【対談】松本孝弘×BARKS編集長、アルバム『New Horizon』への道程「今の自分なんて全く想像もしてなかった」

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■ラリーさんと演ったことで
■インストゥルメンタルがもっとおもしろくなった

烏丸:ギターに憧れる若い子たちに、そういうこだわりの話は伝えていきたいですね。そこにいろんな真実が隠されているでしょう?

松本:それはそうかもしれないですね。でも今やアメリカでもロックがないですよね。

烏丸:そう聞きますけど……そうなんですか。

松本:残念ながら、音楽番組でもロックは流れないし、それこそ好きな人たちだけが見るような番組を見ない限り、お目にかかれない。むしろ日本のほうがロックバンドは居場所があるんじゃないの?

烏丸:そうかもしれませんね。B'zだってロックバンドど真ん中だし。

松本:僕たちもそうだし、若手だとONE OK ROCKとかいいバンドがいるじゃないですか。

烏丸:海外はEDMやヒップホップばっかり?

松本:あとは女性アーティストですよね。

烏丸:テイラー・スウィフトとか?

松本:あとケイティ・ペリーとか。女性が主流ですね。やっぱり、少年たちがギター持ちたくなるような人が出てこないといけないですよね。音楽を、ロックをやりたくなるような、バンドをやりたくなるような人たちが。今どうなんですか?

烏丸:ONE OK ROCKを筆頭に、インディーも含めて、最近は演奏スキルの高いバンドが増えていると私は思っていますよ。

松本:技術的に上手な?

烏丸:ライブでびっくりするようなパフォーマンスしてくれたりとか。でも、オーディエンスは一緒に楽しみたいだけで、憧れのヒーロー像というのは求められていない気がします。アメリカンドリームなんてリアリティが全くないんです。

松本:そうなんですよね。1990年代ぐらいからカラオケがブームになって、誰もが歌いたくてしょうがない。実際に今プロとしてやっている人たちが、カラオケから出てきているし、プロになって初めて生バンドで歌いました、みたいな子たちですもんね。

烏丸:ライブ経験がまったくない状態で、初めてアリーナに立つとかよくありますよ。

松本:でも、この前ザ・ローリング・ストーンズを観に行ったけど、ドームがいっぱいで、彼らを観たい人があれだけたくさんいるんですよね。

烏丸:そうですね。ロックやギターのカッコよさを伝えたいですね。松本孝弘がラリー・カールトンから刺激を受けたように。

松本:そうですね。ラリーさんと演ったことでインストゥルメンタルがもっとおもしろくなりましたからね。

烏丸:可能性や面白さを教えてくれた?

松本:『TAKE YOUR PICK』の作曲は、僕が半分、ラリーさんが半分だったじゃないですか。だからラリーさんの曲を自分がプレイするっていうのもすごく新鮮だったし、いい勉強になりました。

烏丸:共作が実現に至る、もともときっかけって何だったんですか?

松本:僕はあまり詳しいことは知らなかったんだけど、ラリーさんに聞いたらギブソンの紹介だったみたいですね。ラリーさんは日本でも人気があるし毎年来日公演をしているじゃないですか? で、日本のファンに何か特別なことをしたいなっていうときに、ギブソンの人が「日本にTak Matsumotoというギタリストがいるよ」って、一度会ってみたらどうだろうという話になって。それから実際に一緒に作業をはじめたのは1年後になるんですけどね。

烏丸:自然な出会いと流れで生まれた作品なんですね。

松本:そうですね。

烏丸:これからも楽しみですね。将来はES-335(編集部註:ギブソンのセミ・アコースティック構造のエレキギター。ラリー・カールトンの愛器でお馴染み)を使い始めるなんてこともあるんでしょうか。

松本:いや、それはないと思いますけどね(笑)。インストゥルメンタルは続けていきたいと思ってます。これからどういう形になっていくのか僕もわからないけど……今は最初にソロで演った時のような、ロックよりなインストゥルメンタルを演る気分ではないかな。

烏丸:でもまた10年ぐらい経ったらわかんないですよね。

松本:わかんないですよね。あの感じがまた、いいね~って思ってるかもしれないし。

烏丸:あくまで自分に正直に、無理のないスタンスで。

松本:基本的に僕の音楽活動の中心はB'zなので、それをやりながら空いた時間でソロ活動、インストゥルメンタルを創り続けていければいいなと思います。

烏丸:楽しみにしています。ありがとうございました。

松本:どうもありがとうございました。

取材・文◎BARKS編集長 烏丸哲也



■インストゥルメンタル・アルバム
『New Horizon』
4月30日発売
BMCS-8005 2,800円 (税込) 2,593円 (税抜)
01. New Horizon (佐川急便 TV-CMソング)
02. Take 5
03. Feel like a woman tonite
04. Rodeo Blues
05. Island of peace
06. That’s Cool
07. Shattered Glass
08. 月のあかり
09. Reason to be...
10. BLACK JACK
11. 学生街の喫茶店
12. Rain

【『New Horizon』、House Of Strings レーベルより発売 】
オフィシャルサイト http://www.houseofstrings.jp 
House Of Strings レーベルは、松本孝弘が2004年に立ち上げた、ギタリストを中心とした弦楽器奏者のレーベルだ。
「僕自身もプロのギタリストとして活動を始めて20余年が経ちましたが、未だ自身のプレイに満足することなく、探求を続ける日々であり、プレイすることを心から楽しんでいます」
「このレーベルから発信される音楽を通して、少しでも多くの方々がギターを弾く楽しみ、ギターから放たれる美しい音や光を感じて頂ければ嬉しく思います。そしてまだ見ぬ多くの有能なギタリスト達に出会える、意義ある場にしていきたいと考えています」
(設立当時の松本孝弘のコメントから一部抜粋)

■松本孝弘ライブツアースケジュール
<Tak Matsumoto LIVE 2014 -New Horizon->
5月10日(土)Motion Blue yokohama(神奈川)
5月11日(日)Motion Blue yokohama(神奈川)
5月15日(木)Zepp Fukuoka(福岡)
5月17日(土)堂島リバーフォーラム(大阪)
5月18日(日)堂島リバーフォーラム(大阪)
5月23日(金)仙台 RENSA(宮城)
5月25日(日)Zepp SAPPORO(北海道)
5月30日(金)NAGOYA Blue Note(愛知)
5月31日(土)NAGOYA Blue Note(愛知)
6月01日(日)NAGOYA Blue Note(愛知)
6月08日(日)BLUE NOTE TOKYO(東京)
6月09日(月)BLUE NOTE TOKYO(東京)
6月11日(水)BLUE NOTE TOKYO(東京)
6月12日(木)BLUE NOTE TOKYO(東京)
6月14日(土)BLUE NOTE TOKYO(東京)
6月15日(日)BLUE NOTE TOKYO(東京)
[問]http://www.houseofstrings.jp
<ライブサポートメンバー>
John Ferraro〔Drums〕 Travis Carlton〔Bass〕 小野塚 晃〔Keyboards〕 大賀 好修〔Guitar〕


◆House Of Strings レーベル オフィシャルサイト
◆B'z オフィシャルサイト

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