで完パケ状態で先方に音を渡さないと駄目だったし、そういう理由からちょっと前倒しのスケジュールでもあったんで。そういう事情がなければ、20何曲収録の2枚組としていきなり出したかったんですけど。
――そこにリミックス+コラボ音源集が加わるとなれば……デビュー作がいきなりボックス・セットになっていたかもしれない。
京:本当はそういうつもりだったんです、僕のなかでは(笑)。
――怖いなあ。
匠:怖いですよね(笑)。
京:結果、これでも収録分数ギリギリなんですけどね。
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