【対談】松本孝弘×BARKS編集長、アルバム『New Horizon』への道程「今の自分なんて全く想像もしてなかった」
■「ファイヤーバードはどうですか?」
■「いいね、それ!」って(笑)
烏丸:カバーの選曲に関しては?
松本:制作を始めたのは2012年11月ぐらいかな、インストゥルメンタルのアルバムを創りたいっていうことだけは決まっていたんだけど、その頃に、僕が個人的にもすごくお世話になった桑名さんが亡くなられて。僕の中で桑名さんといえば「月のあかり」なので、まずは桑名さんへの感謝や想いを込めて「月のあかり」をカバーしてみようと思ったんですよね。
烏丸:トリビュートの思いもあったんですね。「学生街の喫茶店」は?
松本:これも試行錯誤している時に、とにかくカバーからやってみようと。この曲は、リアルタイムでレコードを買ったりしていた曲なんだけど、コード進行がシンプルなわりにはメロディがとっても変わっているので、インストゥルメンタルとしては非常に活きるかなと思ってはじめたんですよね。
烏丸:Aメロの出だしから、メロディラインのピッチがシャープしてるあの感じっていうのは、何か意識されてるんですか?
松本:とにかくニュアンスと間(ま)を徹底的にこだわって演っていますね。ちょっと専門的になるけど、どのポジションでスライドするのかチョーキングするのか、あとは間……タイミングですよね。どれぐらいの感じで後ろに溜まってるといいかなとか。基本的に前にいっていいことはないですから。
烏丸:そのニュアンスを生むには、同時にトーンも重要ですよね?
松本:そうですね、音色はね、そこもこだわっているところではあるんですけれど、例えば「学生街の喫茶店」だったら、まずはワンコーラスを何本かのギターで弾いていくんですよ。
烏丸:主メロを?
松本:うん。で、プレイバックを聴いて、どのギターがいちばんこのメロディに合っているかを選ぶ。これでいこうって決まったら、それで録り始めていくんです。
烏丸:わざわざ試さなくても、このギターはこんな音出すって分かる気がしません?
松本:いやいや、イメージ通りの場合もあるけれども、でもやっぱり演ってみないとわからない。このフレーズを弾いた時に、ちょうどいい鳴りがするギターと、そこには合わないギターがあるので。
烏丸:個体差というか個性ですね。
松本:そうそう。どれで弾くべきか、それはけっこう細かく入念に選びます。
烏丸:それは楽しみであると同時に……。
松本:少し面倒な部分もある(笑)。
烏丸:スタッフとかはうんざりして見てるんですか?(笑)。
松本:いや、そんなことはないですよ。選ぶ作業も早いですから。だいたい1曲に対して3~4本ぐらいかな。たぶん一緒にスタジオにいたら一目瞭然でわかりますよ。例えばワンコーラスを4本のギターで4トラック弾くでしょ? もう最初の2小節ぐらいで「あ、ダメだ、これ」っていうのもあるし。
烏丸:曲やメロディとのマッチングなんですね。
松本:そうですね。だから今回はほとんどファイヤーバードと、チェンバー(空洞)ボディのレスポールと、あとストラトですね。
烏丸:ファイヤーバードというのは、まだ未発表の新Tak Matsumotoモデルのことですね?
松本:そうです。まだプロトタイプなんですけど。プロトができたのは2013年ですね。今ちょうど試行錯誤しているところで、次のプロトタイプを今待っているところです。
烏丸:何故にファイヤーバードを?
松本:ギターテックから「ファイヤーバードはどうですか?」って提案があって、「いいね、それ!」って(笑)。けっこう斬新だなと思って。ファイヤーバードの形が好きなんですよ。
烏丸:これまでのレスポールとは、どんな違いなんですか?
松本:ギターは木だから、1本1本違うじゃないですか。でもこれはすごくバランスが良くて。大当たり。歪んだ音もいいしクリーンもいい。ネックもいいし。線も太いし。
烏丸:ファイヤーバードって、結構不遇なモデルですよね。めちゃめちゃ音のいいギターという印象もないし。
松本:そうですね、イメージ的には。だから僕のはハムバッキングふたつにして、ヘッドもレスポールと同じヘッドにして。ボディはオリジナルのファイヤーバードと同じだと思うんだけど、次のプロトでは、僕向けにボディがちょっと小さくなると思う。
烏丸:音のいいファイヤーバードだなんてかっこいいなあ。
松本:ギブソンはほんとにすごいですよ。もう契約して十何年になるんですけど、最初のプロトから、その場ですぐにステージで使えるぐらいクオリティが高い。老舗なんだけど、ものすごい頭が柔らかいので、何でも面白がってくれるんですよね。
烏丸:ストラトに代わるシングルコイルのギターも作ってもらったらどうです?
松本:ストラトは、やっぱりレコーディングでは要所要所で必要なんですよね。アルペジオやカッティングとかで。
烏丸:今回は1969年リイシューをレコーディングで使ったとお聞きしていますが。
松本:ブルーのストラトなんですけど、LAのギターセンターで見つけて買ったんです。
烏丸:普通にお客さんとして?
松本:はい(笑)。でも社長さんが僕だとわかって、何本か用意してくれて、その中から選ばせていただきました。
烏丸:でも普通のカスタムショップですよね?
松本:うん、全く普通のカスタムショップ。そこかしこに飾ってあるようなものなんだけど、すごく良くて、これはレコーディングで使えると思って。
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